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QB「…」 杏子「!…この野郎、人が良い気分の時に現れやがって…」チャキ さやか「…丁度良いじゃん、こいつには聞きたい事いっぱいあるし」チャキ ほむら「ワルプルギスの夜という脅威は去った…あとはあなた達だけね」ジャキッ 武器を構え、キュウべえを睨みつける三人 マミ「ちょ、ちょっと待って!そんな脅すようなことせずに…」 ほむら「…甘いわね、マミ」 ほむら「あなたはキュウべえと一番長く一緒に過ごしていたようだけど…」 杏子「そいつが何か企んでんのは分かってんだ!」 さやか「脅しが効くような相手とは思えないけど…無理やりにでも吐かせてやる!」 ほむら「さぁインキュベーター…答えてもらうわよ」 ほむら「あなた達の目的が宇宙の延命だということ…らしいけど」 ほむら「あれは本当なの…?」 QB「…」 ほむらの質問に答えず、 あらぬ方向を見つめて動かないキュウべえ さやか「答えたくないってか!?」 ほむら「正直言って…今のあなたはこれまで私が別の時間軸で接触してきたインキュベーターとは違う」 ほむら「執拗に契約を持ちかけてくることはあったけど…まどかを連れ去るなんて強行策は初めてよ」 QB「…」 杏子「だんまりかよ、おい」 さやか「まどかを返してよ!」 マミ「キュウべえ…お願い、鹿目さん達を返して?」 ほむら「あなたに出来ないのならあの黒服に頼むわ…アイツを出しなさい」 ほむら「まどか達を連れ去ったあの能力はアイツの物なんでしょう?」 杏子「…なんとか言えよ!」 QB「…うん」 さやか「…!」 マミ「…」 ほむら「…インキュベーター…あなたは…」 QB「うん…そう…」 QB「そうだよ。予想は外れたみたいだ」 QB「ああ。やっぱりそうなるだろうね」 ほむら「!?」 さやか「え…え?」 マミ「キュウべえ?」 杏子「こいつ…誰と話してるんだ…?」 QB「…そうかい」 QB「たしかに三人のウルトラマンのデータを取れなかったのは残念だけど」 QB「彼女達を残しておくのは…確かにね…」 QB「わかった。命令が出たのならそうしよう」 QB「それじゃ」 キュウべえが四人に向き直る QB「待たせちゃったね」 ほむら「…今誰と話していたの!?」 杏子「お前また何か企んでんのか!!」 QB「いや…はっきり言って君達は先の戦いで全滅すると思っていた」 QB「大したものだよ!」 マミ「っ…!」 さやか「マミさん…」 ほむら「…もういい…話が噛み合わない」チャキッ 銃を構え、キュウべえを睨みつけるほむら ほむら「あなたが知っていることを洗い浚い全部教えなさい」 QB「…今から排除される君達にそんな事を教える必要は無いみたいだよ」 さやか「な…!?」 杏子「…やるってのかい?」 マミ「そんな…」 咄嗟に身構える四人 ほむら「本性を現したってことね…」 QB「本星からの命令が出た以上そうするしかない」 杏子「…アンタ本気かい?一匹でこの人数に…」 ほむら「あなたが戦う術を持っているとは思えないのだけれど?」 QB「そう、今まではね」 QB「だが異次元人ヤプールの力を借りて…僕自身はとてつもない力を手に入れた」 QB「これを使ってしまえば…君達が全滅するまで暴れまわることになる」 ほむら「ヤプール?…それがあの黒服の…?」 シュゥゥゥウウン… さやか「…なんの音?」 マミ「…!」 マミ「暁美さん!上!!」 ほむら「…!?」 上空からキュウべえのいる場所へ巨大な赤い球体が落下してくる 杏子「退がれ!!」 ガシッ ほむら「うっ…!」 ほむらの腕を掴み、後ろへ飛び退く杏子 マミ「美樹さん!!」 さやか「わぁああっ!?」 ドゴォォォオオオン! …………………………………… ドゴォォォオオオン ズゴゴゴゴ… アスカ「うおっ!?」 我夢「なんだ…!?あの光は…!」 ダイゴ「あの位置には…みんなが…!」 球体の落下による衝撃波でよろめく三人 ゴゴゴゴ… アスカ「…!!」 我夢「!…あれ…は…?」 ダイゴ「…怪獣?」 …………………………………… さやか「なん…だよ…なんだよコレぇ…!」 マミ「キュウべえ…!?それは…」 ほむら「…魔女?…違うわね…」 杏子「おいおい…こんな隠し玉が…」 ガラガラガラ… 四人の目の前にワルプルギスの夜以上の巨大な影が立ち塞がる QB『…すごい…ね…これは…』 QB『ヤプールの怨念が体の中から溢れ出してくるようだよ…!!』 QB『ふふ…ふふふふ…』 杏子「でっ…けぇ…」 ほむら「…?」 ほむら(インキュベーターが…笑った…?) 杏子「おい!あれ見ろ!」 さやか「うっ…!?」 杏子が指差した先、 怪獣の額にある赤い結晶体にキュウべえがその半身を同化させていた QB『こんなもので驚いてもらっちゃ困るよ』 バキバキバキッ!ゴキッ… QB『まだまだ変わるよ…!!素晴らしいね…!』 ドゴゴゴゴゴ… 周辺の建物を押し潰し、怪物はその大きさを増していく 巨大な下半身の側面から新たに足が二本生え、昆虫を思わせる姿へと変貌し、 黄金色の上半身からは大小さまざまな大きさの不気味に蠢く触手が飛び出す さやか「こんな…こんなのって…!」 杏子「なんだ……何なんだよその姿は!!」 QB『…ウルトラキラーザウルス・ネオ…』 QB『ウルトラマン抹殺の為の力を…君達から手に入れたエネルギーで少しばかり強化した』 マミ「キュウべえ…どうして…」 QB『マミ…君には随分世話になったけど…』 QB『君達を消すことはもう決定されてしまったんだ』 QB『運が悪かったと思って…死んでよ』 ほむら「…ここまできて…!」 杏子「ふ…ふざけんな!そんなワケわかんねー理由で…!!」 QB『君達に許される唯一の行為は』 QB『これから見せる僕の新しい力に恐怖し』 QB『絶望することだけだ』 グオッ 巨大な足を上げ 四人に向かって振り下ろす さやか「き、来たっ!!」 マミ「…」 ほむら「!? マミ!何をしているの!?」 Uキラーザウルスの姿を見上げたまま、呆然と立ち尽くすマミ さやか「マミさんっ!!」 杏子「ッ…!!」 ガシャン! ドゴォォオオオオォン!! ガガガガッ! QB『おや』 杏子「ぐっ…おあああ…!!」 さやか「!! 杏子!」 振り下ろされた足を障壁で受け止める杏子 杏子「ボサッとしてんじゃ…ねぇっ…ぞ!!」グググッ マミ「あ…!さ、佐倉さん!!」 杏子「こいつはっ…アタシ達を殺しにきてんだ!!」 杏子「油断してたら……死ぬぞ!!」 マミ「!…」 ほむら「障壁が砕けるわ!」 バキン!! …………………………………… ヤプール「始まったか」 ???「そうみたいだ。君はどうなると思う?」 ヤプール「…魔法少女だけであれを倒すことは不可能だ」 ???「だろうね…剣や銃でどうにか出来るようには思えないし」 ???「どちらにしろ…地球へ向かわせたあの個体は…」 ???「鹿目まどかはどうなったんだい?」 ヤプール「まだあの空間にいる。ソウルジェムにも少しづつ穢れが溜まっているようだ」 ???「彼女があの空間で魔女化するのも時間の問題かな」 ヤプール「…さて」 ヤプール「どうだろうな?」 ???「早いとこ魔女化して欲しいんだけどね。大したエネルギーを持ってるわけでもないし」 ???「まぁ今となってはどっちに転んでも…」 ヤプール「…なら絶望させて止めを刺すとするか」 ヤプール「終わりだ、鹿目まどか」 ヤプールの目が怪しく輝き、空間が歪む …………………………………… バババババッ ほむら「く…!」 マミ「これならっ!!」 重火器の一斉射撃がUキラーザウルスの上半身に直撃し、 辺り一面が爆煙に包まれる Uキラー「グルルルルル…」ズンッ QB『無駄だというのが解らないのかな?』 二人の魔法少女の攻撃をものともせずに、爆煙の向こうからその巨体を現す ほむら「!…駄目…」 マミ「止まらない…っ!!」 ダンッ 杏子「うぉぉおおおおおっ!!」 さやか「このぉぉおおお!!」 ドガガッ QB『…なんだいそれは?』 杏子とさやかが同時に足に斬りかかる しかし、黒く硬化した外殻に難無く受け止められてしまう 杏子「ちぃっ!!」 さやか「う…ぅっ!ビクともしないっ!!」 QB『そろそろ反撃するよ!』 Uキラー「グァオオオオオオオオオオオオ!!!」 ヒュヒュン! 杏子「な…ッぐうっ!?」ドガッ さやか「うっ…くあぁ!!」ドゴッ 防御が間に合わず、無数の触手に弾き飛ばされ、ビルに叩きつけられる ドシャッ… ほむら「さやか!杏子!」 さやか「うぅ…」 杏子「ぐっ…一発当たっただけで…バラバラになりそうだ…」 マミ「待ってて!今治療を…」 QB『ほらほら休んでる暇なんてないよ!』 Uキラー「グガァァアアアア!!」 バシュシュシュン! 背中の大量の棘が生体ミサイルとなり、四人の上に降り注ぐ 杏子「なっ…!!?」 さやか「避け切れない…!」 ほむら「!…」 ほむら「マミ!こっちに!」ガシッ マミ「え!?ちょ、ちょっと…」 カチン 生体ミサイルが空中で静止し、 同じくUキラーザウルスもその動きを止める マミ「!?…止まってる…?」 ほむら「私の能力よ…私達以外の時間は今は停止している」 ほむら「あなたも私に触れている限りは止まった時の中を動けるから…」 チャキ マミに体を密着させた状態で銃を構える ほむら「この間にミサイルを撃ち落とす…離れないで!」 マミ「!…そういうことね…わかったわ!!」チャキ ババババッ ほむら「…」 マミ「よし…!」 バンバンバンバンッ マミ「…!」 ほむら(これは…!) ミサイルへ銃を撃ち続ける しかしその数は二人の予想を遥かに上回っていた ほむら「うっ…くっ…!!」ガクッ マミ「暁美さん!?」 ほむら(迎撃が間に合わない…っ!) ほむら「マミ…もう限界よ…時間停止が…!」 マミ「え!?」 カチン マミ「!!?」 ドカァァアアン QB『!!…』 杏子「な、何だ…!?」 さやか「ミサイルが…」 シュゥウウウウン… ほむら「油断しないで!次が来るわ!」ガシッ マミ「二人ともこっちへ!一旦退くわよ!!」ガシッ ほむらが杏子を、マミがさやかの手を引き、その場から飛び退く ドゴゴォォオオオン…! ほむら「っ…!!」 …………………………………… …………………………………… …………………………………… まどか「…」 まどか「……みん…な…」 まどか「戦ってるの……かな…」 まどか「ワルプルギスの夜……」 まどか「………」 ビクンッ まどか「…!」 まどか「な、何…?今何か…」 マミ『鹿目さん』 まどか「!!?」 杏子『よう、まどか』 さやか『久しぶり…かな?』 まどか「さやかちゃん!?な、なんで…」 ほむら『まどか…』 まどか「あ…」 まどかの目の前に、 巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか、そして暁美ほむらが現れる まどか「よ、よかった…ほむらちゃん…!」タッ ほむらに駆け寄るまどか ほむら『…』 ドシャッ まどか「………え?」 まどかがほむらに手を伸ばした瞬間、 ほむらの体は真っ赤な血を流し、力無く崩れ落ちた まどか「ほ、ほむらちゃん…?ほむらちゃんっ…!!?」 まどか「やだ…やだ…!!」 目を開いたまま力尽きたほむらを抱きしめ、絶叫する まどか「いやぁぁぁあああああああああっっっ!!!!」 まどか「なんでぇ…?」ジワッ まどか「なんでこんな事に…」 ドカッ まどか「ッ……!」ドシャ 杏子『解ってんだろ?』 杏子が涙目のまどかを蹴り飛ばし、さやかが耳元で囁く さやか『あんたのせいだってね』ニコ まどか「!!!」 マミ『所詮あなたは自分じゃ何も出来ないの』 マミ『何かあったら誰かが何とかしてくれると思ってるような人間と…一緒にいたくないわ』 杏子『誰かの為にとかそんなんでよく言えるよな?』 さやか『魔法少女になったのに…足引っ張って迷惑掛けるだけなんだから』 うずくまり、耳を塞ぐまどかの周りに魔法少女達が集まる まどか「……」 ほむら『まどか…』 まどか「あ…ほむらちゃん」 地面に転がったほむらの顔がまどかを見つめ、 ゆっくりと口を開く ほむら『全部あなたのせい』 ほむら『あなたのせいで…私は……』 まどか「う…うううぅぅぅ………!!!」 ピシッ…ピキピキッ… 穢れの溜まったソウルジェムに少しづつヒビが入る ほむら『あなたが…あなたさえいなければ……』 まどか「うぅ…うあぁぁああ……!!」 まどか(…もう…いやだ…) まどか(悲しくて……) まどか(辛くて……) まどか(痛い………) まどか(怖い……) まどか(もう……) まどか(こんなの………) ピキピキ ほむら『ねぇ…まどか…』 ほむら『消えて……?』 まどか「…!!」 まどか「ぁぁぁぁぁああああああっっ!!!!」 ビキッ 『闇に惑わされるな』 シュォォオオオッ… 杏子『なに…!?』 マミ『…!!』 さやか『あ…』 ほむら『…』 ほむら『ちっ…』 まどか「え……?」 まどかの頭の中にほんの一瞬、銀色の巨人の姿が浮かび上がり 目を見開き、驚いた瞬間には辺り一面が真っ白な世界へと変わり 耳元で囁いていたさやかと杏子 少し離れていたところで嘲笑っていたマミ そして血塗れでまどかに語りかけていたほむらは 跡形もなく消滅していた まどか「な、何が…?」 まどか「……あ…れ?」 まどか「わたし…さっきまで砂漠に…」 ???『鹿目さん…』 まどか「…?」 ???『いえ…まどか…』 まどか「…!」 真っ白な世界に取り残されたまどかの目の前には 眼鏡を掛けた三つ編みの少女が立っていた まどか「………」 まどか「ほむら…ちゃん…?」 …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… ~裏通り~ マミ「…はい、どう?佐倉さん」 杏子「ああ…悪い、助かった」 杏子の傷を魔法で治療し、裏通りで身を寄せ合う四人 マミ「美樹さんは?あなたも傷を…」 さやか「あたしは…もう大丈夫です!自分の能力である程度は…」 さやか「それに…あの時とっさに杏子が庇ってくれたし…」 マミ「…そう」 杏子「へっ……気付いてたのか」 さやか「へへ~…まぁね」 お互いの顔を見て、自嘲気味に笑う ほむら「体勢を整えたところで相談なんだけど…どう戦いましょうか…」 杏子「…グリーフシードのストックは?」 ほむら「もう無いわ…全員連戦でかなり消費してる」 ほむら「それに加えて…あの怪物相手に結構使ったもの…ね」 杏子「…くそっ」ドンッ 握りしめた拳を壁に打ち付ける杏子 さやか「魔力を込めた攻撃じゃないとアイツの体にダメージ与えるのは難しいと思う…」 マミ「でしょうね…普通の攻撃じゃ駄目…あの巨体にはビクともしないわ」 さやか「あたし達…あとどれくらい戦えるんだろ…」 マミ「…」 杏子「普通の攻撃じゃ駄目…か」 ほむら「ええ、それにいくら強力な攻撃を繰り出してもヤツを倒せなければ無意味よ」 さやか「…じゃあどうするのさ!?」 マミ「狙うなら…最大火力の攻撃を弱点に…かしら?」 杏子「弱点って…あの化け物にそんなのあるのかよ?」 ほむら「弱点…?」 ほむら「…………!!」バッ ほむら「あるかもしれない…!ヤツを倒す方法が!」 ほむらが突然顔を上げ、提案する 杏子「マジかよ…!?」 ほむら「ええ…アイツの弱点…」 ほむら「額よ」トントン 自分の額を指で突きながら三人に説明する さやか「額?……あっ!」 杏子「なるほどな……そういうことか」 マミ「…キュウべえね」 ほむら「そうよ、あの怪物が現れた時…額の結晶体と一体化したインキュベーターを見たわね?」 ほむら「あの怪物はおそらくインキュベーターの意思で動いている…」 ほむら「一体化したあの部分は…言わば脳みたいなものね」 さやか「そこを潰す…ってワケ?」 ほむら「ええ」 マミ「…それは無理よ」 さやか「えっ?」 杏子「…」 ほむら「…」 マミ「確かに…そこを狙えば勝機はあると思う」 マミ「けど…どうやって狙うの?」 険しい表情でほむらに問う マミ「見上げるほどの巨体なのよ…!?」 マミ「あの弱点を突くには下からじゃ射線が通らないわ…!」 さやか「じゃ、じゃあ!アイツより高い所から狙えば…」 杏子「あの化け物より高い建物なんて滅多に無いよ…あったとしても今日の戦いで破壊されてる」 さやか「そ…そんな…」 提案も空しく、がっくりと肩を落とすさやか ほむら「あるわよ…アイツより高い所から攻撃する方法が」 マミ「!?」 杏子「何…!?」 さやか「ほ、ホント!?」 ほむら「本当よ」 ほむら「ただ…かなり危険…賭けみたいなものよ」 さやか「…この際だ!アイツを倒せるなら何だってやる!!」 マミ「…嫌な予感しかしないのだけれど?」 ほむら「鋭いわねマミ」 杏子「勿体ぶってないで教えてくれよ!その方法ってやつをさぁ!」 ほむら「…わかったわ」 ほむら「じゃあまず…」 ほむら「マミ、杏子…あなた達には待機していてもらうわ」 杏子「はぁ!?」 マミ「ちょ、ちょっと待ちなさい!あなたと美樹さん二人でやると言うの!?」 さやか「…!」 作戦を聞いた二人がほむらに詰め寄る ほむら「もちろんあなた達にもやってもらうことはある」 ほむら「でも…今のところソウルジェムの穢れが少ないのは私達二人…」 ほむら「これが最善の策なのよ…さやか、いけるわね?」 さやか「お…おー!もちろん!」 ほむら「…よし」 さやか「でもさ…」 さやか「どうやってアイツより高い位置に行くのさ?」 さやか「あの体をよじ登っていくとか?」 ほむら「いいえ…それじゃあ途中であの触手に叩き落とされるのがオチだわ」 杏子「…触手……」 杏子「…!!」 マミ「…佐倉さん?」 杏子「おいほむら…アンタまさか……」 ほむら「…」 …………………………………… …………………………………… ほむら「……」 マミ「め…めちゃくちゃだわ…正気の沙汰とは思えない……!」 作戦を説明し終えたほむらに対し、声を荒げて反論するマミ マミ「無茶よ!…そんなことをして…攻撃する前に限界が来てしまったら…」 ほむら「無茶は百も承知よ」 さやか「…」 杏子「何か別の策は無いのかよ…?」 ほむら「無いわね。ダメージ覚悟で行くしかない」 杏子の問いに、キッパリと言い放つ ほむら「そうでもしなきゃヤツは倒せない…」 ほむら「さやか…覚悟を決めなさい」 さやか「…」 さやか「…分かったよ!」 さやか「もう逃げないって高らかに宣言しちゃったしね!!」パシン! 気合いを入れるように自分の頬を叩く ほむら「あなた達二人には…私達がヤツを倒した後に触手を攻撃してもらいたい」 杏子「…わかったよ」 マミ「……任せて」グッ ゴゴゴゴゴゴ… マミ「…近いわ!」 ほむら「来たようね…頼むわよ、みんな…!」 杏子「…ちゃんと仕留めろよ…?」 さやか「わかってるって!」 ドゴォォオオォン Uキラー「グギャォオオオオオオ!!!」 QB『…見つけたよ!!』 建物を触手と扇状の手で破壊し、Uキラーザウルスが出現する さやか「ほむら!」 ほむら「ええ!こっちに!!」 ダッ 杏子「マミ!アタシ達はこっちだ!!」 マミ「分かってる!」 さやか「…」 ほむら「…」 武器を構えず、Uキラーザウルスの前に立ちはだかる二人 Uキラー「グゥ……?」 QB『…何のつもりだい?諦めたとでも?』 ほむら「さぁ?どうでしょうね?」 さやか「…」 QB『あとの二人はどうしたんだい?』 ほむら「答える必要は無いわ。私達だけで十分」 QB『…ふぅん』 QB『じゃあ…死んでよ!!』 Uキラー「グガァァアアアア!!!」 グオッ ほむら「!…」 さやか「うわぁああ…!」 ガシッ カチン 足が振り下ろされる瞬間、 ほむらがさやかの手を引き、時を止める ほむら「こっちへ!」 さやか「!…う、うん!!」 カチン QB『…!』 ドズゥウウウウン… 巨大な足による踏みつけを間一髪で回避し、 狭い路地へと飛び込む QB『逃げられると思っているのかい!?』 シュルルルッ ほむら「…!」 さやか「来たっ!!」 ガシィッ! 路地に入り込んできた細い触手が二人の腰に巻き付き、 そのまま引きずり上げられる QB『捕まえた…!』 ヒュン ブンッ ドゴォン! さやか「うっ…!がっ、あぁっ!!」 ブンッ グシャッ! ほむら「ぐぅっ!?…あっ!」 鞭のようにしなる触手が二人を振り回し 勢いよくビルの壁面に叩きつける ほむら「がふっ!!…っあ!」ブシュッ さやか「ぶっ!?がっ!」ゴンッ 真っ赤な鮮血が飛び散らせ、成すがままの二人 ドゴッ ゴッ さやか(こりゃあ…予想…以上…にっ……)ビチャ さやか(きっつ……) 血を吐き、頭を庇いながら振り回されるさやか ドシャッ ガンッ ほむら「ぐっ、あ……」 ほむら(視界が…霞む……) 薄れゆく意識の中、ほむらの瞳はUキラーザウルスの姿を捉え続ける Uキラー「グォオオッ!!」 ドゴンッ! 杏子「…く…ぅ…!」 杏子「さやか……ほむら…っ!!」グググッ 建物の影に隠れ、拳を握りしめる杏子 その視線の先には一方的に叩きつけられる二人の魔法少女 マミ「耐えなさい…佐倉さん!」 杏子「でも…っ!!」 マミ「…っ…!」 唇を噛み締め、杏子を制止する マミ(早く…早くっ!!) Uキラー「グルルル……」 QB『随分しぶといね…』 ほむら「あ…ぐぅ…」ギシッ さやか「っ……あう…」ギシッ QB『だが…そろそろ終わりにしよう』 グンッ ほむら「…!!」 細い触手に拘束された二人が Uキラーザウルスの頭より高い位置に上げられる QB『あれだけ叩きつけられてまだ息があるんだ…』 バリバリバリッ!! Uキラー「グゥゥウ…」 QB『この一撃で消し炭にしてあげよう…!!』 Uキラーザウルスの背中に生えている一際巨大な触手の先端が開き 帯電を始める 杏子「!!」 マミ「暁美さん!美樹さん!!」 ほむら「!!…」 ほむら「ぅぅうう…!!」バッ ジャキン ほむら「っっ……さや…かぁぁっ!!」 盾からディバイトランチャーを取り出し、 さやかに向かって声を絞り出すほむら さやか「わかっ……てるよぉぉおおおっ!!」 シャキン! 剣を左腕に生成し、握りしめるさやか QB『……!!』 ほむら「これでぇぇええっっ…!!」 バァン!! さやか「トドメだぁぁあああああっ!!!」 ゴウッ! ほむらの放った魔法弾とさやかの投擲した剣 その二つが強烈な強烈な風切り音を発し、 一直線にUキラーザウルスの額…キュウべえに向かって飛んでいく 杏子「いけーーーーっっ!!」 マミ「お願いっ…当たって!!」 QB『…』シュイン バチッ!! ほむら「…え」 さやか「あ…れ…?」 魔法弾と剣は直撃する寸前に、 Uキラーザウルスの頭から首部分まですっぽりと覆い尽くす灰色の障壁に弾かれ 粉々に砕け散ってしまう Uキラー「グルルルゥ…」 QB『亜空間バリアー…なんとか間に合ったよ』 QB『なるほどね…やけに簡単に捕まってくれると思ったら…』 QB『触手を利用して僕自身をその位置から狙うためかい…』 さやか「そ…そんな…そん…な…」 ほむら「…」 QB『残念だったね』 QB『ここを狙うっていう考えは悪くなかったんだけど…』 QB『バリアーを張られることは予想外だったんだね?』 ほむら「…」 QB『所詮君達じゃこの力には手も足も出ない』 QB『それじゃ、お疲れ様』 Uキラー「ギャォオオオォ!!!」 バリバリバリッ!! さやか「ひっ…!!」 ほむら「!…」 バァン! ドグシャッ! さやか「え…?」 ほむら「…」ジャキッ QB『!』 ほむらがディバイトランチャーを撃ち、さやかを縛る触手を切断する さやか「…ほむ…ら…?」 拘束が解かれたさやかは宙に投げ出され 地上へと真っ逆さまに落下していく マミ「!! 美樹さん!」 シュルルルッ ガシッ さやか「うっ…!」 マミが拘束魔法でさやかを空中で受け止め、 抱き寄せる さやか「ほむら…が…ほむらがっ…!」 さやか「あたしを…助けるため…に…!」 マミ「佐倉さん!!」 杏子「っ…ほむらぁぁああっ!!」ダッ 杏子がUキラーザウルスへと跳躍し、ほむらを助けに向かう ほむら「あっ…か…」ギシギシッ QB『…大したものだね』 QB『残り少ない魔力を仲間を助けるために使うとは…』 ほむら「まどか…をっ…!」ジャキッ QB『ん?』 ボロボロの体で、なおも武器に手を伸ばす QB『…やめたほうがいいよ?』 QB『いくら魔法少女の身体が頑強でも…もう限界だろう?』 ほむら「ま…ど…か……を…」 うわ言のように友の名前を呟き 焦点の定まらない瞳をキュウべえに向ける ほむら「まどかを…返して…!」 QB『うーん、あれだけ叩きつけられたんだから…』 QB『きっと内臓のどこかが相当なダメージを負ってるんじゃない?』 QB『口の中が血の味でいっぱいだろう?』 QB『大人しくしていればソウルジェムを砕いて楽に――――』 バァン バチッ! QB『…おやおや』 ほむら「く…くぐぐっ……!!」 魔力を絞り出した決死の一撃も バリアーに阻まれ、キュウべえには届かない QB『そうか。それが君の答えか…』 ほむら「……ッ!!!」 ほむら「ぁぁぁぁああああああっ!!!!」 ほむら「まどかを返せぇぇぇええええっっ!!!」グッ ドババババァン! 錯乱し、ディバイトランチャーのトリガーを引く QB『な…!!』 バチチチチッ!! 放たれた大量の魔法弾、 命を削る攻撃もバリアーの前には全くの無力だった ほむら「ううぅっ!!ぅぅぅぁぁあああ!!」 バンバンバンッ! QB『暁美ほむら!君は…!!』 QB『そんなに撃ち続ければ君は……!』 ほむら「返せっ!返せっ!」 ほむら「まどかをかえ―――――」 ゴキッ QB『…』 ほむら「かっ……!」 ほむら「………」ピクピク QB『…最後まで手こずらせてくれるね…』 QB『だがこれで…』 バリバリバリッ!! 赤い稲妻を帯びた触手がほむらに迫る 杏子「だらぁあああっ!」ブンッ!! QB『!!』 ズバッ! ほむら「…」グラッ 杏子「ほむらっ!!」ガシッ 杏子の投げた槍が触手を切り落とし 支えを失い、落下してきたほむらを杏子が受け止める QB『…杏子か!』 QB『逃がさないよ!二人まとめて…!』 マミ「キュウべえっ!!」 QB『…マミ?』 マミ「喰らいなさい…!」チャキッ バンッ! QB『…?』 QB『何を考えているんだい…今更こんな銃弾一発が…』 バチュン!! QB『うっ!?』 Uキラー「グガッ!?」 QB『目が…!』 マミの撃った銃弾がUキラーザウルスのバリアーに接触する直前 強烈な音と共に破裂する Uキラー「グゥ…ガルルル……」 QB『今のは…』 QB『炸裂弾だね』 QB『目くらましが目的だったってワケかい…』 キュウべえの視界が回復した時、すでに四人の魔法少女達はその場から消えていた QB『…逃げたか』 …………………………………… ガラガラガラ… ゴゴゴゴゴ… ダイゴ「…」 我夢「圧倒的だ…」 アスカ「……」 暴れ回るUキラーザウルス 傷つく少女達を遠方より見つめる三人 アスカ「…くっそぉぉおお!」 アスカ「もう我慢できねぇええっ!!!」 ダッ ダイゴ「待て!アスカ!!」 駆け出すアスカを引きとめるダイゴ ダイゴ「…行くのかい?」 アスカ「…当たり前っすよ」クルッ アスカ「助けに行くに決まってんでしょ!!」 ダイゴに向き直り、怒鳴るように言う ダイゴ「…変身する気かい?」 アスカ「そうです!」 アスカ「確かに俺達のエネルギーはほんの少ししか戻って無い…」 我夢「…」 アスカ「でも…俺は…」 アスカ「黙って見ているだけなんて耐えられないっ!!」 ダイゴ「解っているのかい?」 ダイゴ「少ないエネルギーで変身して…もし負ければ…確実に…」 我夢「…だったら」 黙り込んでいた我夢が口を開く 我夢「簡単なこと…負けなければいいんですよ」 ダイゴ「…!」 アスカ「あいつらは今…自分に出来ることを精一杯やってる…!」 我夢「僕達も…やるべきことをやるんだ」 町を破壊し続けるUキラーザウルスを睨みつけ それぞれの変身アイテムを握りしめる ダイゴ「どうやら皆…気持ちは同じようだね」 アスカ「!…ダイゴさん…」 我夢「…はい!」 ダイゴ「…決まりだね」 ダイゴ「……行こう!」 アスカ「よっしゃ!待ってろよ!!」 我夢「必ず助ける…それまで無事でいてくれ…!」 ダッ 少女達の元へ 三人の男たちが駆け出す …………………………………… 半壊したビルの中に身を隠す四人の魔法少女 その内の二人はボロボロに傷つき、すでに戦える状態ではなかった 杏子「マミ、治癒魔法だ!早く!!」 マミ「もうやってるわよ!…やってるけど…っ!」 キュゥウウン… ほむら「…」 さやか「…んっ」ピクッ 杏子「さやか…よかった…!」 さやか「あ…?あたし…」 杏子「マミ!さやかが目を覚ました!!」 マミ「ええ…恐らく美樹さん自身の能力も加わってのことでしょうね」 マミ「でも問題は…」 ほむら「…」 血に塗れ、ピクリとも動かないほむら その身体になおも手をかざし、治癒魔法を掛け続ける さやか「マミさん…ほむらは…?」 マミ「ソウルジェムが無事なら…まだ助かるハズだけど…」 マミ「肉体へのダメージが大きすぎる…完全に回復するにはまだ…」 ドゴォォォオオオン!! マミ「!?」 杏子「もう来やがったか…!」 さやか「不味いよ…!このままじゃここが…」 ビルのフロアの床を巨大な触手が突き破り、 半壊状態だったビルが完全に崩壊し始める ガラガラガラッ! マミ「く…!」 ほむら「…」ガシッ …………………………………… さやか「いっ……たぁ…」 杏子「…ま…マミ…ほむらは…?」 ガコッ マミ「大丈夫…ここに…」 瓦礫を押し退け、マミが現れる その腕にはしっかりとほむらを抱き締めていた ほむら「っ…あ…」ピクッ マミ「!!…暁美さん…」 ほむら「…ここ…は…?」 杏子「よぉ…最悪のタイミングで起こしちまったな…」 ズンッ ズンッ Uキラー「グォオオオ…!」 QB『やあ、ようやく見つけたよ!』 倒壊したビルの前に、 追い打ちをかけるようにUキラーザウルスが迫る バリバリバリッ!! QB『今度こそ終わりだ』 バシュシュシュゥウウ!! ほむら「インキュ……ベーター…」 マミ「こんな…こんなところで…!」 さやか「…」 杏子「…!!」チャキッ 触手から放たれた赤い雷撃が 瓦礫の上の四人に迫る ガシャン! ドガガガガガガッ!! ほむら「…!!」 マミ「…あ…れ…?」 さやか「攻撃が…こない…?」 さやかとマミがきつく閉じた目を恐る恐る開く 杏子「…………」ドサッ マミ「!!」 さやか「うそ…」 開いた瞳に映し出されたものは 粉々に砕けた赤い障壁と その場に倒れ込んだ杏子の姿だった さやか「杏子ぉぉおおおっ!!」 タタタッ… 倒れた杏子に駆け寄る 杏子「無事…か…へへ…」 杏子「ギリギリ…間に合ったみたいだ…」 さやか「あ…あああ…やだ…」 ドクン… 杏子「!…やべ…え…な…」 杏子「これ…死んじまうか…な…」 さやか「杏子…やだ…やだ!」 さやか「マミさん!!杏子を…」 ドクン… さやか「うっ…!?」 ドクン… ほむら「あ…」 ドクン… マミ「そん…なっ!」 マミ「この…タイミングでっ…ソウルジェム…が…!」 全員のソウルジェムが真っ黒に染まり、 苦痛に耐えられなくなったマミとさやかが崩れ落ちる ほむら「はぁっ…はぁっ…」 ほむら「このままじゃ…全滅…」 ガシッ 再び時を戻すため、 左腕の砂時計に手を伸ばす QB『…また繰り返すの?』 ほむら「…!」ピクッ キュウべえの一言で、手が止まる QB『まぁそれもいいかもね』 QB『鹿目まどかは契約してしまったんだし…』 ほむら「…?」 ほむら「…今…なんて…」 QB『おっと…』 絶望の表情を浮かべ、Uキラーザウルスを見上げるほむら QB『まぁ教えてあげてもいいか…』 QB『鹿目まどかは契約したよ…君達を守るために』 ほむら「?……?…」 QB『理解できないって顔だね…』 QB『契約させるのは簡単だったよ』 QB『今、この状況』 QB『君達全員が僕の力の前に屈服している…』 QB『これと全く同じ破滅のビジョンを見せてあげたんだよ』 ほむら「…!!」 QB『それで僕はこう言ってあげたんだ』 QB『彼女達を助けたい?…ってね』 ほむら「……」 QB『それなのに…』 QB『彼女からはロクなエネルギーが取れなかったよ』 ほむら「…え?」 ほむら「なん…で?だってまどかは…」 QB『そう、君のおかげで最強の魔法少女になったはずなんだけどね』 QB『どういうわけか…彼女に集中した因果の力は消えてしまったみたいだ』 Uキラー「グルルルル…!」 QB『…お喋りが過ぎたようだね』 ほむら「!!…」ガシッ QB『時を戻すなら無駄だよ』 QB『僕達は回収した記憶とエネルギーを次の時間軸へ持ち越せる』 QB『ヤプールのおかげでね』 ほむら「!?…じゃ、じゃあ」 ほむら「私が何をしようと…」 QB『うん。どこに逃げようと、どう足掻こうと…』 QB『もう無駄ってこと』 ほむら「……」ガクン 糸の切れた人形のように、力無くその場に倒れ込む ほむら「うっ…くっ…」ジワッ ほむら「う…うう、っく…」 ほむら「…あ、ああ…あ、ああああ、うっ、うう、う…」ポロポロ 恐ろしい喪失感 恐怖と絶望の表情を浮かべ その瞳から悲しみの涙が溢れ出す QB『まぁそう悲観することは無い』 QB『君の絶望はエネルギーとなって宇宙の糧になるんだからね』 ザッ Uキラーザウルス「グゥ…」 QB『?…君達は…』 ほむら「…?」 少女の瞳から涙がこぼれおちたその時 Uキラーザウルスの前に 三人の男達が立ち塞がる アスカ「うぉお…近くで見るとでけぇ!」 ダイゴ「やっと着いた…思ったより離れていたね」 我夢「みんな!大丈夫!?」 ほむら「……!」 マミ「我夢…さん…?」 さやか「…お兄さん達…」 ほむら「あなた達…なんで…」 アスカ「あーあー!起きなくて大丈夫だって!」 我夢「後は僕達に任せて!」 優しい笑顔で少女達に語りかける QB『…君達、まさかとは思うが…僕と戦う気かい?』 ダイゴ「そのまさかだよ」 さやか「…!」 マミ「無茶ですよ…っ!その残り少ないエネルギーじゃ…」 アスカ「それでもやるんだ!」 マミの言葉を遮るアスカ 我夢「ああ…無茶かもしれないけど無理じゃない」 ダイゴ「その通り」 ほむら「!…なんっ…で…」 ダイゴ「?」 ほむら「なぜあなた達は…」 ほむら「別の世界の住人なのに…ここまで…」 QB『まったくだね!』 キュウべえが会話に割り込む QB『僕達に協力してくれれば元の世界に帰してあげることもできるよ?』 QB『ヤプールとインキュベーターの科学力があれば次元を超えることも―――』 ダイゴ・アスカ・我夢「「「断る」」」 QB『……わけが解らないよ…』 QB『なぜメリットの無い方に味方するのかな…』 QB『熱くなって一時の感情に身を任せると後悔することになるよ?』 アスカ「うるせぇ!熱くならなきゃ後悔するときだってあるんだ!!」スッ 巨体を見上げてアスカが叫ぶ その右手にリーフラッシャーを握りしめて QB『…』 QB『解らない…解らないよ…』 QB『魔法少女達は…滅びる運命にあるんだよ…!!』 ダイゴ「もしそうだとしても」スッ ダイゴ「そんな運命なんて…変えればいい!」 スパークレンスを握りしめ、身構えるダイゴ QB『そんなことが出来ると思っているのかい!?』 我夢「出来る出来ないじゃなくて…」スッ 我夢「やるんだ。僕達が」 我夢がエスプレンダーを手に取り、胸の前に構える QB『…やれやれ』 QB『どうせ戦うんならワルプルギスと戦って欲しかったよ』 QB『僕が君達と戦ってもデータは取れないからね…』 Uキラー「グガァァアアア!!」 バシュゥウウン! 赤い雷撃が、七人に向けて放たれる ダイゴ「…」 アスカ「…!!」 我夢「…!」 バッ ダイゴ「ティガァァアアアアアッッ!!!」 アスカ「ダイナァァァアアアア!!!」 我夢「ガイアァァァアアア!!!」 バチッ ドガガガガッ Uキラー「グゥゥ!!?」 QB『なに…!!』 暗雲が立ち込める空へ、一直線に伸びる三本の光の柱 その光は雷撃を弾き返し、巨人の形を形成する ズンッ ティガ「…」 ダイナ「ジュアッ!!」 ガイア「ディヤッ!」 クルッ ティガ「…ジャッ!」 キュィイイン… ほむら「……?…この…光は…」 マミ「!…ソウルジェムが…」 さやか「…わぁ…」 ティガの額のクリスタルから照射された光が魔法少女達を包みこみ 体の傷を癒し、ソウルジェムの穢れを浄化する QB『…馬鹿な…残り少ないエネルギーを他人の為に…!?』 QB『君達のエネルギーは三分の一にも満たないというのに…』 QB『まるで生き急いでるようだね』 ダイナ『お前みたいな卑怯者をぶちのめすまで俺達は死なねぇ!!』 ガイア『僕は彼女達を守る…この星から出ていけ!!』 QB『…こっちの台詞だよ!!』 Uキラー「グォァアアアアアッ!!」 バシュゥウウン ティガ『!…君達は離れていて!』ダッ ほむら「……」 マミ「あっ…!」 …………………………………… ドガッ ガガガッ バシュッ ほむら「……」 マミ「…ダイゴさん達が…戦ってる…」 Uキラーザウルスの周囲を飛び回りながら戦う三人のウルトラマン その姿を呆然と見詰める二人 杏子「…遅れている場合かよ……!」ググッ さやか「!!…杏子…!」 槍を杖代わりに体を起こし、立ち上がる杏子 杏子「アタシも一緒に戦うんだ…!」 さやか「!…」 チャキッ さやか「そうだ…!別の世界のみんなが戦ってるんだから…」 さやか「あたしだって!」 マミ「そうね…!」 マミ「こんなところで…何もせず終わってしまっていいはずがない!!」 ほむら「……」 杏子「ほむら!」 さやか「ほむらっ…!」 マミ「暁美さん…」 三人がほむらへ瞳を向ける ほむら「…彼等と力を合わせて…この戦いで勝利すれば…」 ほむら「運命を…変えれるかもしれない…!」ジャキッ 再びディバイトランチャーを手に取り 足を踏みしめ、立ち上がる ほむら「…行きましょう」 杏子「!…へへっ」 マミ「ええ!」 さやか「そうこなくちゃね!!」 ~次回予告~ …………………………………… ガイア『亜空間バリアーの突破…多方向からの同時攻撃!』 マミ「届いて…!!」 …………………………………… まどか「迷惑ばっかり掛けてきたわたしが…」 まどか「最後に…少しだけみんなの力になって…」 まどか「一人孤独に死んでいく…」 まどか「それがあなたへの…せめてもの罪滅ぼし…」 ほむら『…まどか……』 …………………………………… まどか「私は……」 BACKまどか「…ウルトラマン!」 9 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 11
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ドシュッ!! ヤプール「ぐふっ!?」 さやか「ぁ……」 雄叫びとともに杏子の繰り出した槍の一撃は、 友の体ごとヤプールの胸部を深々と貫き、その矛先は背中へと抜ける 蚊の鳴くような小さな声を上げるさやか そんな彼女の首を掴んだまま、 ヤプールの口からは人間のそれとは程遠い、不気味などす黒い血を吐き出す まどか「さやかちゃんっ!?」 マミ「佐倉さん…な、なんで………」 ほむら「そんな……杏子、さっきのははったりだったというの…!?」 ヤプール「ば、馬鹿な!ありえん!!ぐっ……き…貴様ぁ……!!」 目の前で行われた信じられない杏子の行動に、 一同それぞれの思考は錯乱する それはヤプールとて例外ではない 杏子「…………」 さやか「…………」 しかしそんな中、 杏子とさやかの二人はお互いを見つめ合ったまま動かない その沈黙の間にも槍に貫かれたさやかの傷口からは真っ赤な血が流れ落ちている さやか「………そうか……これは…」 先に口を開いたのはさやか さやかに口から血を流し、虚ろな瞳を漂わせながら小さく呟く 杏子「……借りは返したぜさやか」 その声を聞いて杏子はさやかが何かに気付いた事を感じ取り、 八重歯を見せながらにやりと笑う それは自身の作戦が成功した事を意味する会心の笑みだった ヤプール「き、貴様何を笑って………うぐっ!?」 キィイン… マミ「うっ……何!?あ、頭が……!!」 まどか「これもヤプールが……!?」 ほむら「いや……違う!」 突然一同を襲う強烈な頭痛 視界が崩れる様に歪み、目の前が少しづつ暗くなる だがそれは魔法少女達だけでなくヤプールすらもその現象に襲われていた ヤプール「ぬっ……がぁあああ……!!」 唸り声を上げるヤプール 彼の目の前にいる杏子の姿は少しづつ消えてゆく だが槍に貫かれた胸の激痛は未だその体を襲い続ける まどか「っ!?み、見て!杏子ちゃんが!」 マミ「え!?」 ほむら「何が起こったの……!?」 強烈な頭痛に耐えながら、 滅茶苦茶に歪む視界の中、杏子に視線を移す少女達 先程までヤプールとさやかに正面から槍を突き立てていた少女の姿は薄れ、 入れ替わる様にヤプールの背後に赤い髪の少女が少しづつ姿を現す それに伴い、さやかの胸を貫いていた槍は消え、傷口もまるで元から無かったかのように消える ヤプール「ぐっ……これ…はぁああ…!!」 杏子「どうだい狐に化かされた気分だろ?」 ヤプールの眼前から完全に消えた杏子 彼女は霧のようにヤプールの背後に出現し、 彼を背中から胸に掛けて貫いた槍をしっかりと握り締めていた 杏子「こいつは幻術だ。お前らのデータは不十分だったってことさ」 さやか「う……くっ」ドシャ ヤプールの拘束から解放されたさやかは支えを失い、 そのまま前のめりに倒れ込む その後ろで、串刺しにされたヤプールは血を吐きながら唸り続ける ヤプール「う……ごぉおおおお!!」 杏子「このまま………ぶっ倒れろぉおおおおーーーっ!!!」ブンッ 杏子は全身に力を入れヤプールの刺さった槍をゆっくりと持ち上げ、 大きく縦に振り抜く ヤプール「ぬおぉおおっ!?」 ドガァアン!! 杏子「はぁっ……はぁっ……どうだっ!!」 ヤプールは胸から噴水のようにどす黒い血を噴き出しながら、 辺りに散らばった瓦礫の山に叩きつけられる それを見た杏子は満足気に言い放ち、 倒れ込んだままのさやかの元へ向かう マミ「美樹さん、佐倉さん!!」 まどか「あ……わ、わたしたちも!」 ほむら「ええ……行きましょう」 少し遅れて、 頭痛が収まり、視界も元通りになった三人がさやかの元へと駆け出す 杏子「ほれ立ちな!まだおねんねしてる場合じゃないぜ!」 さやか「いでででで!ちょ、ちょっと!もっと優しくしてよぉ……!」 強引にさやかの手を取り、立ち上がらせる 杏子は彼女を見つめながら悪戯っぽく微笑むが、その瞳は優しかった マミ「美樹さん大丈夫!?傷口、見せてみなさい!」 さやか「うぅ~……乱暴者の後だとマミさんの優しさが身にしみる……」 杏子「んだとぉ!?」 ほむら「……冗談を飛ばせるならまだいけそうね」ガシッ 杏子「て、てめー!離せほむらー!!」 さやかがわざとらしくマミに泣きつき、 それを見て怒った杏子をほむらは羽交い絞めにして黙らせる 少女達に一時の笑顔が戻るそんな中、 一人だけ浮かない顔の者が一人 まどか「さやかちゃん……」 さやか「いてて………ん?どしたまどか?」 マミに傷口を触れられながら視線を移すさやか その先には泣きそうな目をしたまどかの姿 まどか「わたし……わたしさやかちゃんが酷い目にあってるのに……何もしてあげられなくって…」 さやか「……」 まどか「それにわたしヤプールにああ言われて……さやかちゃんとマミさんの命を天秤にかけるようなことを考えて……」 さやか「……でも出来なかったんでしょ?」 まどか「え?う、うん」 さやか「ならそれでいいじゃん!それがまどかの優しさなんだからさ?」 マミ「……まぁ、鹿目さんはそんなこと出来る子じゃないって私は知ってるし……ね」ポン まどか「!……っ……うんっ!」 まどかの肩に優しく手を置くマミ さやかは屈託のない笑顔で心の底からそう言い放つ その言葉を聞きまどかは瞳からこぼれ落ちそうになった涙を拭い、 お返しとばかりに笑顔をさやかに向ける さやか「ま、いざとなったら杏子が助けてくれるってあたしは信じてたしね~!」ガシッ まどか「ひゃ!?」 杏子「……ばーか」 さやかがまどかと杏子の間に入り込み、二人の肩に手を回す 顔を少し赤らめるまどか、 杏子は悪態をつきながらもその顔はまんざらでもなさそうだった マミ「ふふっ……」 ほむら「やれやれだわ……」 バシュッ!! ほむら「……!?」バッ ドガッ! ほむら「っつぅう………!!」 マミ「暁美さん!!……攻撃!?」 辺りに立ち込める土煙、 その向こうから突然飛んで来た光弾をほむらは咄嗟に左腕の盾で受け止める あまりの衝撃にふらつく足を何とか床に踏ん張らせる まどか「ヤプールはまだあんなに力を残してるの!?」 さやか「ちょっと杏子!どういうこと!?」 杏子「いや……間違いなく手ごたえはあったしアイツにはあの攻撃は防ぎようは無いはずだ」 先程の雰囲気から一変、 五人の少女達は表情を険しくし、お互いの背中を合わせて再び円を作る ほむら(次はどこから来る……?!) 全員が目を凝らし神経を研ぎ澄ませながら、 周囲に目を配る ダッ マミ「!! 上よ!」 杏子「なっ!?」 ほむら「!……くっ」 マミの声に反応して上を見上げる一同 そこにはエネルギーを右腕に集束させ凄まじい勢いで迫るヤプール 反射的にほむらとマミは銃を向け撃墜しようとするが、 気付いた時にはもう遅すぎた ドゴォオオン!! ほむら「あっ!?」 マミ「きゃぁああっ!!」 五人の円の中心に叩きこまれた強烈な一撃は爆風を巻き起こし、 ほむらとマミは吹き飛ばされ、勢い良く床に転がる ドゴォッ! 杏子「がぁっ!?」 さやか「うぐぁああっ!!」 さやかと杏子は重なり合う様に吹き上げられ、 二人同時に壁に激突 大きくめり込み、瓦礫が崩れ落ちる まどか「あっ!?……ぅう」ドガッ そしてまどかはヤプールから一番遠い真正面の壁に叩きつけられ、 糸の切れた人形のようにぐったりとへたり込む さやか「あ、あいつっ……まだあれだけ動けるの…!?」 杏子「っ……!……いや、見ろ!!」 凄まじいまでのヤプールの攻撃に驚愕するさやか しかし、 杏子は壁際で瓦礫の山に体を預けながら、ヤプールを指差す ヤプール「はぁ……はぁ……ぬぅううごぉあああああ!!!」ボタボタ バチチチッ さやか「!?」 そこにいたのは左腕で胸の傷口を抑え、 狂ったように雄叫びを上げて腕を滅茶苦茶に振り回すヤプールがいた 少女達を一方的に痛めつけ、見下し、楽しみながら弄んでいた悪魔の様な存在 しかし先程までの余裕に満ちた態度は消え失せ、 体の各所から血と火花を撒き散らしながら激痛に苦しんでいた ほむら「効い……てる?」 マミ「ええ……あと…少しっ……!」グッ ヤプールをあと一歩のところまで追いつめている その明らかな事実が少女達の心に最後の炎を灯す ヤプール「ち……地球の……ガァ…キごときにぃっ!!……こ、これほどまでの……」 まどか「っつぅ……」 ヤプール「この程度の傷……すぐに回復を……ごはぁっ!」ビチャッ まどか(やるなら……今しかないっ!) 血と憎悪の言葉を吐きながらふらつくヤプール それを見たまどかが力を振り絞り、 壁に背を付けながら足を踏ん張り、やっとのことで立ち上がる まどか「……はぁっ…!」キュイン 床に落ちた弓を光の粒子へと変換し左腕に集中、 手首を中心に出現する光輝く弓 ヤプールにトドメを刺すべく、アローレイシュトロームの発射準備に入る まどか「はぁぁああああっ……!」シュゥウ 弓を引き絞るごとに輝きを増す必殺の一撃、 それと対照的にじわじわとソウルジェムには穢れが溜まっていく だが回復している暇はもはや彼女には無い まどか(ヤツを倒せるだけの力……お願いだから早く溜まってっ!!) 心の中で念じるまどか しかしヤプールがそれを許すはずがなかった ヤプール「!!……鹿目……まどかぁぁあああああああっ!!!」 さやか「! バレ……た!!」 杏子「くっ……まどかぁっ攻撃されるぞ!逃げろ!!」 倒れながらも杏子が叫ぶもまどかはその場から動こうとはしない そうしている内にもヤプールは右腕のカギ爪に毒々しい色の不気味な光を集中させ、 雄叫びを上げながらさらに力を溜める マミ「そうは……させないっ!!」バァン ブシュッ ヤプール「ぬがぁぁぁぁあああああああああ!!!」 マミ「!?……」バンバンッ! 床に体を伏せたままヤプールの背中に向けて発砲するも 荒狂うヤプールはその攻撃をものともせず、まどかを殺すための力を蓄え続ける マミ「駄目!もっと威力の高い攻撃じゃないと!」 ほむら「なら私がっ!」 ドクン ほむら「!?…ぁ…ぅ…」 マミ「あ、暁美さんっ!?」 床に膝を着きながらディバイトランチャーの引き金を引こうとするも、 ほむらはふらつき、マミに体を預けた マミ「!?………まさか!」バッ ほむら「こんなときにっ……!!」 マミ「やっぱり……ソウルジェムが……」 ほむらの体を抱き上げ、マミは絶句する 紫色に輝いていたほむらのソウルジェムには限界寸前にまで穢れが溜まり、 今まさに黒一色に染まろうとしていた マミ「そ、そんな……このままじゃ!」 ほむら「っ……戦闘中に…回復する暇なんて……無かったのよ……はぁ…はぁっ……」 息を荒げながらも、ほむらは再びランチャーに手を伸ばす ほむら「時間が無いわ……離して…!」 肩を掴むマミの手を払いのけようともがくほむら しかしマミはそれを許さない マミ「やめて!あと一発でも撃ったらあなたは!!」 ほむら「まどかは……私が守るのよ……っ!!」 マミ「!!」 凄まじい形相でマミを睨みつけるほむら その瞳には揺るがない強い決意の色が宿っていた マミ「………」 ほむら「さぁ……離しな……さい!……ぐぅっ!」 額に汗を浮かべ痛みに耐えるほむら そんな彼女の姿を見ながらマミは無言のまま唇を噛み締める ヤプール「殺してやる……殺してやるぞぉおおおおおっ!!!」ダッ まどか(!!……き、来たっ!) 右腕に凄まじいエネルギーを蓄えたヤプールがまどかへ向けて一気に駆け出す その速さは先程までの高速移動には遠く及ばないものの、 まどかが魔力を溜め終わるまでに攻撃するには十分な速さだった 杏子「くっそ野郎……がぁああっ……!!」ググッ 杏子が瓦礫に埋もれた足を何とか引き抜こうとするも、 抜けたところで今からヤプールに追いつくことはほぼ不可能 さやか「ち……くしょ……足がっ……」フラッ 一方さやかは剣を杖代わりにしながらなんとか立ち上がるも、 先程のヤプールの攻撃で足を負傷し素早く動き回る事ができない状態 自然治癒の能力も穢れの溜まったソウルジェムでは思う様に機能しない ヤプール「ぬがぁぁあああああああっ!!!」 その間にもヤプールはまどかへ向けて少しづつ迫る もはや一刻の猶予も無い ほむら「マミぃいいっ!!!」 マミ「……」 バッ ほむら「えっ!?」 マミ「………使いなさい、とにかく全快するまで動かないで」 マミはほむらを押し倒し、 穢れのたまったそのソウルジェムにグリーフシードを押しつける ほむらは一瞬呆気に取られるも、すぐさまマミに向かって叫ぶ ほむら「マミっ!あなたどういう―――」 マミ「黙りなさい!!!仲間を大切に思っているのはあなただけじゃないのよ!?」 ほむら「!!………ぁ…」 目を逸らし、大人しくなるほむら 初めて見る本気で激怒したマミの姿にほむらはただ大人しく従うしかなかった マミ「…………」スッ そのままほむらに背を向け、 マミは他の三人に対して念話を試みる キィイン… マミ『みんな、聞こえる!?』 まどか『……?』 さやか『この声…マミさん?』 杏子『! マミか!念話なんてしてる場合じゃないぜ!?』 マミ『いいから聞いて!』 マミ『恐らくここで大技を撃ってもヤツに回避される事は目に見えてる!それにこちらの手の内は全部晒した!』 杏子『じゃあどうすんだよ!?』 マミ『……トリックプレイといきましょうか』 …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ 大地を砕き、大気を震わせる力のぶつかり合い 十一人の巨人とそれを上回る超獣達が入り乱れての大混戦 それぞれの巨人が放つ必殺の光線が超獣達を撃ち砕くも、すぐさまその後ろから新たな超獣が現れる 感情も無く、理性すらも消え失せた超獣達に死に対する恐怖は無く、 仲間の屍を踏み越えて巨人たちに襲い掛かる ガイア『こっちはもう少しで終わる……!彼女達は!?』 メビウス『兄さん達!みんなはまだ戻りそうにないんですか!?』 互いに背中を合わせ、迫り来る超獣に備える 敵の数は確実に減り続けているとはいえ、巨人達の体力も既に底をつきかけていた セブン『こちらから艦内の状況を知るための手段は無い!今我々は我々に出来ることをするんだ!』 ゾフィー(後少しで宇宙にいる仲間達もここへ来る事ができる……そうなればほぼ完全にこちらの勝利だ) ダイナ『上等だ!だったらこっちを全部片付けてアイツらを助けに行ってやるぜ!!』 ティガ『はは……頼もしいね』 超獣「ギャオァアアアアアアアア!!」 マン『信じろ、彼女達は必ず帰ってくる!』 魔法少女達の帰還を信じながら、 巨人達は死力を尽くし残りの超獣達を迎え撃つ …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター母艦~ ヤプールに迫られながらも必殺技を放つための力を蓄えるまどか だがその場から動く事は出来ない 片足を瓦礫に挟まれ、今すぐには脱出することの出来ない杏子 その横には足を負傷し、まともに走れないさやか 魔力が底を尽きかけ、グリーフシードを使い回復を待つほむら そしてほむらほどでは無いにしろ、 同じく魔力が底を尽く寸前で大技を放つ事の出来ないマミ 彼女は全員に念話を飛ばし、 ヤプールに仕掛ける最後の攻撃作戦を手短に説明する まどか『……えぇっ!?』 マミが考えたヤプールに仕掛ける最後の攻撃 その無茶な内容を聞いたまどかは驚き、戸惑いを隠せない マミ『ここにいる全員がお互いをカバーする……一人でも失敗したら終わりよ!』 さやか『でもこんな作戦……大丈夫かな……』 グイン! さやか「うおっとぉ!?」 杏子「迷ってる場合かよ!?さっさとやるぞ!!」 杏子が座り込んだ姿勢のまま、 巨大化させた槍の刃を横にした状態で、その上に杏子を器用に乗せる 杏子「いくぜ!上手くやれよ!?」 さやか「……まぁ悩んでる暇も無いしね!」 キィイン… さやか『まどか、遠慮なくやっちゃっていいからね!!』 まどか『で、でももし失敗したら……』 槍の上に屈んだまま、 さやかは念話でまどかに語りかける まどかは決意を固めたさやかとは対照的に未だ不安を感じていた さやか『大丈夫!あんた自身を信じて!………そして……あたしを信じて!!』 まどか『……うん!わかった!!』 さやかはそんなまどかの不安を吹き飛ばす様に言い放つ ヤプール「ぬぉおおおおおおおおおおおおっ!!!」 怒りの叫びを上げながらまどかへ突き進むヤプール その距離はあと十歩程度 マミ「!! 佐倉さん急いで!」 杏子「おうっ!………さぁ~上手く飛べ……よぉおおおおおおおっと!!」 さやか「……今だ!」ダッ 杏子が歯を食いしばりながら両腕に力を入れ、 さやかが乗った巨大な槍を全力で横薙ぎに振る それと同時にさやかは傷付いた足に最後の力を込め、 剣を握り締め、全身をバネにして杏子の槍を両足で思いっきり蹴る ゴォッ!! 杏子「いけぇえええーーーっ!!!」 ヤプールがまどかに到達するまでの距離はおよそ五歩分 遠心力で投げ飛ばされたさやかはヤプールの背中目掛けて一直線 動けないさやかと杏子がお互いの傷をカバーし合い、 攻撃を仕掛ける ヤプール「ぉぉおおおおおおおおお!!!」 凄まじいスピードで迫るさやかだが、 ヤプールがまどかに到達するまでの方がやや速い まどか「………今だっ!!」バッ ドシュン! 咄嗟に左腕に装着された光の弓を掲げ、 魔力の溜めが完全ではないものの、まどかはアローレイシュトロームを放つ しかし…… ヤプール「ぬ!?うぉおおおおっ!!」 ピシュン! まどかの放った光の矢 それの接近をギリギリで察知したヤプールは体を捻り、 肩を少しかすめはしたものの、すんでのところで回避する 命中すれば、 良くて致命傷、悪くて即死の一撃だった まどか「……!」 ヤプール「馬鹿がぁ!!死ねぇええええっ!!!」グッ 勝利を確信したヤプールが腕を振り上げ、 まどかにその強靭なカギ爪を向ける バシュィイン!! ヤプール「?!」 落雷のような音がヤプールの後方で鳴り響き、 それと同時に青と桃色の光が混ざり合う 「………まどかが狙ったのはあんただと思った?」 ヤプール「!! し、しまっ――」 接近してくる聞き覚えのある声 ヤプールは反射的に振り向き、 不気味な紫の光を放つカギ爪を突き出し、防御の構えを取る だが、もう遅い 彼の眼前には、 まどかのアローレイシュトロームの力を剣に宿した青い魔法少女が迫っていた さやか「残念……さやかちゃんで・し・たぁぁああああーーーーっ!!!」ゴォッ ザシュッ!!! ヤプール「!!!」 さやかの振り下ろした渾身の一撃はヤプールのカギ爪を完全に撃ち砕き、 そのまま一気に正中線を斬りつける 攻撃を剣で受け止め、 魔力に変換し、威力を増幅させて繰り出す技 さやかがワルプルギスの夜との戦いで本能的に身に着けていた業だった さやか「ぐえっ!?」 まどか「きゃああ!?」 ドシャッ! 足を負傷していたさやかは思う様に受け身を取る事が出来ず、 まどかを巻き込みながら豪快に床を転がる ヤプール「グ……ギャァァアアアアア!!!!」 まどか「ひっ!?」 さやか「うわっ……?」 ヤプール「ぬぅううううガァアアアア!!」 全身から火花を噴き出し、 顎が外れ、喉が破れんばかりの大絶叫 それとともにさやかと杏子から受けた傷口から、血とともに少しずつ光が漏れだす 広い室内に恐ろしい叫び声が響き渡る ヤプール「こんなっ!!こんなことがあるはずが無いぃいいいっ!!」 さやか「っ……こ、こいつ…!」 シュルルルッ ヤプール「!!?」ガシィッ 近くに伏せたままのさやかとまどかを見つけたヤプール 彼は再びその二人に襲い掛かろうとするも、 突然飛来した鞭のようにしなる無数の黄色いリボンがそれを許さない マミ「捕まえたっ………!!」 ヤプール「!! ガキがぁぁあああっ!!こんなものすぐに―――」 ジャラララッ! ヤプール「があっ!?」ガシン 杏子「………逃がすわけねぇだろ!」 一瞬遅れて飛んで来た多節槍の鎖がリボンの上からヤプールの体に絡み付き、 拘束は更に強力なものとなった マミは瓦礫から脱出した杏子と力を合わせ、ヤプールの動きを完全に止める そして、 マミは体から魔力を絞り出しながら叫ぶ マミ「暁美さんっ!今よーーーっ!!」 ヤプール「!!?」 マミが提案したこの作戦の最後の仕上げ ソウルジェムの穢れを完全に取り除き、 完全に回復したほむらによる全力の射撃攻撃 ほむら「………」ジャキッ ヤプール「暁美ほむらぁああーーーーーーっ!!!」 マミの希望を託す叫びと、ヤプールの憎しみを込めた叫び 二つの相反する感情をその身に受け、 ほむらはディバイトランチャーの引き金を引く ほむら「ぅうううぁぁああああーーーーーっ!!!!」 ドガガガガガガガッ!!! 大量の魔法弾は着弾と同時に爆風を巻き上げ、 一瞬にしてヤプールの姿を完全に飲み込む 千切れ飛ぶ鎖とリボン 砕け散る瓦礫と舞い上がる砂ぼこり ほむらの全力の攻撃は一発たりとも外れることはなく、 その全てがヤプールを完全に捉えていた さやか「うわぁっ!」 まどか「きゃああっ!!」 ヤプールから一番近い位置にいた二人はそのまま風圧に押され、 またしても床の上を転がる シュゥウウ…… ほむら「………」ジャコッ ランチャーを下ろし、 立ち込める土煙をただじっと見つめるほむら 杏子とマミも武器を再び魔法で生成し、握り直す そこから少し離れたところで、 まどかはさやかに肩を貸し、なんとか立ち上がらせる 杏子「……」 マミ「……」 まどか「……」 さやか「……」 ヤプール「………許さん」 ほむら「……!」ジャキッ 小さく響く声 煙が晴れ、その中から全身傷だらけでもはや虫の息といった状態のヤプールが現れる ほむらは警戒し銃口を向けるも、 もはやヤプールに戦う力が残っていない事は誰が見ても明らかだった ヤプール「必ず……貴様ら全員………殺して…やる……」 まどか「……」 さやか「大丈夫……ただの強がりだよ」 シュォオ… ヤプール「ぐふっ……」ドシャッ 恨みの言葉を吐き出しその場に倒れ込んだヤプールの体は、 黒い霧の様な粒子となり、辺りに散らばり消えていく マミ「倒した……の?」 杏子「みたいだな……っと」 ヤプールがいた場所を見つめながら呟くマミ 辺りに漂う張りつめた殺気も消え、 魔法少女達は肩の力を抜き、その場にへたり込む まどか「ふぅう……」 さやか「やっと終わったんだね……」 ほむら「……マミ」ヒュッ マミ「? あ、これは…」パシッ マミにグリーフシードを投げ渡すほむら 元々は彼女の物だが先程マミの分を使ってしまったため、その代わりとしての物だった ほむら「それとその……さっきはありがとう」 マミ「……どういたしまして」 目を逸らして気恥ずかしそうに礼を言うほむらに対し、 マミは返事をしながらくすりと笑う 杏子「じゃあアタシも回復すっか……」 まどか「さやかちゃん、わたし達も」 さやか「ん、そうだね………いてて」 マミにつられるように、 ほむら以外の全員がグリーフシードをソウルジェムに押し当て、穢れを浄化する ヤプールとの戦いも終わり、後は地上へと帰るのみ 少女達はじっくりと回復しながらも、 超獣達と戦っていた仲間達の無事を祈っていた …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ ジャック『今ので……最後か?』 エース『そうみたいですね………』 肩で息をしながらカラータイマーを点滅させ、辺りを見回す巨人達 荒廃した市街地に立っているのは十一人の巨人のみ 先程まで彼らに牙を剥き、襲い掛かって来ていた超獣達は全滅し、 周囲にいくらかの肉片が散らばっているだけでもはや一体も残っていない セブン『……魔法少女達は?』 ネクサス『まだみたいです……もしかしたらあの中でまだ戦い続けているのかも……』 ダイナ『!! そりゃあ大変だ!早く助けに……』 腕を空に向けて伸ばし、 インキュベーターの母艦へと向けて飛び立とうとしたダイナだが、 突然動きを止め、空を見上げる メビウス『どうかしたんですか?』 不思議に思った一同がダイナに呼びかけつつ、 彼と同じように空を見上げる セブン『……あれはなんだ?』 セブンが指差すその先、 遥か上空にに浮かび続けるインキュベーターの母艦 その周りには先程まで無かったはずの、 何か不気味な黒い瘴気のようなものが渦巻いていた シュォオオオ… コスモス『!? あれは……』 ガイア『……穴?』 瘴気の発生から少し遅れて、 母艦の上にブラックホールの様な穴が出現する ティガ『何かが……起ころうとしている?』 マン『………そのようだ』 空を見上げて呟くウルトラマン 彼の言う通り、 ただならぬ何かが今まさに起きようとしていた …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター母艦~ 杏子「さってと……マミ、そろそろ脱出したほうがいいんじゃないか?」 ほむら「そうね。ヤプールが死んでこの艦は実質私達以外は誰も乗って無いみたいだし……あとは彼らに任せましょう」 グリーフシードで完全回復した一同 立ち上がった杏子がマミに提案し、ほむらもそれに同意する 彼女達の役目には艦の無力化も含まれていたが、 この艦内に彼女達以外の生物がいなくなってしまった以上、ここに残り続ける意味は無かった マミ「……鹿目さんに美樹さん、二人は大丈夫?」 まどか「あ、はい!わたしは大丈夫です!……さやかちゃんもう立てる?」 さやか「ん~……もう大丈夫だと思うけど」 さやかは傷口のあった箇所を擦り、 まどかに肩を借りながらゆっくりと立ち上がる ほむら「……それなら……マミ」 マミ「ええ、脱出しましょう。とりあえず私が先導するからあなた達は―――」 ゴゴゴゴゴ…… マミ「……!?」 突然の事態に一同の表情に焦りの色が浮かぶ 艦内に設置された用途の解らない大量の危機が一斉に火を噴き爆発を起こす 強烈な揺れとともに壁や天井に亀裂が入り、 次々に瓦礫となって広い室内に雨のように降り注ぐ インキュベーターの母艦は、 破壊工作と内部での激しい戦闘によって崩壊を始めていた ほむら「崩れる……!」 杏子「おいおい!ここで死んじまったらしゃれにならねーぞ!?」 マミ「二人とも!急いでこっちに!」 まどか「はい!ほらさやかちゃん、行こう!」グイッ さやか「ご、ごめんまどか、ほんともう少しで治るから」 マミに呼ばれ、 まどかがさやかの体を支えながら三人の元へ向かう ドゴゴゴ……! 杏子「うわっ!?ゆ、床が抜けたぞ!!」 ほむら「二人とも!気をつけ………」 ほむら「………?」 ほむら「……マミ、この広間の下にある部屋って何?」 マミ「?……この下?」 床が崩れ、目の前に巨大な穴が開く ほむらはまどかとさやかの到着を待ちながらその穴を見つめ、 顔を真っ青にしながらマミに質問する マミ「確かここが機関部手前だからこの下の部屋はわけのわからない機械がたくさん―――」 ほむらの問いに答えながら、 一緒になって床の穴から下を見下ろすマミ そこには異星の機械がひしめき合い、 騒々しい音を鳴り響かせる大きな部屋がある はずだった マミ「え……?」 ほむらの横に立ち、 穴を見下ろしたまま思考が止まるマミ マミ「な、なによ…………これ」 ほむら「………」 二人が見下ろした穴の先 そこに見えるのは巨大な機械でもなく、 雲や地上でもない そこには何も無い ただ闇だけの不気味な空間が深く、どこまでも広がっていた ほむら「………」ゾクッ 周囲から飛んでくる爆発や瓦礫の崩れる音も、 その穴からは聞こえない 光も、音も、生き物の気配すらも感じない空間 その奥深くから漂ってくるものは 絶望、怨念、殺意 それらを含めたありとあらゆる負の感情が風のように吹き出してくる ほむらは目の前の異様な空間を見つめ、 言いようのない恐怖を感じる ドゴン! まどか「きゃあ!?」 さやか「う、嘘ぉ!?」 ほむら「!!」 咄嗟に顔を上げるほむら 床が豪快に崩れ落ち、 まどかとさやかは先の見えない闇の空間へと落ちてゆく ほむら「なっ!?」 杏子「マミ!リボンであの二人を!!」 マミ「! わ、わかってる!!」 杏子の声を聞きて、 思考の止まっていたマミが我に返り、落ちた二人に向かってリボンを伸ばそうとする ドゴン! ほむら「!」 マミ「あっ!!」 杏子「うっ!?ま、マジかよ……!!」 しかし足を踏ん張ろうとした途端に床が崩れ落ち、 魔法少女達は三人はさやかとまどかの後を追うような形で穴へと落ちる ほむら(死……ぬ?) ほむら「そんな……嫌よ……ここまで来て……!」 底の見えない、 何処へ繋がっているとも分からない穴に落ちながら ほむらは頭の中に浮かぶ自身が考え得る最悪の結末を必死に振り払う しかしそれは焼き付いたように何度もほむらの思考を支配し、 彼女を絶望へと誘い続ける …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ ティガ『どう……なってるんだ?』 メビウス『わ、分かりません……僕達の想像を超えた何かが……』 空を見上げたままうろたえる巨人達 その視線の先にあるはずのインキュベーターの母艦は、 先程発生した黒い瘴気の中に消えたかと思うと まるで霧のように巨大な穴の向こうへと飲み込まれていた ダイナ『なんなんだよ!あの穴は!?』 マン『……ゾフィー』 ゾフィー『皆目見当がつかん……あれほどの質量を持った宇宙船がどこへ―――』 バシュン! ゾフィー『!!』 セブン『避けろ!!』 ドガァン!! エース『くっ……!やはりまだ敵が残っていたのか!!』 ダイナ『お返しだ!喰らえ!!』 バシュゥウウ!! 突然穴の向こうから真っ黒に染まった光弾が飛来し、 着弾と同時に黒い粒子を撒き散らす 巨人達はそれをギリギリのところで回避 そこから弾かれた様に飛び出したダイナとエースの二人が、 穴に向かって光線を放つ しかし… シュゥウン… エース『なにっ!?』 ダイナ『き……消えた?』 放たれたソルジェント光線とメタリウム光線は穴に到達する直前、 黒い瘴気に取り込まれるようにして消滅する ジャック『吸収されたのか……?』 ティガ『というより……あの瘴気に阻まれてかき消されたみたいですね』 ガイア『……ただあの穴に飛び込んだらさっきの光線みたいに消滅させられてしまうかも……』 フシュゥゥウ コスモス『!?』 穴から突然溢れ出した瘴気が暗雲が立ち込めていた灰色の空を完全に黒一色に染め上げる ネクサス『ダークフィールド?………いや、違うな』 メビウス『……まどかちゃん達は無事なのか…?』 マン『……ぐぅっ!?』 セブン『! ウルトラマン、どうした!?』 魔法少女の無事を祈りながら、 空に出現した穴に向かって構えを取り警戒し続けるなか ウルトラマンが突然胸を抑え、大地に膝を着く ジャック『!! まさか……』 ゾフィー『不味いな、どうやらこの瘴気……光線だけではなく我々のエネルギーをも吸収しているようだ』 セブン『な、なんだと!?』 カラータイマーの点滅が少しづつ早まり、 周囲の瘴気は少しづつ濃さを増し、広がり続ける コスモス『そんな!このままじゃ……』 ティガ『……とにかくあのままじゃ闇はこの地球全体を包みかねない』 マン『……ああ、あれを食い止めるぞ!!』 力強く立ち上がり、 十一人の巨人は空に出現した穴を睨みつける …………………………………… …………………………………… 『絶望し、消えていった魔法少女達の力よ……』 『インキュベーターによって全宇宙から集められたエネルギーよ……』 『そして……鹿目まどかの絶望よ……!!』 『我が血肉となり今一度蘇えるのだ!!』 …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… 「………ら……ちゃ……」 「……ほ……ちゃんっ!」 ほむら「ぅ……う…」 「ほむらちゃんっ!!」 ほむら「はっ!?………」 まどか「ほむらちゃん!……よかったぁ気がついたんだね!」 心配そうにほむらの顔を覗き込む桃色の髪の少女 まどかに体を揺さぶられ、 気絶していたほむらの意識が戻る ほむら「……ここはどこ?みんなは?」グッ 全身に走る鈍い痛みを堪えながらゆっくりと体を起こし、 硬い表情のまま辺りを見回す そして最初に視界に入ったのはマミの姿 マミ「あら、お目覚めみたいね暁美さん。体は大丈夫?」 ほむら「平気よこのくらい……それより……」 ほむらはマミの言葉を軽く流すと、 真っ先に感じていた疑問を投げかける ほむら「ここは……見滝原………なの?」 マミ「そう思いたいけど……」 悲惨なまでに破壊し尽くされ荒廃してはいるが、 どことなく見覚えのある風景 彼女達の暮らす町、見滝原 だが回りは夜の闇のように暗く 空を見上げても先程超獣達と戦っていた頃のように暗雲が立ち込める灰色の空ではなく 赤、青、黄、緑 あらゆる色の絵具を水にぶちまけたような酷く不安になる空の色だった まどか「戻って来れたってことかな……?」 マミ「まさか!あの高さから落ちてこれだけの傷で済むわけがないわ!」 ほむら「ええ、それに……」 マミの言葉に頷きながら再び周囲を見回すほむら そこには自分達の帰りを待ち続けているはずの仲間達の姿はおろか、 気配すらも感じない ほむら「……ウルトラマン達がいないわ」 まどか「……だよね」 いくら見回しても巨人達の姿は見えず、 それどころかあれだけいた超獣達の死体、肉片すらも一つたりとも見当たらない マミ「参ったわね……一体何が何だか」 タッタッタッタッ… 杏子「おぉーい!!」 さやか「みんなー!見て来たよー!!」 マミ「! 二人が帰ってきたみたいね」 半分以上が崩壊した巨大なビルの陰から、 杏子とさやかが手を振り、叫びながら仲間達の元へと帰って来る ほむら「……とりあえずお帰りなさい」 杏子「おっ、ほむら!目が覚めたみたいだな」 さやか「心配したんだよー?まどかがいくら呼んでもなかなか起きないし……」 マミ「佐倉さん美樹さんお疲れ様、どうだった?」 帰って来て早々にほむらを気遣う二人 マミは表情を変えず、二人に問いかける 杏子「! あ、ああ……とりあえずこの町ざっと見回して来たけど……ここ見滝原で間違いないと思うぜ?」 さやか「あたしもそう思います……だって学校もあたしの家も壊されちゃってるけどしっかり残ってたし……」 マミ「はぁ……やっぱり……」 マミが大きくため息を吐きながら腕を組み、考え込む その間にも二人の発言は続く 杏子「それとさ!とにかく誰かいないか確かめるためにこの町から出ようと思ったんだけどさ……」 さやか「なんというか……無いんです」 マミ「無い?どういうこと?」 杏子「どういう意味ったって……なぁ?」 さやか「うん……町外れまで行ったらそこから先が真っ暗で……まるで最初から何も無いみたいで……」 マミ「?……じゃあここは一体どこなのかしら……」 ほむら「……わけがわからないわ」 二人の妙な発言に、 マミとほむらの頭の中はますます状況が呑み込めず混乱する しかしそこに意見をする者が一人 まどか「あの……もしかしてここってわたし達がいた所とは別の世界なんじゃ……」 マミ「別の?ま、ますますわけがわからなく……」 杏子「……さやか、解かるか?」 さやか「さっぱり」 頭を抱える三人に変わり、ほむらがまどかの話を聞く ほむら「別次元の世界ということ?」 まどか「うん、わたしってさ……一度ヤプールに攫われちゃったでしょ?」 ほむら「……ええ」 まどか「その時に連れて行かれた空間になんとなく感じが似てるかな~って……」 ほむら「例えばどんなとこが似てると思う?」 まどか「ん~……空のあの変な色とか、この纏わりつくような空気とか……」 別次元の空間 誰一人としてまともな考えが浮かばない中で出たまどかの予想 唯一その世界を体験してきた者の発言はどことなく真実味を帯びて、 一同の心に入り込む 杏子「でもアタシ達あいつを倒したんだろ?」 マミ「そのはずだけど……こんなこと出来るのはヤプール以外にいるとは思えないし……」 さやか「……ちょ、ちょっと待って!じゃああたし達はどうやったら帰れるの!?」 ほむら「それは……」 まどか「………」 全く原因が見えてこないこの不気味な状況に、 さやかだけではなく魔法少女全員が同じ不安を感じていた マミ「……とにかくもう一度周囲を捜索してみましょう」 杏子「だな。ここでじっとしててもどうにかなるとは思えな――――」 ドガァァアアン!!! ???『その必要は無い。お前達は全員ここで殺されるのだからな』 突如として歪んだ空から一筋の閃光が町の中心部に直撃 凄まじい大爆発とともに、 風圧で舞い上がる土煙と不気味な黒い粒子 その光の筋は少しずつ太さを増してゆき、 まるで山のような大きさの一本の大樹に似た姿を形成 それとともに崩壊した町中に響き渡る少女達にとって聞き覚えのある声 ???『どうだこの空間は?貴様達にふさわしい死に場所を私が作り出してやったのだ』 まどか「この声……ヤプール!!」 さやか「やっぱりまだ生きてたんだ!!」 少女達が驚き戸惑いながらも悔しさを露わにし、 拳を握り締める ???『ふ、ふふふ………どうだ!見ろ!!』 ???『素晴らしい!まさかこれほどとは!!私の想像を遥かに上回っていたぞ……!!』 恍惚に満ちた声を上げながら、 大樹の姿は少しずつ、それでいて大胆に変化していく マミ「Uキラーザウルス………いえ、それ以上ね」 杏子「くそ……化物が」 ほむら「………!!!!」 武器を構えながらも悪態を吐く魔法少女達の前で、 異常な変化は続く 大樹の根元からはドーム状に次々に根が生え広がり 少女達が見上げる遥か上空、 大樹の先には人の上半身のようなものが出現する 例えるならその姿は人々に救済を与える女神の姿そのもの マミ「あの姿……魔女?」 ほむら「あ……ぁあああ……」ドサッ 杏子「……ん?」 まどか「ほむらちゃん……?」 突然ほむらの表情が絶望に染まり、 銃を落とし、力が抜けたようにその場にへたり込む それを見た一同が警戒をしながらもほむらに駆け寄る さやか「ちょっとほむら!どうしちゃったの!?」 杏子「おいおい…!いまさらビビっちまったなんて言わないよな!?」 少し戸惑いながらもほむらの顔を覗き込み、問いかける二人 しかし返ってきたのは思いもよらない言葉 ほむら「あれには………誰も勝てない……!」 杏子「はぁ……?」 さやか「ほむら!?あんた何馬鹿なこといってんの!!」 その言葉に杏子は眉を顰め、 さやかは声を荒げてほむらに詰め寄る しかしほむらは恐怖と絶望に満ちた表情のまま魔女を虚ろな瞳のまま見つめ、 呆然としたまま動かない まどか「ほむらちゃん……一体どうしたの?」 マミ「暁美さん、まだ諦めるわけにはいかないわよ。私達はまだ戦えるわ」 ほむら「わ、解らないの…!?あれは戦ってどうにかなる相手じゃないのよ……!!」 まどかとマミはほむらを何とか落ち着かせようとするが、 彼女は両手で自身の体を抱き、ただただ震える さやか「ふざけないでよ!なんであんたが真っ先に絶望して……」 杏子「待てさやか!」 ほむらに掴みかかろうとしたさやかを手で制し、 杏子は落ち着いた声音でほむらに語りかける 杏子「その怯えた様子……ほむら、あんたアイツを知ってるのか?」 ほむら「………」 まどか「……?」 杏子にそう言われた途端 ほむらは一瞬だけまどかの顔を見つめて、 ゆっくりと口を開く ゴキゴキゴキッ…… さやか「うっ…!?」 マミ「な、何?!」 杏子「ちっ……」 骨を砕き、皮膚を突き破るような不快な音 それに反応した三人が振り返り、 警戒しながら巨大な魔女の姿を見上げる ほむら「ひっ……!!」 まどか「ほむらちゃん………」 ほむらは恐怖の表情のまま頭を抱えて蹲る そこには先程まで力強く戦い続けていた少女の姿はどこにもなく、 ほむらは目に涙を溜め、弱々しい声を上げて怯え続けるのみ ???『ぐふふふふ……これこそ私が求めていたもの!全てを飲み込まんばかりの圧倒的な力!!』 ゴキッ 杏子「!! お、おい見ろ!」 マミ「あれは……?」 少しずつ盛り上がる様に形を変える女神の胸部、 それは次第に魔法少女達にとって見覚えのあるもの ヤプールの顔面の形を作り出す さやか「うわ……ヤプールの顔だ」 杏子「あの野郎……怨念だけになっても生き続けるってか?」 ???『さぁて……まずはここにいる虫ケラどもでこの力を試すとするか……』 ドゴゴゴゴ…… 湧き出してきた真っ黒な瘴気に包まれ、 巨大な魔女の姿は薄れてゆく それにともない魔女は下半身の根の部分を触手のように動かし、 周囲の建物や地面を軽々と貫き、その力を見せつける 杏子「ちくしょう……像に挑む蟻の心境だぜ……」 マミ「……近くにいるだけで……殺されてしまいそうね」 さやか「あんなのホントに勝てるの……?」 少しずつ力を解放し始める魔女に対し、 強気だった少女達も不安の色を隠せない ほむら「…ぁ……」 まどか「ほむらちゃん教えて!あれは何なの!?」 ほむら「あ、あれは………」 ほむら「世界の……終焉」 ???『我ら異次元人は闇より生まれ、全てを暗黒へと染める……』 数多の因果の糸が絡み付いた最強の魔法少女 そのエネルギーを完全に取り込んだヤプールにより、 救済の魔女は全てを飲み込む破壊の悪魔へと姿を変える ???『ウルトラ兄弟……そして魔法少女……』 その悪魔が今、 圧倒的な悪意と怨念 絶望を引きつれて 魔法少女を 世界を 全宇宙を飲み込むべく動き始める クリームヒルト『……ここで死ぬのだ!!!』 BACKまどか「…ウルトラマン!」 18 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 20
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…………………………………… ~インキュベーター母艦~ ヤプール「どうやら地上への落下は避けられたようだな」 インキュベーター「そのようだね………それで現状は?」 母艦の中枢部 そこでモニターに目を向けるヤプールとインキュベーター 二人は流れる映像に目を走らせる ヤプール「宇宙に待機させておいた超獣どもは既に十分の一まで数を減らされているな」 インキュベーター「そうか……地上は?」 ヤプール「次々に撃破されていっているな。勢い付いたやつらを止めるのは至難の業だろう」 インキュベーター「………」 ヤプール「………」 そのやり取りを最後に、モニターを見つめたまま動かない二人 青白い光で照らされた室内に静寂が訪れる その最中、インキュベーターも気付かないほど静かに笑うヤプールが突然口を開く ヤプール「……所詮戦闘能力を持たない生命体を超獣にしたところでこの程度か」 インキュベーター「……?」 インキュベーター「それはどういう意味だい?」 ヤプール「言った通りの意味だ。私はかつて無機物と宇宙怪獣を合成して超獣を作り出していたが……」 バサッ ヤプール「貴様ら唯一の取り柄である知性も超獣化したところでそれとなんら変わらんな」 ヤプール「対象を殺すための凶暴性を付加させた時点で予想は付いていたがな」 黒衣をなびかせ、 嫌らしい笑みを浮かべながらインキュベーターを見下ろす インキュベーター「!……」 ヤプール「どうした、それは怒りか?感情でも覚えたか?」 ヤプール「Uキラーザウルスへ変貌したあの個体のように」 あの個体 魔法少女、そしてイレギュラー達と最も長く接したインキュベーター 巴マミの悲しみという感情をほんの少しだけ理解し、 灰となったUキラーザウルスの中へと消えていったあの個体 そのことをヤプールに指摘されるも、彼ははっきりと否定する インキュベーター「怒りという感情に興味はあるが……それはありえないね」 インキュベーター「そもそもあの個体は僕達にとってイレギュラーだ。もはやインキュベーターとは言えないね」トテトテ そう言うと同時にヤプールから離れだす ヤプール「何処へ行くつもりだ?」 インキュベーター「まぁ逃げ支度というやつかな?」 ヤプール「!……降伏するつもりか」 インキュベーターは振り向き言い放つ ヤプールは驚いたように目を見開くがすぐにまた表情を作り直し、 再び笑みを浮かべる ヤプール「ふははは!とんだお笑い種だな!これ程のことをしておいて今更降伏とは!」 インキュベーター「許すはずがない……とでも言いたそうだね?」 ヤプール「当然だろう。こちらは一度やつらの降伏勧告を断っているのだからな」 インキュベーター「……だがまだこちらに交渉の手段が残されているとしたら?」 ヤプール「なに…?」 予想外の答えにヤプールは眉を顰め、インキュベーターを見つめる インキュベーター「彼らが降伏を持ちかけてきた時、あの青いウルトラマンが言った言葉……」 インキュベーター「宇宙延命のための別の道を共に探そう………ってね」 インキュベーター「そして彼らは一度ここへ侵入してきた時に僕達が集めたデータを少し調べていったみたいなんだ」 インキュベーター「これはつまり向こうはまだその宇宙延命の為の手段も情報も揃っていないと考えられないかな?」 インキュベーター「彼らは必要なんだよ。僕達の知識と情報が」 ヤプール「ほう?」 饒舌に語りだすインキュベーター その話を聞きながらもなおヤプールは嫌らしいうすら笑いを絶やさない ヤプール「つまり知識を交渉材料にして許しを請おうという魂胆か」 インキュベーター「その通り。まぁさすがに全くの御咎め無しというわけにはいかないだろうがね」 トテトテトテ… インキュベーター「僕はこれから戦闘中の超獣達に戦いを止めるよう指示してくるよ」 インキュベーター「彼らも無抵抗になった相手に攻撃は出来ないだろうからね」 踵を返し、歩き出すインキュベーター その後ろでヤプールは先ほどとは違う冷たい視線を彼に送り続けていた インキュベーター「知性も消えてしまった獣だからあの個体達は処分するしかないが……」 インキュベーター「まともな個体である僕とこの艦にあるテクノロジーさえあればいくらでもインキュベーターという種の再興は可能だ」 そう言いながら歩き続けるインキュベーター その一方で懐に手を忍ばせるヤプール インキュベーター「……おっとそうだ。君はどうする?」 インキュベーター「ここで滅びるのを待つかい?それとも一緒に降ふ―――」クルッ 思い出したようにそう呟き、振り返ろうとするインキュベーター しかし ドギュン!! インキュベーター「!!!!」ドチャッ 静寂が支配する部屋に突如鳴り響く銃声 それと同時に真っ赤な血溜まりが広がり、 振り向こうとしたインキュベーターはその中に倒れ込む ヤプール「この私がヤツらに降伏?笑えない冗談だなインキュベーターよ」 インキュベーター「な……な…?何故……!?」 血に塗れながら床を転がるインキュベーターが向けた視線の先、 それは光線銃を構えたヤプールの姿 未だに状況が呑み込めない彼に、ヤプールが非情にも告げる ヤプール「お前達はもう用済みだ」カチャン スタスタスタ… インキュベーター「わけが……わからないっ…!理解……できないっ…」 その場に光線銃を投げ捨て、瀕死のインキュベーターにヤプールが迫る 朦朧とする意識の中、インキュベーターはある疑問を呟く インキュベーター「何故…なんだ?降伏すればいいものを……!勝ち目は……無い…んだぞ…!」 息も絶え絶えの状態で、ヤプールに問い掛けた疑問 戦力が不足し勝ち目がほぼゼロに等しい状態でなぜヤプールは降伏をせず、 このタイミングで暴挙に出たのか インキュベーターには全く理解できなかった しかしヤプールは余裕の表情で言い放つ ヤプール「いいや、やつらを消し去る切り札なら私の手の中にある」シュイン インキュベーター「!!……なに…」 歩を止めたヤプールが右腕をゆっくりと掲げると、 突如としてその手の上に桃色の球体が出現 それを見たインキュベーターは愕然とする インキュベーター「それは……まさか!?」 ヤプール「これは鹿目まどかから回収したエネルギー。貴様らが喉から手が出るほど欲したものだ」 インキュベーター「なぜだ!?彼女からは回収できなかったはず…」 ヤプール「あの娘が首から提げていた妙な石ころ……そこから抽出したものだ」 インキュベーター「そんな……そんな……なぜそんな石なんかに…」 ヤプール「理由などどうでもいい。このエネルギーが私の手の内にあるのは変わらんのだからな!」 シュゥウ… ヤプール「おぉおお……」 右手のまどかのエネルギーをヤプールは胸に押し込み、 その体に取り込む ヤプール「素晴らしいぞ!このエネルギーが完全に私の体に馴染めば体力を消耗したヤツらなど恐るるに足らん!」 インキュベーター「な、なんて事を…僕達の技術とそのエネルギーが無ければこの宇宙は……」 ヤプール「結構な事じゃないか!この宇宙が滅びようと異次元人は永遠の闇の中で生き続ける!」 ヤプール「貴様らはいい道化だったぞインキュベーターよ!!」 まどかのエネルギーを体に取り込み、歓喜するヤプール これによりインキュベーターの当初の計画は この悪魔によって完全に崩壊した ヤプール「ぬははははははは!!」 インキュベーター「……」 体中から溢れ出んばかりのエネルギーを手に入れ、高笑いするヤプール そして血溜まりの中、その姿を見上げるインキュベーター インキュベーター「そうか……これが…」 感情の無い種族であるインキュベーター そんな彼の中に、生まれるはずの無い小さな感情が芽生える インキュベーター「絶望か……」 小さく呟くインキュベーター 彼の視界は薄れ、目の前が暗くなり始める ヤプール「さて……私はここから超獣共が全滅するまで高みの見物といかせてもらおう」 ヤプール「その頃には私は究極の力を手に入れているだろうからな……」 足元のインキュベーターを一瞥し、モニターの方向へ歩き出すヤプール ドゴォオオン! ヤプール「!?」 ヤプール「なにっ!?」 インキュベーター「……?」 轟音が鳴り響き、突然崩れ落ちる壁 衝撃で砂塵が舞い上がり、視界が狭まる ヤプールは驚愕し、崩れた壁の向こうを凝視する ヤプール「!!……貴様らぁ…!」 砂塵が少しづつ薄れ、徐々に現れる五つの人影 ヤプールはそれらを睨み付け、怒りを露わにする ほむら「見つけた……!!」ジャキン マミ「どうやらここで正解みたいね」チャキッ さやか「まどか、アイツで間違いないよね!?」 まどか「うん、間違いない……あれがヤプール……!」 杏子「ようやく王手をかけたってとこだな!」 武器を構えたほむらとマミを先頭に、 五人の魔法少女達が広間へと突入する ヤプール「鼠どもが……あと少しだというのに」 ヤプールは苦虫を噛み潰したような顔で魔法少女を鋭く睨み付け、拳を握り締める インキュベーター「……ぁ……あ」 杏子「!? おい、あれ!」 マミ「…!!」 蚊の鳴くような呻き声 それに反応した杏子が指差した先には、 まさに虫の息といった様子のインキュベーターが転がっていた インキュベーター「ヤ…プール……た、頼む…は、早く僕にエネルギーを分けてくれ……」 ヤプール「……」 インキュベーター「このままでは……インキュベーターという種が……この宇宙…が…」 息も絶え絶えといった様子でヤプールに懇願するインキュベーター だがその望みが受け入れられない事は、 その様子を黙って見ている魔法少女達も、インキュベーター本人も理解していた 少しづつ力を失いつつある声が小さく響くだけの広間 しかし突然まどかがマミを見つめ、口を開く まどか「あの……マミさん」 マミ「……」 まどかが声を掛けるも、マミは神妙な面持ちでインキュベーターを見続ける まどか「マミさんの魔法ならあの子を助けてあげることも……」 ほむら「!」 まどかの発言を聞いたほむらが一瞬驚いたように目を見開くが、 すぐさま表情を硬くして事の成り行きを見守る マミ「それは私も分かってる……けど……」 まどか「……」 インキュベーター「この際……巴マミ…君でも……いい…僕…を…」 杏子「……」 さやか「……っ」 迷い続けるマミ その後ろではほむらと同じく事の成り行きを見続ける杏子と、 今にも飛び出していきそうなさやかの姿 さやか自身、マミの様に治癒魔法で彼を救う事も出来る だが仲間達を傷付け、自らの運命を弄んだインキュベーターを許す事が出来ず、 さやかは前に踏み出せなかった ヤプール「………」 黒い帽子を目深にかぶり、インキュベーターを見下ろすヤプール その表情は少女達からは窺う事は出来ない インキュベーター「マ………ミ……」 マミ「……」 マミ「…………分かったわ」 まどか「マミさん……」 さやか「あ……!」 ほむら「……」 マミが頼みを受け入れ、一歩づつ前に進み出る その姿を見つめる少女達の中、 ほむらだけが目を瞑り、あからさまに眉を顰めていた ヤプール「ふっ……くく…くくく」 マミ「?」ザッ インキュベータへ歩み寄ろうとしていたマミは、 息が漏れる様な笑い声を聞き、立ち止まる ヤプール「ははははは!!甘い!甘すぎるわ!!」 まどか「!?」 ほむら「……」 突然大声で笑い出すヤプール ほむらを除いた一同は驚き、身構える だがヤプールはマミを見つめ邪悪な笑みを浮かべた後 足を少し振り上げ ヤプール「いつまで喋っているつもりだ死にぞこないめ」 インキュベーター「!! や、やめ――」 グチャッ マミ「なっ!?」 まどか「あぁっ……!」 さやか「っ!!」 無残にも踏み潰されるインキュベーター マミは後ろに飛び退き、 まどかは悲痛な声を上げ、さやかは思わず目を逸らす ほむら「……ふん」 杏子「……やれやれ」 その後ろでほむらは全く表情を変えず、 杏子は予想通りといった顔で手を頭の後ろで組んでいた ヤプール「どうした?喜ぶべきことじゃないか!お前達を利用したインキュベーターは消えたのだぞ!」ブンッ ビチャッ ヤプールが足の下の動かぬ肉塊と化したインキュベーターを、 まるでゴミでも払うかのように蹴り上げる 音を立て血の赤色が混じった白い肉が壁にぶつかる マミ「確かにヤツらは酷い事をした……けど」 まどか「こんな……こんな最期って」 さやか「ちょっとだけ……可哀そう」 インキュベーターの死体を見つめ、複雑な表情の三人 そんな少女達をヤプールは嘲笑う ヤプール「やはり甘いな魔法少女ども!これが優しさというやつか?くだらん!」 ヤプール「その甘さがある限り貴様らは何もできん!何も守ることなど出来んのだよ!!」 ほむら「………」 ヤプール「ぬはははははは!!!」 ころころと表情を変えながら嘲り笑う 俯き、言葉を発する事の出来ないまどか、マミ、さやか ほむらは依然として無言のまま しかし、ヤプールの発言に異を唱える少女が一人 杏子「いーやそいつは違うね」 ヤプール「……なにぃ?」 笑い声は止み、 途端に眉を顰めて杏子を睨み付けるヤプール その睨みに負けず杏子は前に進み出る 杏子「たしかにコイツらは甘いさ、それこそ笑っちまうくらいにね」 まどか「ぅ……」 そう言いながら振り返り見つめられ、口をすぼめるまどか達 杏子「だがな」ジャキッ 再びヤプールを睨み返し、槍を魔力で生成する 杏子は口を開く 杏子「この優しさが弱さであると同時にこいつらの強さでもあるんだよ!」 杏子「ただ強いだけの力なんてそんなの機械と変わらねぇじゃねーか!」 ビシッ 杏子「優しさがあれば強くもなれる!アタシはそれを知っている!!」 堂々と槍をヤプールへ向けて突き付け、力強く言い放つ さやか「杏子……」 杏子「……ま、これは受け売りだけどな。へへっ」 さやか「あらら……せっかくカッコよく決めたのにねえ」 照れ臭そうに笑い、仲間達を振り返る杏子 その顔を見た一同の顔も少し赤かった ヤプール「なるほど。一匹狼が口だけは達者になったようだな」 杏子「!!」 さやか「くるか!?」チャキ まどか「……」スッ ヤプールが一歩前に進み出ると同時に、 棒立ちだったまどかとさやかも武器を構え、ヤプールに対して身構える ヤプール「さて強くなるなどと抜かしたが、今の言葉は果たして真実かな?」 杏子「へっ……すぐに分かるさ」 ヤプール「ははははは!!まったく笑わせてくれる――」 バァン! ヤプール「ぬぐっ!?」 まどか「えぇっ!?」 さやか「うわ!!」 一発の銃声 笑い声を上げるヤプールの胸に撃ち込まれる魔法弾 驚き、一瞬言葉を失う魔法少女達 その静寂の中で、 ほむらの構えたディバイトランチャーから静かに硝煙が立ち昇っていた ほむら「……その嫌らしい笑い声をこれ以上私の耳に入れないで」 まどか「ほ、ほむらちゃん……」 杏子「……アンタもよくやるねぇ」 ヤプール「………」 突然のほむらの行動に空いた口が塞がらない一同 そんな中、ヤプールは胸に直撃を受けたにも関わらず平然立ち尽くしていた ただその顔に先程までの笑みは無い ほむら「ヤプール……私はこれ以上自分を抑えることは出来ないわ」 淡々と話すほむらの瞳の奥は確かな怒りに満ちていた 自分の怒りを全てぶつけることのできる、この戦いの元凶が今目の前にいる こいつを倒せば全てが終わる――― 普段は物静かなはずの彼女の感情が今、爆発する ほむら「マミッ!!」ジャキッ マミ「! え、ええ!」チャキ ヤプール「!!」 ドガガガガガァン!! ほむらの呼び掛けに答えるように巨大な銃を構えるマミ それと同時に放たれる大量の弾丸がヤプールに向けて飛び、 彼の立つ位置を中心に爆風が巻き起こる 辺りに散らばる瓦礫、舞い上がる煙 ヤプールの姿はその向こうへと消える ほむら「はぁっ……」 マミ「………」 銃を下げる二人 先程の攻撃は間違いなく何発かは命中した しかしその場にいる全員が理解していた ヤプールがこの程度の攻撃で死ぬはずがないと 杏子「まぁこれじゃ終わらねえよなぁ……」 さやか「あー……やっぱり?」 まどか「うん……まだあのどす黒い殺気が消えてないよ」 三人がそう言い終わったほんの数秒の後、 砂ぼこりの向こうからゆっくりと少女達へ歩み寄る一つの影 まどか「!!」ゾクッ さやか「……本気モードって感じだね」 その影は先程までそこに立っていた人の姿のものではなく、 明らかに異形の姿をしていた ザッ ヤプール「調子に乗るなよ……下等な地球のサルどもめ!!」 マミ「!! 姿が変わった!?」 杏子「化けの皮を剥がしたって方が正しそうだなコイツは」 煙の向こうから完全に姿を現したヤプール その姿は以前までの黒衣を纏った老人の姿ではなく、 全身が真っ赤に染まり、体中いたるところに毒々しい棘が生え揃い 頭にはアンテナのように二本の角が生え、右手の先端は鋭い鎌状へと変化する そして薄暗い室内に不気味に輝く緑色の目 人の姿から一転、 恐るべき悪魔の様な姿へと変身する ほむら「どうやらその醜い化物の姿があなたの正体ってわけね」 ヤプール(ちぃ……あと少しで私は究極の力を手に入れられるというのに!) まどか「うぅ……」 目の前の怪物に怯むことなく挑発するほむら 杏子「まどか、気持ちで負けたら終わりだ。堂々といこうぜ」ポン まどか「う、うん!そうだね!」 まどか「みんなを泣かせたあいつを……今度はみんなでやっつけるんだ!!」 さやか「おおっ!!」 杏子に軽く背中を叩かれ、 まどかは自分を奮い立たせる その姿を見て、さやかもまた心の底から勇気を燃やす ヤプール「どこまでも生意気なガキどもが!!勝てると思うな!!」 バシュッ! マミ「来たわ!みんな散って!!」 ドガァン! ヤプール「むぅ!避けたか!」 ヤプールの右腕から発射される三日月状の破壊光弾 マミの指示を受け、それを散開して避わす五人 五人の背後で起こった爆発と同時に戦いの火蓋が切って落とされる 杏子「接近戦はアタシ達がやる!三人とも援護は任せたよ!!」 さやか「いくぞーーーっ!!」 さやかが剣を握り直し、その横で杏子が指示を飛ばす 弾かれた様に飛び出し、真正面からヤプールへ突っ込む二人の魔法少女 マミ「鹿目さん、あなたはヤプールから一番遠い位置を取りながら攻撃を!」 ほむら「私とマミはあなたとヤプールの中間の位置をキープしたまま攻撃するわ」 まどか「わかった!行こう!!」 ダッ さやかと杏子に少し遅れて、 三人も武器を握り直し、散開する 杏子「うおぉおおっ!!」 さやか「うりゃあっ!」 ヤプール「……フン!」 ガキン! 杏子「ちっ……!」 さやか「こん……のぉっ!!」ググッ 二人の魔法少女が繰り出す剣と槍の一撃 しかしヤプールはその攻撃を軽々と右腕のカギ爪で受け止める ヤプール「つまらん攻撃だな!拍子抜けしたぞ!!」 杏子「ぐっ?!」 ドガッ さやか「杏子っ!?……こいつ!!」 槍を受け止められ、動きの止まった杏子が腹に蹴り受け、弾き飛ばされる それを見たさやかが再び斬りかかるもヤプールには届かない 杏子「っ……んの野郎!!」 ヤプール「そらそらどうした!二人がかりでそんなものか!!」 ガガガキンッ! 杏子も再び立ち上がり攻撃に加わるも、紙一重のところで全ての攻撃が右腕に捌かれる マミ「二人とも飛んで!」ジャキ ヤプール「むうっ!?」 杏子「!! さやか!」ダッ さやか「うんっ!」ダッ ドガァン!! 声を聞くと同時に後方に大きく飛び退く二人 その瞬間 マミが抱えた大砲から放たれる砲弾が炸裂し、ヤプールのいた地点は爆風に飲み込まれる マミ「よし!」 まどか「や、やった!?」 ほむら(決まった…!あのタイミングなら避けようがない!) スタッ 杏子「攻撃するのはアタシ達二人だけじゃないんだぜ!」 さやか「どうだ!今のは効いたでしょ絶対!」 完璧なタイミングで決まる援護射撃 着地したさやかと杏子は立ち昇る爆煙を見つめ、言い放つ だがヤプールの声は少女達の予想外の場所から飛んでくる ヤプール「まさか今の攻撃で私が音を上げるとでも?」 ほむら「! なっ……!?」 まどか「あ……う、後ろ!」 マミ「佐倉さん避けてっ!!」 杏子「はっ!?」 ヤプール「そらまずは一人目だ!」 完全に意識の外 振り向いた時には既にヤプールはカギ爪を大きく振り上げていた 狙いは無防備な杏子の首元 さやか「杏子!」 杏子「うっ!?」 ザシュッ! さやか「ぐっ……ぁあ!!」ドサッ さやかが防御の間に合わない杏子に覆いかぶさる様に割り込み、 強烈な一撃を背中に受ける その衝撃で二人は吹き飛び床に転がる さやか「っ……うぅ」 杏子「さやかっ!お前アタシを庇って傷を……!!」 床に倒れ込んだままさやかを抱える杏子 ヤプールの攻撃をまともに受けたさやか 背中はぱっくりと裂け、千切れた真っ白なマントにじわりと血が滲む だが彼女は苦悶の表情をすぐに塗り潰し、強気な笑顔を杏子に向ける さやか「……大丈夫だって!あたしの能力、忘れたの?」 杏子「!!……」 青い光が背中の傷口を覆い、少しづつ回復させる 杏子「……すまねえ。この借りは利子つけて返してやるからな」 さやか「ははは……なるべく早く頼むわ」 ヤプール「味方を庇ったようだが次はどうかな?」 機械の様な緑の瞳を不気味に光らせ、 未だ体勢が整っていない二人に向かってヤプールが一歩づつ迫る ほむら「そうはさせない…!」 マミ「援護を!二人に近づけさせちゃ駄目よ!」 まどか「さやかちゃん杏子ちゃん!早く立って!!」 バシュシュッ! 二人が逃げる時間を稼ぐため飛び道具を持った三人が一斉に攻撃する 風を切り、魔法の矢と銃弾が三方向からヤプールに襲い掛かる だがしかし… ヤプール「……」スッ まどか「う、嘘!?」 ほむら(速い……!!) 飛んでくる攻撃を一瞥すると、 凄まじい速さでその場から移動し、ヤプールは全ての攻撃を避け切る ヤプール「うるさい蝿どもめ!」バシュシュッ ドガァン! まどか「あっ!?やっ、いやぁっ!!」 左腕からばら撒かれた毒々しい色の光弾 高速で移動しながらであるため狙いは正確とは言えないが、爆風に巻き込むには十分だった マミ「か、鹿目さ――」 ドゴッ! マミ「がっ……ぅ…!!」 爆風で宙に舞い上げられるまどかに気を取られた瞬間、 マミの腹に深々とめり込む赤い拳 攻撃を受けた事をマミが理解した時にはもうヤプールの姿は目の前には無く、 次の標的目掛けて移動を始めていた ヤプール「ふははははは!暁美ほむら、次はお前だぁあ!!」 ほむら「くっ……!!」ジャキ バァン! ヤプール「当たらんなぁ!もっと良く狙って見せろ!!」 高速で接近してくるヤプールに何度も魔法弾を放つが、 その全てが残像をすり抜け、ただの一発も当たらない 挑発し、余裕を見せつけるヤプールにほむらの焦りは増してゆく ヤプール「ふん!!」 ほむら「っ……!」 ガキン! ヤプール「ほぉお……受け止めたか」 振り下ろされたヤプールのカギ爪に対し、 ほむらは左腕の盾を突き出して果敢にも正面からそれを受け止める ヤプール「だがそのか細い腕で何処まで持ちこたえられるかな!?」ググッ ほむら「ぐっ……ぅううう!」 太い丸太の様な腕を盾の上から押しつけるヤプール それに対抗するほむらの左腕はあまりにも細く弱々しい 全身に力を込めて耐えるも、 そのまま押し潰されるのは時間の問題だった ヤプール「ふふふこのまま一気に………む!?」ダッ ドゴォン! 後方からの殺気を感じ取り、咄嗟に右へ飛び退くヤプール そこへ一瞬遅れて魔法で巨大化した槍が床を砕き、瓦礫を巻き上げ突き刺さる 杏子「ちぃっ!あと少しで直撃だったのに!!」ズッ 攻撃の張本人が舌打ちを一つ鳴らし、縮小させた槍を床から引き抜く ヤプール「惜しかったな。今のが私を倒す最後のチャンスだったかもしれんぞ?」 杏子「うるせぇ!まだ勝負はこれからだ!」 まどか「杏子ちゃん!ほむらちゃんを連れてそこから離れて!!」 杏子「! ほら立てほむら!離れるぞ!!」グイッ ほむら「え、ええ」 指示を受けた杏子はほむらの腕を引っ掴みその場から飛び退く 二人の退避を確認しつつ、まどかは弓を引き絞る だが桃色の光を放つ矢の先はヤプールではなく彼の遥か上に向いていた ヤプール「?……」 まどか「動きが速いなら……これでぇっ!!」シュッ バシュッ!! まどかの放った矢はヤプールの頭上で弾け、 細かな光の矢が雨粒のように大量に降り注ぐ 迎撃も、攻撃の範囲外へ逃れることも不可能 ヤプール「なるほど、そうきたか」スッ ドガガガッ! まどか「!? そ、そんな!!」 青い残像を残しながらの高速移動 まどかの攻撃も矢と矢の間を縫う様に動き回るヤプールには当たらず、 床を砕いて煙を巻き上げることしか出来ない 杏子「マジかよ!?今のを全部避け切りやがった!!」 ほむら「……不味いわ。ヤツの動きを捉えることが出来なければ全滅よ……!」 室内を滑る様に動き回るヤプールにほむらは焦りを隠せない ヤプール「その通り。そら、早くなんとかしてみせろ?」シュッ ほむら「!?」 杏子「なっ…もう後ろに…!」 ドンッ! ドシャッ! ほむら「ぐっ、うぅ!」 杏子「がはぁっ!?」 二人の背後に現れるヤプール 左手から放つ衝撃波を背中に受け、ほむらと杏子は豪快に吹き飛ぶ さやか「ま、マミさんっ……大丈夫ですか…っ!?」 マミ「くっ……ええ、これくらいの事でっ……」 先程直撃を受けた二人は自身の傷をある程度回復させ、 ダメージの抜け切らない体に鞭打ち、懸命に立ち上がる ザシュッ! さやか「ぎっ!?あ、ぁあ!!」 マミ「うぁああっ!?」 ヤプール「ふははははは!!!」 だが再び襲い掛かってきたヤプールのカギ爪に切り裂かれ、 さやかとマミは鮮血を散らしながら宙に弾き飛ばされる ヤプール「どうしたどうしたぁ?先程までの威勢の良さは何処へ行った!?」 ドガガガガッ!! さやか「がぁっ!?」 ほむら「うっ………ぐ」 まどか「み、みんな!!」 攻撃を受けて弾き飛ばされながらも、 必死に立ち上がろうとするほむら、マミ、さやか、杏子 だが室内を縦横無尽に動き回るヤプールに襲われ、何度も叩きのめされる一方的な展開 唯一、最も離れた所にいたまどかはその攻撃を免れていた まどか「助けなきゃ……このままじゃみんなが…!!」グッ 仲間達を救うため、再び弓を引き絞るまどか だがヤプールがそれを許すはずもない ヤプール「! そうはいくか!!」バシュ ブシュッ まどか「くっ!?……あ!」 ヤプールがカギ爪から打ち出されたレーザーに肩を貫かれ、 弓を手から落とし、よろけるまどか ヤプール「ふふふ……」シュッ まどか「えっ!?」 バキィッ まどか「うぅっ、あ!!」 手から落ちた弓が床に着くまでのほんの一瞬 その一瞬でヤプールはまどかの目の前まで接近し、驚く暇も与えずまどかを叩き伏せる まどか「がっ!?」ゴッ ヤプール「そろそろ終わりだな鹿目まどかよ?」 倒れ込んだまどかの頭を容赦なく踏みつけ、 彼女を見下ろしながらヤプールが呟く ヤプール「お前には少しばかり計画を狂わされはしたが……最後に思いがけない贈り物を貰ったから良しとしよう」 まどか「な……何を……」 ヤプール「今から死ぬお前には関係の無い話だ」ググ まどか「ぐぁ…うぁああっ…!!」ミシッ 頭を押さえつける足に、より一層力を入れるヤプール それに比例するようにまどかの苦悶に満ちた叫び声が上がり、 まどかの頭が軋むような音が響く ヤプール「さて?魔法少女は頭が潰されても生きていられるのかなぁ?」 まどか「ぐぅ!?ぁ、っあぁああーーーっ!!!」ミシミシッ バァン! ヤプール「……!」シュッ まどか「かはっ!!……はぁっ……はぁっ……」 突然の銃声 それに反応したヤプールがまどかから離れ、再び移動を開始する ほむら「……さやかっ!まどかをお願い!!」 さやか「っ……う、うん!」 ほむら「みんな一ヶ所に集まって!!」 床に伏せた状態でランチャーを構えたまま、ほむらが一同に指示を飛ばす ヤプール「ちっ、あと一歩のところを……」 さやか「まどか、ちょっと我慢してね!」ダッ まどか「あ、ありがと…さやかちゃん……」 さやかが倒れ込んだまどかを抱き起こし、仲間達の方へと運び去る その間にもほむら達三人は苦痛に耐えながらも起き上がり、 全員が部屋の中央に集まっていた スタッ さやか「よし着いた……まどか、今治してあげるからね!」 まどか「くっ…ぅ!」シュゥウ マミ「暁美さん、佐倉さん。あなた達も回復を」 ほむら「私はまだ大丈夫……杏子、あなたが治療してもらいなさい」 杏子「っ……悪いなマミ」シュゥウ 魔法少女達が一ヶ所に集まり、 どの方向からの攻撃にも対応できるように全員で背中を合わせて円を作る さやか「くっそぉ……あいつ速すぎるよ……」 マミ「動きを止めようにも私のリボンじゃあの動きを捉えきれない…!」 ほむら「……なんとかしてヤツに一撃を喰らわせないと」 あまりにも圧倒的なヤプールの力に思わず弱音を漏らす少女達 その体は少し回復したとはいえ度重なる攻撃で傷だらけで、 ソウルジェムもすでに半分近くが黒く濁り始めていた ヤプール「何をしようと無駄だ!勝敗はすでに決まっているのだよ!」ザッ 杏子「っ……野郎…!」 動きを止めてヤプールは自身の余裕を見せつける ヤプール「ウルトラ戦士達を含むお前達の戦闘データは全て把握している!」 ヤプール「魔女やインキュベーターとのここ一ヶ月の戦闘データ全てをだ!貴様らの能力などお見通しだ!!」 まどか「そんな……それじゃこっちの手の内が全部……」 杏子「………」ピクッ 杏子(ちょっと待てよ?) 杏子(ここ一ヶ月……アタシ達の戦い……全て…?) 顎に手をやり考え込む杏子 必死に思考を巡らせ ここ一ヶ月の戦い、魔女と超獣達との戦い全てを思い出す 杏子(!!!………これだ!!) そしてこの絶望的な状況を打開するための案を導き出す 杏子「みんな!聞い……」 ヤプール「ふん!一ヶ所に集まったのは間違いだったな!!」バッ ゴォオオッ! まどか「きゃあぁっ!?」 さやか「あつっ……熱いっ!!」 杏子が自分の考えた案を伝えようとした瞬間、 ヤプールが左腕を突き出し、少女達を囲むように火柱を出現させる マミ「パイロキネシス!?こんなことも出来るの!?」 ほむら「く……ヤツは一体どれだけの能力を…」 ヤプール「はははは苦しめ苦しめ!じわじわと焼き殺してやるわ!!」 杏子「っ……みんな聞いてくれ!!」 ほむら「!?」 まどか「杏子ちゃん…?」 さやか「何よ、こんな時に!……あちっ!!」 ヤプールの驚異的な能力の数々に驚きうろたえていた一同が、 杏子の声に耳を傾ける 杏子「あったんだよ!アイツをぶちのめす方法がな!」 マミ「! 何か策があるの!?」 杏子「ああ、一つだけな。………だから五分……いや、三分だけ時間を稼いでくれ」 さやか「ちょ、ちょっと!いきなり方法も教えられないまま時間稼げったってそんな……」 突然の杏子の頼みに焦るさやか だが… マミ「分かった。時間を稼げばいいのね?」 さやか「ま、マミさん!?」 杏子の真意も教えられないまま、 銃を握り直し、その頼みを快諾するマミ マミ「私達に出来ることはヤツを攻撃して時間を稼ぐこと……それ以外に余計な事は知る必要は無いと思うけど?」 さやか「それはそうですけど……」 杏子「さやか、これが成功したらさっきの借りはチャラな?」 さやか「……成功したらね」 ほむら「まどか、あなたはいけそう?」 まどか「うん……このままやられっぱなしじゃ地上で戦ってるみんなに申し訳が立たないもん」 未だに不満そうな顔のさやかを半ば強引に納得させ、 全員が武器を握り直し逆転のための策を実行する ゴォオッ! ヤプール「むうっ!?」シュッ 轟々と燃え続ける火柱の吹き飛ばしながら光の矢と銃弾が迫り、 ヤプールはそれを間一髪のところで回避する さやか「たぁああーーっ!!」 ヤプール「不意打ちのつもりか!?甘いぞ!」ガキン シュッ その攻撃に続けてさやかが炎の中から飛び出し、斬りかかる しかし先程と同じくヤプールは軽々と受け止めると再び高速移動を開始する まどか、ほむら、マミは三方向へ散開し、 さやかはヤプールの動きになんとか喰らい付こうと、必死でその後を追う さやか「うぅ~!やっぱ速いよアイツ!!」 マミ「だったら……!!」チャキ バンッ! ヤプール「巴マミ、貴様の考えていることなどお見通しだ!」バシュッ マミ「!?」 マミの放った銃弾に対し、 ヤプールは避けずそれを素早く光弾で消滅させる ヤプール「閃光弾だな?つまらん小細工を!」 マミ「駄目だわ……完全に読まれている」 ほむら「……本当にこちらのデータは完全に解析されてるみたいね」 まどか「でも今は攻撃するしかないよ!」 まどか(少しでも時間を稼ぐために!) ドガガッ! さやか「あぐぁっ!!」 ほむら「うっ……!?」 まどか「さやかちゃん!ほむらちゃんっ!?」 マミ「く……鹿目さん、今度は左右から狙うわ!あなたはあっちから回り込んで!!」 ヤプール「何をするつもりかは知らんがまだいたぶって欲しいようだな!!」 ヤプールの鋭い棘が生え揃った体から繰り出される体当たり それに高速の動きが加わり、ただ動き回るだけで魔法少女達にとっては恐ろしい攻撃となっていた それでもなんとかして反撃を試みようと、必死に喰らい付く 少し離れた場所で、 杏子は自身の槍を砕けんばかりに握り締め、今すぐ飛び出して行きたい衝動を抑え込む 杏子(耐えろよアタシ……後少し……後少し!) 杏子(周りの音も何もかも遮断して……今はとにかく集中するんだ!) 自分に言い聞かせるようにして、 目を閉じ、頭の中で何度も唱える ほむら「うぁ……く!」ドシャッ 杏子がそうしている間にもヤプールの攻撃は続く ほむらはもう何度目かの転倒、 飛びそうになる意識の中、頭を振ってなんとか自分に活を入れる ほむら(ここで寝ているわけにはいかない……今杏子が狙われたら……) ほむら(………?) 床に手を着き立ち上がろうとしたほむらの視界にあるものが入りこみ、 ほんの一瞬だけ彼女の思考が止まる ほむら「!!」バッ 突然上を見上げるほむら その先にはゼロの破壊工作により、亀裂の入った天井があった ほむら(これなら……いけるかしら?) ドガッ! マミ「きゃあぁっ!!」 ほむら「え?!」ドシャッ 杏子に続きほむらも一つの作戦を思い付くが、 その瞬間弾き飛ばされて来たマミの下敷にされる だがそれは今のほむらにとっては好都合だった マミ「! あ、ご、ごめんなさい!私受け身が……」 ほむら「……いえ、いいタイミングじゃない。ちょっと耳を貸して」 マミ「…?」 二人の少し離れた所ではまどかがさやかを援護しつつ、ヤプールと交戦している ほむらはそれを確認すると、 床に落ちた『ある物』を指差しながら自分の考えた時間稼ぎのための策をマミに耳打ちで伝える マミ「なるほどね……試してみる価値はあるかも」 ほむら「でしょ?ヤツは今、私達を殺すことで頭がいっぱいで周りの状況が見えていない」 ほむら(周りの状況をよく見る……孤門のアドバイスが役に立ったわね) マミ「とにかくあっちの二人もそろそろ危険ね……さっそく実行しましょう」ダッ ほむら「ええ、頼んだわよ」 ほむらに指示された位置へ向けて一気に跳躍するマミ その間、まどかは矢を放ち、さやかはがむしゃらに剣を振り続ける だがヤプールの姿を捉えることは未だに出来ない ヤプール「ふはは!暴れろ暴れろ!!そうやって消耗していくがいい!」 さやか「くっそぉおおーー!!避けるな!当たれーーっ!!」ブンッ まどか「さやかちゃん魔力の消費をもうちょっと抑えて!このままじゃソウルジェムが……」 マミ(この位置……よし)スタッ シュォォ マミ(さぁ……頼むわよ暁美さん!) ほむら「……」ジャキッ マミがほむらを一瞥 ほむらはそれに答える様に小さく頷く ヤプール「ふんっ!!」ドンッ まどか「うっ……あ!」 さやか「ぐぅうう……まだ…まだ!!」 強烈な衝撃波に襲われ、 なんとか喰らい付いていたさやかとまどかの二人は吹き飛ばされ、大きく仰け反る マミ「ヤプール!!」 ヤプール「!?……貴様!巴マミ!」 ガコン マミ「喰らいなさいっ!」 自身の名を呼ばれ振り向くヤプール その先には巨大な砲台を作り出し、その砲口を真っ直ぐに向けるマミの姿 直撃すれば確実な致命傷を与え得るその技 しかし少女達の想像を遥かに上回るヤプールの動きに、 この一撃を当てることは至難の業だった ヤプール「馬鹿め!そんな大技が当たると思うか!?」 ヤプール「当てられるものなら当ててみろ!!」ダッ ほむら(来たっ………このタイミングで!!)ジャキッ バァン! ヤプール「!?」 マミとヤプールとの距離はおよそ20メートル ヤプールはその距離を詰めるために足を踏み出し高速移動を開始、 真っ直ぐにマミへと向かう しかし半分までの距離を詰めたところでほむらがディバイトランチャーのトリガーを引く 放たれる魔法弾 しかしそれはヤプールを狙って撃ち出されたのではなく、 ほむらの真の狙いは、マミへと向かう彼の足元に丁度落ちていた『ある物』 ヤプールがインキュベーターに使い、そのまま地面に投げ捨てた光線銃だった ドバンッ!! ヤプール「ぬおおっ!?」 まどか「うぅっ…!」 さやか「ぐっ!?」 異次元人が使う強力なエネルギーを秘めた光線銃は魔法弾で撃ち抜かれるとともに、 ヤプールの足元で爆発を巻き起こす 強烈な閃光と舞い上がる土煙 まどかとさやかの二人は一瞬視界を奪われたが、それは当然ヤプールも同じことだった ほむら「マミっ!今よ!!」 ヤプール「ぐっ、ぅうう………そうはいくかぁああ!!」 シュイン まどか「バリアー?!」 さやか「!……あ、あいつあんなことも出来るの!?」 視界が回復したまどか達の見たものは、 土煙の中で、自身の周囲に光波バリアーを張り巡らせたヤプールの姿 ヤプール(おのれぇぇええ………し、視界が戻るまでこの中に……) マミ「やっぱりバリアーね……私、もうそれは見飽きてるのよ」ガコン しかしマミはヤプールには目もくれず、 砲口をゆっくりと亀裂の入った天井へと向ける マミ「私達の狙いは……ここよっ!!」 ドゴォオオオン!! ヤプール「な、何!ぬぐおぉぉおおおお!?」 ガラガラガラ…… 狙いすましたマミの一撃は天井を破壊し、 凄まじい量の瓦礫が降り注ぐ 立ち止まっていたヤプールはそれを一身に受け、 光波バリアーごとその瓦礫に埋め尽くされる さやか「や、やった!!」 マミ「そもそもあんな土煙じゃあ私も暁美さんも鹿目さんも……あなたにまともな狙いなんてつけられないわ」 まどか「マミさん!ほむらちゃん!す、すごいよ!!」 瓦礫の山の前でガッツポーズをするさやか、 そして砲台をかき消したマミのもとにまどかが駆け寄る ほむら「けどこの瓦礫も長くは持たない……杏子、早く準備を」 杏子が指定した時間である三分は過ぎた ほむらは杏子を振り返り、急かす様にそう言う だが… ドゴォオン!! ほむら「な…?!」 まどか「嘘!?もう出て来た!」 ヤプール「貴様らぁ!!よくもこの私をこけにしてくれたなぁああ!!!」バシュ ドガァン!! ほむら「ぐっ!?き、きゃぁああっ!!」 怒れるヤプールの放った特大の光弾は不気味は光を撒き散らしながら大爆発 周囲に転がった瓦礫もろとも少女達を木の葉のように吹き飛ばす 肩で息をしながら少女達を睨むヤプール そしてほむらの最も恐れていた事態が起ころうとしていた ヤプール「!……佐倉杏子ぉ……」 ほむら(!!……しまった……) ヤプール「さっきからこそこそと何かしていたようだが……まだ何か企んでいるのか?」 ヤプールの緑に光る視線の先、 目を閉じたまま槍を突き立て、その場から動かない杏子の姿 ヤプール「おもしろい!ならまずは貴様から殺してやる!!」ザッ マミ「ぐっ……ぅう……佐倉…さん…」 杏子へ向けて歩き出すヤプール ここで杏子が倒されれば唯一の希望が失われ、逆転は困難になる 杏子「………」 ヤプール「なんだぁ?先程からだんまりじゃあないか?」ザッ 一歩づつ、杏子に止めを刺すために迫るヤプール だがそれを阻止するために駆け出した少女が一人… さやか「こん……のぉぉおおーーーっ!!」ブンッ ヤプール「!!」 ザシュッ! ヤプール「!!」 さやか「あ……あ?」 まどか「えっ!?」 マミ「当たっ……た?」 床に這いつくばったままのまどかとマミが目の前で起きた出来事に驚愕する ヤプールに飛びかかったさやかが繰り出した斬撃 先程予想外のダメージをを受けたヤプールは錯乱していたためその攻撃を避けることが出来ず、 さやかに角の片方を斬りされた ヤプール「ぐっ……き、貴様…」 ほむら「! さやか、手を止めないで!もう一撃!!」 さやか「!……そ、そうだ!!」チャキ ほむらはマミ達と同じく少しの間、思考が止まっていたが、 咄嗟にさやかに指示を送る さやかはその声に反応し、思い出したように剣を握り直して再びヤプールに斬りかかる だが ヤプール「ぬんっ!!」バッ さやか「あっ!………ぐ?!」ピタッ 一瞬、さやかの体を覆う様に空間が歪み、 振り下ろされたはずの剣はヤプールの突き出された手の前でぴたりと止まる まどか「さやか……ちゃん……?」 ほむら「さやかっ!なぜ剣を止めるの!?」 さやか「ぐ……ぐぐぐっ!!……ち、違う……体……が……」 当然、さやかが止めたわけではない ヤプールの念力によって剣どころか体全体の動きをさやかは止められてしまっていた マミ「!?……ヤプール!まさかまだ能力を隠し持って……」 ヤプール「その通り………ふんっ!!」 さやか「ごふぁっ!?……が……ぇっ!」ドゴッ ビチャッ 指一本動かす事の出来ないさやか そんな彼女の無防備な腹に深々とめり込むヤプールの膝蹴り 強烈な衝撃と骨が砕けたような激痛 さやかは剣を落とし、辺りに血反吐をぶちまける まどか「さやかちゃぁんっ!!!」 マミ「あの位置!ソウルジェムが!!」 ヤプール「安心しろ。死なれては困るからな……そら!」グイ さやか「うっ……」 致命的なダメージを受け、血を吐きながらぐったりした様子のさやか ヤプールはそんな彼女を首を掴み上げて念力で固定し、少女達に見せつける ヤプール「はははは!!さあ見ろ!銀河中を探し回ってもこんな強力な盾は見つからんぞ!!」 さやか「ぁ…う……」 ほむら「……っ!」 さやかを体に近づけ、盾代わりにするヤプール 少女達の絆を利用した悪魔の発想 その効果は絶大 まどか「……最低っ…!!」 マミ「こんな……酷い…!」 ヤプール「ほーらどうした?攻撃しないのか魔法少女よ!?」 ヤプール「おっと出来るわけがないか……はぁーっはははははは!!!」 ヤプール「そうだ……いいことを思い付いたぞ。おい鹿目まどか」 まどか「!?」ビクッ 突然名前を呼ばれ表情が強張るまどか そんな彼女はお構い無しにヤプールは語りかける ヤプール「こいつを助けたいだろう?お前の大事な大事な友達だからなぁ?」 まどか「当たり前……でしょ」 ヤプール「ふふ……」 ほむら「…?」 まどかが弓を握り締めながら悔しそうにそう答えると、 ヤプールはほむらに一瞬視線を移し、まどかに卑劣な交渉を持ちかける ヤプール「ならば今すぐその弓で巴マミのソウルジェムを撃ち抜いてもらおうか」 まどか「なっ!?」 マミ「……」 ほむら「!!!」 再びまどかにさやかを見せつけながらヤプールは言い放つ その言葉を聞いた瞬間にまどかは表情は真っ青になり、 マミはその後ろで目を閉じて歯を食いしばる ヤプール「どうだ暁美ほむら。なかなか面白い見せ物だろう!」 ヤプールは肩を揺らし、心底愉快そうに笑う それに対し、ほむらは憎しみと悔しさに拳を砕けんばかりに握り締めていた ほむら「ヤプール……あなたは本物の悪魔よ……!!」 ヤプール「ははは!負の感情が入り乱れたいい表情をしているぞ!!」 マミ「……」 まどか「や、やめて……そんなの出来るわけないよ!やめてよぉっ!!」 ヤプール「もたもたするな!さぁ、殺せえ!!」 かぶりを振りながら悲痛な叫びをあげるまどか しかしヤプールにはその声は届かない まどか「い……いや……」 ヤプール「なるほど。コイツがどうなってもいいと?」グッ さやか「ぐ……ぎぃっ…!!」 ヤプール「薄情な友を持ったものだな美樹さやかよ?」 首を掴む左手に、より一層力が加わり さやかは痛みに苦しみ出す まどか「いやぁぁあああっ!?」 ほむら(……時間停止さえ使えれば…!!) さやかの苦痛に歪む顔を見せつけられ、叫ぶまどか ほむらはそれを見ている事しか出来なかった マミ「…………」 暫く目を閉じ、深く俯くマミ そして決心したように声を絞り出す マミ「か……か、鹿目さん……私を……」 まどか「……ぇ……?」 殺せ――― そう言いかけた瞬間、 虫の息だったさやかが二人に向かって叫ぶ さやか「駄目ですマミさん!!まどか!!」 ヤプール「……なにぃ?」 さやか「コイツはっ!!あたしを盾にしてみんな殺すに決まってます!!」 さやか「だからコイツの言うことなんて……っぁあ!?」 ヤプール「よく解ってるじゃあないか。その通りだよ」 さらに力強く首を掴まれ、さやかの叫びはそこで途切れる 彼女の言った言葉を当然のように肯定するヤプール だが、それを聞いた少女達にはどうすることも出来ない さやか「みんな………死ぬことなん……て…」 マミ「っ………じゃあ…どうしろっていうのよ!?」 ザッ ほむら「…?」 ヤプール「む?」 マミの瞳から涙が零れ落ちそうになったその時、 赤い魔法少女がゆっくりと立ち上がり、 槍を引きずり進み出る 杏子「準備オッケー……またせたね」 ほむら「杏子……」 槍を肩に掛け、今の状況を確認するように杏子は周囲を見回す ヤプール「佐倉杏子か……どうやらまた何か小細工を企んでるようだが?」 さやか「杏……子…」 杏子「! さやか……」 傷付いたさやかを見せつけられ、 驚きに目を少し見開くが、臆することなくヤプールを睨みつける 杏子(なるほどな……こんどはアタシじゃなくてさやかが人質ってワケかい…) 人質を取り、相手の抵抗を封じる 以前に超獣がさやか達にとった卑劣な戦法 杏子は呆れたように頭を振る ヤプール「そら佐倉杏子!さっきは大層な台詞を吐いたが……この状況でお前に何が出来る!?」 ヤプール「お前の優しさとやらを見せてもらいたいものだな!!はっはははは!!」 杏子「ゲラゲラ笑うんじゃないよ。超うぜぇ」ジャキ 不快な笑い声を上げるヤプールに対し吐き捨てる様に言い、 槍を構えて腰を深く落とす マミ「!? 佐倉さんあなた……」 ほむら「攻撃……する気?」 まどか「き、杏子ちゃん……」 杏子「まあ見てな」ググッ 不安一色の三人に小さく微笑みながら呟き、 槍の先に魔力を集束させる ヤプール「ほぉ……?美樹さやかよ、どうやらあいつはお前に構わず攻撃するようだぞ?」 さやか「………」 耳元に顔を近づけ、楽しそうに呟くヤプール うな垂れたさやかの表情は髪に隠れ、誰も知ることは出来ない 杏子「大丈夫ださやか……必ず助ける」 さやか「!………へへ…」 ヤプール(馬鹿が……貴様が攻撃できないことなどこれまでの戦いから理解しているのだよ) 杏子の声に反応したさやかが小さく、息を漏らす様に笑う ヤプールは頭の中でそんな二人を嘲笑う 杏子「……いくぞぉっ!!」ダッ ヤプール(攻撃を寸前で止めて回り込む……大方そんなところだろう) 静まりかえる空間 少女達が固唾を飲んで見守る中 槍を素早く構え、 杏子は床を蹴り、疾風の如く一直線にヤプール目掛けて駆け出す さやか「………」 杏子「おおおぉぉおおっ!!」グッ 友の言葉を信じ、ゆっくりと目を閉じるさやか 盾にされた彼女と杏子の距離が少しづつ縮まるが、その勢いは止まらない ヤプール「……!?」 杏子「っだりゃぁぁああああ!!!」 杏子は身体に溜まった魔力を 両腕に 槍に その矛先に集中させ、 そして――― BACKまどか「…ウルトラマン!」 17 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 19
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ヤプール「なに…!?」 QB「少なすぎるんだよ…エネルギーが!!」 声を荒げる一人と一匹 ヤプール「コイツには因果の糸が集中しているのではないのか!?」 QB「それが…契約して分かった…」 QB「今の彼女にはそんなものは無い…まっさらな状態だ…」 まどか「ね、ねぇキュウべえ…」 ヤプール「…いつからだ?」 QB「分からない…だが何かあるとすれば以前の時間軸…」 まどか「ねぇっ!!キュウべえっ!!」 QB「…?」 まどか「わたしの願いは?…わたしの願いはどうなったの…?」 まどか「みんなが助かるんじゃないの…!?」 QB「今の君の素質では無理だね」 まどか「…え?」 まどかに冷たく言い放つキュウべえ まどか「なんで…?どんな願いでも叶えられるって…」 QB「そのハズだったんだけどね…」 QB「君の体に蓄えられたエネルギーは…どういうワケか消えちゃったみたいだ」 まどか「だ、騙した…の?」 QB「…」 ヤプール「…」 まどか「ひ…酷いよ!」 まどか「あんまりだよこんなの!!」ザッ ヤプール「ふん…」 激昂したまどかがキュウべえに迫る まどか「だって契約すれば…」 QB「…うるさいなぁ君は!」 ヤプール「!」 まどか「…!!」ビクッ QB「騙されたのはむしろ僕達の方だね…!」 まどか「あ…え…?」 QB「まったく君達は…本当に面倒だ」トテトテ ヤプール(これは…) 足元のキュウべえを見つめ、目を見開く QB「…なんだい?どうかしたかい?」 ヤプール「…いいや何も」 ザッ まどか「ま、待って!」 ヤプール「…?」 まどか「ハヤタさん達を元の世界に戻してあげて!」 ヤプール「何かと思えばそんなことか…」クルッ 立ち去ろうとしたヤプールが再びまどかに向き直る ヤプール「それはできない。奴等を自由にしておくと面倒なんでな」 まどか「…っ!」グッ ソウルジェムを握りしめ、ヤプールを睨みつけるまどか ヤプール「…なんだその目は」 ヤプール「まさか力づくで従わせようとでも?」 QB「…」 まどか「わたしのせいで…みんなに迷惑掛けてるんだ…」 ヤプール「ほう…」 まどか「これくらい…っ!」バッ ヤプール「ハッ!」ドンッ まどか「きゃあっ!!」 ドシャ コロン ソウルジェムを掲げようとした瞬間 ヤプールの手から発せられた衝撃波で吹き飛ばされる まどか「痛っ…」 ヤプール「どうにか出来るとでも思ったのか?」 シュルル まどか「うっ!?…うっ、あ!」ギシギシ ヤプールが手に持っていた黒い風船の紐がまどかの首に絡み付き 空中に浮き上げる QB「…」 まどか「く…ぁ…」 ヤプール「やはりこんなものか…」スッ スルッ ドシャッ まどか「っ!?…ゴホッゲホッ…はーっ…はーっ…」 ヤプールが手を掲げ、風船の紐を解く ヤプール「これで解っただろう!」 ヤプール「所詮貴様は一人ではなにも出来ない!」 ヤプール「仲間の足を引っ張るだけの!」 ヤプール「無力で弱い魔法少女だ!!」 まどか「う…ううぅ…みんな…」 まどか「…ぅ…ぁあ…」ポロポロ まどか「ぁぁぁああ…」ドサッ 悔しさと苦しさでまどかの瞳から涙が溢れ その場に崩れ落ちるまどか チャリン ヤプール(…ん?) ヤプール「なんだこれは…」ヒョイ まどかの首から滑り落ちたアクセサリーを拾い上げる ヤプール(!!…これは…) ヤプール(なんだ…この物質は…!) ヤプール(こんなものがなぜ鹿目まどかの手に…!?) ヤプール(この物質の中に封じ込められているのは…間違いなく…)スッ 鎖の切れたアクセサリーを懐にしまい込む ヤプール「…」ニヤッ QB「…そろそろ行こうか」 ヤプール「ああ…それにしても…」チラッ まどか「…」 ヤプール「もはや立ち上がる気力もないようだな。まるで廃人だ」 QB「…そうだね」 QB「…まどか、君の願いは恐らく何らかの形で叶えられているはずだよ」 まどか「…」ピクッ 虚ろな瞳で表情を無くした様なまどかが キュウべえの言葉に一瞬反応を示す QB「君がさっき見た滅びの運命…それを回避するために契約した」 QB「皆を助けるために…」 QB「どんな形で叶えられたのかは分からないけどね」 QB「言いたい事はそれだけ…それじゃさよなら」 まどか「…」 ヤプール「鹿目まどか…貴様はその力で何も守ることは出来なかった様だな」 ヤプール「そのまま絶望して魔女になるのも…ソウルジェムを砕くのも貴様の自由だ」 倒れ込んだまどかを見下ろし、 ヤプールが不敵な笑みを浮かべる ヤプール「だが安心しろ。貴様の仲間達も同じ所へ送ってやる」 まどか「…え?」 まどか「送ってやるって…どういう…?」 バリィーン! まどか「うっ…?」 空間に空いた穴の向こうへ、ヤプールとキュウべえが消える まどか「…」 まどか「…」 その場に倒れ込み 虚ろな瞳で赤黒い空を見上げる まどか「…わたし…最後まで…」 まどか「なんにも…出来なかった…な」 まどか「みんなの足引っ張って…」 まどか「ハヤタさんや…ミライ先生達も巻き込んで…」 まどか「それに…わたしのせいで…」 まどか「ほむらちゃん…が…」 まどか「わたしなんかがいたから…」グスッ まどか「…」 まどか「ごめん…ごめんね…」 まどか「わたしって…最低…だよね…」 ギュッ まどか「もう…消えたい…」 まどか「消えちゃいたい…」 少しづつ黒く染まっていくソウルジェムを握りしめ まどかはゆっくりと目を閉じた …………………………………… QB「…彼女、壊れちゃったかな?」 ヤプール「奴はもうどうでもいい…問題はここからだ」 QB「鹿目まどか以外の魔法少女達だね」 ヤプール「そうだ、奴等が二日後のワルプルギスに対してどう出るか…」 QB「一度彼女達に探りを入れた方がよさそうだね」 ヤプール「奴等は巴マミの家を拠点にしている…そこへ向かえ」スッ バリーン QB「わかった…それじゃ行ってくるよ」トテトテ ヤプールが開いた次元の穴へ入っていくキュウべえ ヤプール「…」 ヤプール「…」 ヤプール(さっき鹿目まどかに迫られたときのあいつの反応…) ヤプール(どうやら間違いないようだな) ヤプール(…)スッ ヤプールが手を赤黒い空へ掲げた瞬間 空の一点が少し歪む ヤプール(さて…)チャラ 懐のアクセサリーを取り出し、握りしめる …………………………………… …………………………………… …………………………………… ~学校~ ガララッ マミ「美樹さん、暁美さん帰りましょう?」 ほむら「ええ…美樹さやか、行きましょう」 さやか「う、うん」 「どうしたんだろうね~鹿目のヤツ!」 「そうそう…なんかここ数日無断で休んでるしさ~」 ほむら「…」ピクッ 二人の生徒の会話は瞬く間にクラス全体に広まる 「先生は何も教えてくれないけどさ~」 「俺知ってる!なんか家にも帰ってないらしいぜ!」 「え?マジで!?」 「マジマジ!隣のクラスのヤツに聞いたんだけどさ~」 「なんかアイツの家にパトカー止まってんの見たってヤツもいるよ?」 「うっそマジで?捜索願いとか出てんのかな!?」 「え?なにそれ?行方不明?誘拐とか!?」 「いやそれは知らないけど…」 「暁美みたいな気持ち悪ぃヤツとつるんでたからじゃね?」 「え?」 ほむら「!?」ビクッ さやか「は…はぁ…?」 マミ「な…!?」 「え?なんで暁美?」 「いや俺見たんだよ。真夜中に暁美がウロウロしてるとこ」 「それくらいお前もやってね?」 「いやいや!俺はダチと一緒にブラブラしてるだけだけどさ」 「あいつ一人でブツブツ何か呟きながら裏通り走り回ってたんだよ!」 「うわ何それ!怪しさ満点じゃん!」 ほむら(!? 見られてた…!) 「暁美がアイツを巻き込んだんじゃね?」 「やべー!事件の臭い!」 「顔は良いのにな」 「暁美さん?なんか知ってるんじゃないの?」 ほむら「わ、私は…」 さやか「アンタら馬鹿じゃないの!?ワケわかんないよ!」 「さやかー…アンタも最近暁美と仲いいよね」 「アンタもなんか知ってたりして~!」 さやか「うるさいな!関係ないでしょ!?」 「そういや鹿目ってさ…最近なんか変な男達と歩いてるの見ない?」 マミ「!!」 「あ…私も見たかも…」 「でしょ?見るからに歳の離れた人とかさ~」 「あ~そいつらに攫われたんだ!絶対!」 「こりゃあいよいよ怪しく…」 バンッ! 仁美「いい加減にしてください!!」 ほむら「!」 さやか「あ…仁美…」 机を叩き、声を荒げる仁美 教室全体に広がった騒ぎが一気に静まりかえる 仁美「私の友人たちを悪く言わないでください!!」 仁美「そ、それ以上言うなら私は…!」 「…なにマジになってんだよ」 「ちょっとしたギャグじゃん!」 「いや…アンタらちょっと言い過ぎ」 「謝っといたほうがいいぞ」 仁美「そうですわ!早く二人に謝って…」 ほむら「志筑仁美…もう十分よ」 仁美の言葉を遮る 仁美「暁美さん!?…で、でも」 ほむら「ありがとう」 仁美「!…っ」 恭介「さやか…」 さやか「いーよ、恭介…大丈夫だから」 「二人ともあんまり気にしない方がいいよ?」 「そーそ!きっとすぐ帰って来るって!」 マミ「…二人とも行きましょう」 ほむら「ええ」 さやか「…」 マミ「…」 マミ(…私は…) 『暁美みたいな気持ち悪ぃヤツとつるんでたからじゃね?』 『暁美がアイツを巻き込んだんだろ?』 『そういや鹿目ってさ…最近なんか変な男達と歩いてるの見ない?』 『そいつらに攫われたんだ!絶対!』 マミ(私は…あんな人達を守るために…) マミ(…) マミ(…いえ) マミ(今は目の前のことに集中しましょう…) 頭の中の嫌な考えを振り払い 二人を連れて帰宅する ~マミホーム~ ガチャ マミ「ただいま」 杏子「おっ!お帰り~」 さやか「お邪魔します」 ほむら「…」 杏子「…?なんだよ元気無いじゃん」 マミ「なんでも無いのよ…」 我夢「お帰りマミさん。言われた通りこの町の地図用意しといたよ」 ダイゴ「ついでに紅茶もね…少し落ち着いてから始めよう」 マミ「ありがとうございます…二人とも上がって?」 …………………………………… ほむら「アスカの姿が見えないけど…」 ダイゴ「ああ…あっちの部屋で寝てるよ」 テーブルを囲み、紅茶を啜る六人 杏子「まーだ不貞腐れてんのかアイツ?」 さやか「え?なんかあったの?」 杏子「なんかさ?こんな時に何にも出来ないのが悔しい…ってさぁ」 さやか「!…」 我夢「あ…でも、不貞腐れてばかりじゃないよ!彼、さっきまで色々地図に書き込んでくれてたんだ」 我夢「ほむらちゃんから聞いたワルプルギスのだいたいの出現ポイントとか…どの位置が狙いやすいかとかね」 ダイゴ「昨日の夜からずっと考えてたみたいだから…寝かせといてあげよう」 杏子「へぇ~…ちょっと見直したかもな!」 マミ「あはは…昨日の夜、隣の部屋から聞こえた唸り声はそのせいだったのね」 ほむら「紅茶、ごちそうさま」カチャ マミ「…そろそろ始めましょうか?」 杏子「作戦会議だな!」 …………………………………… ダイゴ「…」 我夢「…」 テーブルの上にペンで書き込まれた印だらけ地図を開き 作戦を練る少女達 ほむら「…ここよ、このポイントでスペシウム弾頭弾を発射して…」 マミ「私がこの技で仕留める…と」 さやか「それが当たれば勝てるかな…?」 ほむら「どうかしらね…」 ほむら「でもこれが現在の私達にできる最大火力の攻撃であることは間違いないわ」 マミ「これで倒せなかったら…さすがに厳しいわね」 ダイゴ「これは作戦というには…あまりにも無謀じゃないかい?」 我夢「ファイターを設置してワルプルギスを狙い撃つこのポイント」 我夢「ここにヤツを誘い出すまでどれだけダメージを与えられるか…だね」 杏子「…なぁ、トドメはマミの攻撃で決めるんだろ?」 マミ「ええ、そうよ?」 杏子「その攻撃するためにはありったけ魔力を溜めて狙わなきゃいけないんだろ…?」 杏子「その間アンタ動けないじゃないか…危険だぜ?」 心配そうな顔でマミを見つめる マミ「…危険なのはみんな同じだと思うわ」 ほむら「その通りよ」 ほむら「むしろあなた達は自分の心配をしなさい」 さやか「…!」 杏子「あん?」 ほむら「私と巴マミが最後の攻撃を仕掛けるまで…あなた達はワルプルギスの足止めをするのよ」 さやか「あ…」 ほむら「一番危険なのは接近戦主体のあなた達じゃないかしら?」 さやか「…」ビクッ 杏子「…分かってるよ」 さやかと杏子の表情が緊張の色に染まる さやか(一番…危険…) ドタドタドタ ガチャッ マミ「あら?」 アスカ「お、おいみんな!これ見てくれ!!」 ダイゴ「どうしたんだい?血相変えて…」 ほむら「起きたのね…騒がしい」 アスカ「こっ、これ!」バッ 右手に握りしめたリーフラッシャーを全員に見せつける 我夢「!? これは…!」 ダイゴ「光が…!」 アスカ「ダイゴさん達は!?」 ダイゴ「僕のは…」ゴソゴソ 我夢「あ…!」ゴソゴソ スパークレンス、リーフラッシャー、エスプレンダー その全てにわずかな光が灯っていた ダイゴ「…」 我夢「戻ってる…光が!」 アスカ「これなら…やれるかもしれねぇ!」 ダイゴ(…だがこれでは) 喜ぶ二人とは対照的に暗い表情のダイゴ アスカ「マミさん!俺達も…」 ほむら「…駄目よ」 さやか「えっ…?」 アスカ「え!?な、なんでだよ!」 杏子「何言ってんだほむら?戦力は多い方が…」 ほむら「そのほんの少しの光で…あなた達は変身できるの?」 我夢「!」 マミ「…ダイゴさん?」 ダイゴ「…気付いていたんだね、ほむらちゃん」 ダイゴ「恐らく…これだけのエネルギーでの変身は…難しいと思う」 さやか「そ、そんな…」 ほむら「…でしょうね」 ほむら「それにそんな状態で仮に変身できたとしても…ロクに力を出せずにやられてしまうでしょうね」 杏子「ちょっと待てよ…そんな状態で負けたら…」 ダイゴ「死ぬ…だろうね」 アスカ「…」 ほむら「アスカ・シン。あなた達は別世界の人間なのよ…」 ほむら「ワルプルギスとの決着は私達…魔法少女が着ける」 我夢「…だけど」 マミ「大丈夫です、必ず勝ちますから…!」 アスカ「…」 ダイゴ「…彼女達を信じて待とう?」 スタスタ ガシッ マミ「わ…!」 ダイゴ「…」 マミに駆け寄り肩を掴むアスカ アスカ「勝てるんだな…?本当に…」 マミ「!…はい」 アスカ「…」スッ 肩から手を離す アスカ「…わかったよ」 アスカ「みんなを信じて…待つよ、俺」 我夢「…そうだね…僕も…」 杏子「ま…死なれちゃ困るしな!」 さやか「…」 ほむら「…今日はもう解散しましょう」 マミ「ええ、明日は各自万全の状態で指定のポイントに集合ね」 杏子「さーて…さやか!今日はアタシと明日に備えて特訓だな!」 さやか「…」 杏子「…さやか?」 俯いたままのさやかの顔を覗き込む杏子 さやか「へっ!?…あ、ああ…うん」 杏子「どうかしたか?」 さやか「何でもない!ホラ行こ!特訓するんでしょ!」 杏子「…ああ」 ガチャ バタン 我夢「帰っちゃいましたね…」 ダイゴ「ああ…そうだね」 マミ「…」 ダイゴ「マミさん、今日はゆっくりしてるといい」 マミ「え?…で、でも」 ダイゴ「大丈夫、夕飯は僕が作るからさ」 マミ「…じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら?」 我夢「明日は決戦だから疲れを残さないようにね」 アスカ「あ~…ダイゴさん?俺ももうひと寝入りしていいかな?」 ダイゴ「…ああ、構わないよ」 ダイゴ「君ずっと地図とにらめっこしてたからね…寝不足でしょ?」 アスカ「すんません…それじゃ」 ガチャ マミ「それじゃあ私も部屋に…」 ドガッ!! 我夢「!?」 マミ「!! な、なんの音!?」 部屋全体に響くような音に驚く二人 マミ「あっちの部屋から聞こえた…」 ダイゴ「…アスカか」 マミ「アスカさん…」 我夢「…」 ダイゴ「…そっとしておいてあげよう」 …………………………………… QB「…どうやら彼等にほんの少し力が戻ったようだね」 ヤプール「ほう」 空間に空いた穴 その向こうには数分前のマミの家の光景が映し出されていた ヤプール「あの三人の光エネルギーは全て吸いつくいたのではないのか?」 QB「そうだよ。あの三人は特殊なアイテムに光の力を封じ込めて使っているからね」 QB「純粋な宇宙人である宇宙警備隊員のウルトラ兄弟達…」 QB「そして宇宙人の力を借りて変身している春野ムサシ、孤門一輝達とは違う…まったく異質のウルトラマンだ」 QB「光そのもので変身しているあの三人のエネルギーは簡単に回収できたよ」 ヤプール「ではなぜ奴等に光エネルギーが…?」 QB「…鹿目まどかの願いだろうね」 ヤプール「!…なるほどな」 ヤプール「可能な範囲で叶えられた願いがコレか」 QB「うん、気付いてないと思うけどマミ達のソウルジェムの穢れも浄化されてると思うよ」 ヤプール「ふむ…」 顎に手を当てる、考え込む QB「どうかしたかい?」 ヤプール「…あの三人のウルトラマンの戦闘データを手に入れておきたい」 QB「?…ティガ、ダイナ、ガイアのデータを?」 ヤプール「そうだ、すでにメビウス…そしてネクサスとコスモス…だったか?」 ヤプール「あの三人…そして鹿目まどか以外の魔法少女のデータはすでに収集済みだ」 シュゥウ… パンッ ヤプール「このガディバでな…」 ヤプールの持った黒い風船 その一つが割れ、黒い霧状の生物が出現する QB「宇宙同化獣ガディバ…君達は本当に便利なものを持っているね」 QB「その存在を知った時は驚かされたよ」 QB「対象に寄生し、強化、生体情報の収集まで出来るんだから」 ヤプール「そして寄生した生物が戦った相手のデータは我々の物に…と」 ヤプール「行けガディバよ!ワルプルギスの夜に寄生するのだ!」スッ シュゥウン ヤプールが手を掲げ、指示を出すと ガディバは凄まじい速度で飛び去り、一瞬で視界から消え去った QB「しかしヤプール…データを得るにはワルプルギスが三人と直接戦闘しなければいけないんだろう?」 QB「あの三人は変身せず戦いを見守る気だよ?」 ヤプール「…以前の時間軸で四人の魔法少女達は致命傷を負いながらもワルプルギスに勝利した」 ヤプール「しかしガディバで強化されたこの時間軸のワルプルギスには…どうかな?」 QB「…なるほどね、引きずり出すってワケか」 ヤプール「そうだ。あの三人も目の前で少女達が殺されれば黙ってはいまい」 ヤプール「半分にも満たないエネルギーで変身した奴等など取るに足らん存在だ!」 ヤプール「それに加えて鹿目まどか達を失い、魔法少女達は精神的にダメージを負っている」 ヤプール「誰か一人を追いつめれば奴らの戦力を削ぐことも可能というわけだ」 説明を終えたヤプールにキュウべえが話しかける QB「一番精神的に弱っているのは…美樹さやかかな?」 QB「僕が行って様子を見てこようか」 ヤプール「頼む」 QB「…しかし凄いね、ガディバは」 QB「影の魔女…犬の魔女」 QB「そして美樹さやかの人魚の魔女…」 QB「その全てに寄生した時は驚かされたけど…まさかワルプルギスにまで寄生出来るとはね」 QB「こんな物を提供してくれた君達には感謝しているよヤプール」 トテトテ ヤプール「…」 ヤプール(さて…) ヤプール(もしもの時の保険を使う時は来るかな…くくく…)ニヤリ 不敵な笑みを浮かべ その場から立ち去るヤプール ~さやかホーム~ さやか「はぁ…」ボスッ ため息を吐き、自室のベッドに腰を下ろす さやか「いよいよ明日だ…」 さやか「…」 さやか「…あ~あ!早く寝ちゃお!」 トテトテ QB「やぁさやか!お邪魔するよ!」 さやか「!?」ビクッ さやか「アンタ…どうしてここに…!」スッ ソウルジェムを手に取り、キュウべえを睨みつける QB「おっと、やめてよ…僕は君達の様子を窺いに来ただけなんだから」 QB「無駄に魔力を消費するような真似は止めた方がいいよ」 さやか「く…」 QB「それにしても大変だねぇ」 QB「明日の事を考えると眠れなくなるんじゃないのかな?」 さやか「…!」ピクッ さやか「大変だね…だってぇ!?」 キュウべえの発言を聞き、 さやかの抑え込んでいた感情が溢れ出す さやか「あたし達を騙しておいてよくそんな事が言えるね!!」 さやか「アンタに騙されなれば…」 さやか「魔法少女の真実を知ってればこんな体には…!!」 ガシッ キュウべえの首を掴み、持ち上げる QB「…僕は騙してなんかいないよ?ただ聞かれなかっただけ」 さやか「ふざけんなっ!」 ブンッ ベシャッ QB「いたたたた…」 壁に叩きつけられ、そのまま落下するキュウべえ QB「…さやか、僕はちゃんと魔法少女になってくれってお願いしたじゃないか」 QB「実際の姿はどんなものか説明は省略したけどね」 さやか「そんなの…!」 QB「それに人間は命が尽きるとその精神まで消滅してしまうそうじゃないか」 QB「そうならないために…君の魂を手に取れる器に入れ替えてあげたんだよ」 QB「魔女と戦えるようにね」 さやか「よ…余計なお世話だ!」 QB「余計なお世話?…やれやれ」 QB「君はまだ戦いというものを甘く考えてないかい?」トテトテ さやか「何が!?」 キュウべえが自分の手をさやかのソウルジェムに当てる QB「そうだなぁ…例えば」 QB「君、あの影の魔女と戦った時に腹を貫かれたよね」 QB「あの時…君はすさまじい激痛を感じただろう?」 さやか「ッ…!」ググッ 魔女の攻撃を受けた部分を押さえ、 恐怖の表情を浮かべる QB「…あれでも痛みはセーブされてたんだよ?」 さやか「…え?」 QB「えーっと実際に腹に穴が開くとどれくらい痛いかっていうとね…」 さやか「!? や、やめ…」 ビキィッ! さやか「ぎっ!!?」 ドサッ さやか「あっ、が…!?」 さやか「うぁぁぁああああああ!!!!」 想像を絶する痛みを受け、 気絶、覚醒を繰り返し、のた打ち回るさやか QB「…どうだい?恐ろしいだろう?」 さやか「はぁっ…はぁっ…あっ、く…」 QB「さて…ワルプルギスの夜との戦いでは…」 QB「もしかすると君はこれくらいの痛みを何度も受けるかもね?」 さやか「ひっ…!!」 QB「…」 QB「それじゃ、明日はがんばりなよ」トテトテ さやか「あ…ああ…あ…」 さやか「…」 …………………………………… ~ワルプルギスの夜出現当日~ 「本日午前七時―――」 「突発的異常気象に伴う避難指示が発令されました」 「付近にお住まいの皆様は速やかに最寄りの避難所への移動をお願いします」 「繰り返します。こちらは――――」 全ての住人が消えた町 静まりかえる中、スピーカーから流れる避難指示が響き渡る タッタッタッ… 杏子「よう、待たせちゃったな」 マミ「お待たせ」 ほむら「いえ…私達もさっき来たところよ」 さやか「…」 町の高台に四人の魔法少女達が集結する ほむら「ダイゴ達は…?」 マミ「あの人達とは避難所近くで別れたわ」 マミ「多分だけど…ここよりもっと離れた所で私達の戦いを見るんだと思う」 さやか「…」 杏子「しっかし…ワルプルギスが出てくる場所はもっと先に行ったとこだろ?」 杏子「わざわざこんな離れた場所で出待ちすること無いんじゃねーの?」 首を傾げた杏子がほむらを見つめる ほむら「出現位置で待機していたらヤツが現れたと同時に狙い撃ちされる可能性があるわ」 ほむら「だから離れたこの位置から私が時間を停止させ、重火器で一気に攻撃する」 ほむら「ヤツが爆煙で視界を制限されているうちに接近するわ」 杏子「要するにコッソリ近づいて攻撃って感じか…まどろっこしい作戦だな」 マミ「少しでも安全性を高めるためなのよ?我慢なさい」 ゴゴゴゴゴゴ… ほむら「…お喋りはそこまで…来たわよ」 マミ「!!…あれが…」 杏子「…」 さやか「う…」 クスクスクス… キャハハハハ… アッハハハハハハ… 暗雲が空を覆い 万国旗のようなものが張り巡らされ その暗雲の向こうから 赤と白のドレスを身に纏った巨大な女性型の魔女が出現する ワルプルギス『クスクスクス…』 魔女のドレスのスカートからはゆっくりと回転する不気味で巨大な歯車が顔を覗かせ 胴体はその歯車を上にして逆さまにぶら下がるようにして浮いていた ワルプルギス『クッ…クックククキキキ…』 ワルプルギス『クヒヒヒヒヒヒヒ…』キュイン マミ「あれが…ワルプルギスの…夜…!!」 杏子「想像してたよりずっとデカイな…おい」 さやか「…」 キュインキュインキュイン ワルプルギスの体が赤黒い色に輝き始める ほむら「…!?」 杏子「おい、ほむら!さっそく時間停止して…」 ほむら「待って…!もう少し様子を…」 バシュシュシュン! ドガァァァアアアアン!! マミ「うっ!?」 杏子「おわっ!?」 さやか「!!!」 ゴゴゴゴゴゴ… 杏子「…おいおい」 ほむら「…出現位置で待ち構えなくてよかったわね」 マミ「なんて威力…!」 出現地点だったビル街は ワルプルギスが放った光線に吹き飛ばされ、見るも無残な風景と化していた 杏子「こりゃあほむらの判断が正しかったな!」 マミ「ええ…あそこにいたら私達は今頃致命傷を負っていたでしょうね…」 ほむら「…いえ」 ほむら「正直あれほどの攻撃が出来るとは思わなかったわ…」 さやか「…」 マミ「…けど見たところあれを撃つには数秒の溜めが必要みたいね」シューン 杏子「よし…ほむら!今度こそ頼むぜ!」シューン ほむら「わかってる…」 ほむら(今度こそ…決着を着ける!!)シューン ソウルジェムを掲げ、変身する三人 さやか「…」 杏子「…さやか?」 さやか「…無理だよ」 杏子「!? お前…」 ほむら「…」 マミ「…」 さやか「だ、だって…見たでしょ?今の…」 さやか「あんな滅茶苦茶なヤツに勝てるわけないよ…!」 肩を震わせ、俯きながら話し続ける さやか「怖いんだ…」 さやか「戦うのが怖いんだよぉ!!」 ほむら「…」 ほむら(彼女…とうとう限界がきてしまったわね) さやか「あ、あたしは!」 さやか「ほむらみたいに凄い能力持ってるわけでもないし…!」 ほむら「…」 さやか「魔女とだって数えるくらいしか戦ったことない…!」 さやか「杏子みたいに戦闘経験が豊富なわけでも…ない」 杏子「さやか…」 さやか「そ…それに…」 さやか「マミさんみたいにベテランで勇敢な魔法少女でもないよ!!」 マミ「!…」 さやか「あたしには無理だよ…」 さやか「みんなみたいな勇気あたしには無いし!キュウべえに騙されなきゃ魔法少女なんかには…」 パシン! さやか「っ…!?」ペタン マミ「…」 マミに頬を叩かれ、地面にへたり込むさやか 杏子「お、おいマミ…」 ほむら「…」スッ 杏子「!…」 駆け寄ろうとした杏子はほむらに腕で制止され、立ち止まる マミ「美樹さん…見なさい」 マミ「これがそんなに勇敢な人間の手に見える?」 叩いたその手をさやかに見せつける さやか「…あ」 さやか(マミさん…震えて…) マミ「…私だって怖い」 マミ「戦うのが…怖いわよ」 マミ「私があなた達の前で戦ったあの魔女…」 マミ「あの時アスカさんが来てくれなかったらどうなっていたか…とか」 マミ「ワルプルギスの夜と戦っても手も足も出なかったら…とか」 マミ「そんな事を考えたら…恐怖で震えが止まらない」 さやか「ま…マミさん、あたし…」 マミ「…でもね」 真っ直ぐにさやかを見つめ 語りかける マミ「その恐怖は自分自身で乗り越えていくしかないの…!」 マミ「恐れから逃げずに…真正面から向き合わなくちゃいけないのよ」 マミ「それが戦うってことだから…」 さやか「!!…」 マミ「…行きましょう、二人とも」タッ ほむら「…美樹さやか」 ほむら「ここであなたが逃げ出そうと…私はあなたを責めたりはしない」 ほむら「ここから先は…あなたの自由よ」タッ 杏子「…」ポン さやか「杏子…」 無言でさやかの肩に手を置く杏子 杏子「…行ってくる」タッ さやかを残し、 三人の魔法少女はワルプルギスの夜へと立ち向かう さやか「…」 …………………………………… ほむら(…時間停止!) カチン ほむら「…さて」ジャキッ 時間を止め、盾から大量の重火器を取り出し 自分の周りに並べる ほむら「…」 ドンドンドンドンドンッ! ガチャッ ポイッ その全てをワルプルギスへと放つ ほむら「よし…停止解除…」 カチン ワルプルギス『きゃははははっ!??』 ズドドドドドドドッ! 停止解除と同時に空中で静止していた弾頭がワルプルギスに直撃し 大爆発を起こす ほむら「…」 杏子「おぉ…随分と派手にやるなぁ」ジャキン マミ「でもこれでヤツは視界が制限されるハズ…!」チャキ ほむら「一気に接近する…行くわよ!!」ガチャ それぞれの武器を構え、一気に跳躍する 杏子「おうっ!」 マミ「ええ!行きましょう!」 ダッ …………………………………… ~避難所~ ガタガタガタ… 知久「…風、強くなってきたね」 詢子「…そうだね」 タツヤ「…」 避難所で身を寄せ合うまどか以外の鹿目家の三人 タツヤ「ねぇパパ…ねーちゃは…?」 詢子「!!」 タツヤ「ねーちゃ、いつ帰って来るの…?」 知久「…」 詢子「知久…アタシ、もう一度探してくるよ」 詢子「まどかもここに避難してくるかもしれないし…」スッ 知久「駄目だ…!」ガシッ 立ち上がろうとした詢子の腕を掴む 詢子「いや、でも…!」 知久「外を見なよ!?…また風が強くなってきている…」 知久「それにここ何度も探し回っても見つからなかったんだ…」 知久「消防署に任せよう…下手に動かない方がいい」 詢子「っ…!!」 知久「…それに…もしかしたら別の避難所に行ってるかもしれないだろう…?」 詢子「…くぅ…ぅ…」 知久「…まずは君が落ちついて…」 詢子(まどか…アンタ何処で何やってんだよ…) …………………………………… ドカァァアアン… ガラガラガラ… 離れた場所でワルプルギスと戦う少女達を見つめる三人の影 我夢「…始まりましたね」 ダイゴ「うん…そうみたいだ」 アスカ「…」 アスカ「勝つ…あいつらは勝つんだ…!」ググッ 拳をきつく握り締め、魔法少女達の戦いを戦いを見つめる ダイゴ「…信じて待とう…彼女達を」 我夢「ええ…」 BACKまどか「…ウルトラマン!」 7 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 9
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~光の国~ ウルトラの父『…プラズマスパークのエネルギーコアが異常な反応を示している…』 ウルトラの母『一ヶ月前より更に…ですか?』 ウルトラの父『うむ…』 異常な輝きを発するプラズマスパーク それはこの宇宙の新たなる脅威の訪れを意味していた ウルトラの父『…地球へ向かわせた者達からのウルトラサインは…?』 ウルトラの母『…』 無言で首を横に振る母 ウルトラの父『……そうか』 ウルトラの母『地球に侵入したインキュベーターという異星人…そして別世界の戦士達…』 ウルトラの母『その情報を最後にそれ以降サインが送られてこないということは…』 ウルトラの母『彼らが非常に切迫した状況下に置かれているということなのではないでしょうか?』 ウルトラの父『…』 母の声色は明らかに不安を露わにしていた ウルトラの母『例えば…ウルトラサインすら出せないほどの…』 ウルトラの父『それは解っている!だからこうして彼ら二人に準備を…』 シュイン ???『果たして…それだけで十分かな?』 ウルトラの母『!…あなたは…』 スタッ キング『自体は我々の想像を遥かに超えているようだ』 眩い光の中、 伝説の超人ウルトラマンキングが降臨する ウルトラの父『?…それはどういう…』 キング『見るがいい…今、地球でどれ程の事態が起ころうとしているか…』 シュンッ ウルトラの母『!!』 ウルトラの父『こ…これは…!』 キングの力によって上空に映し出された巨大なビジョン そこには月の裏側に待機している球状の巨大な宇宙船 そして地球を覆う様に発生した歪みが映し出されていた ウルトラの母『宇宙船…!?それにあの歪みは…?』 キング『…あれは異次元へのゲート』 キング『あの歪みがある場所に亀裂が入り…奴らはそこから超獣を送り込んでくるのだろう』 ウルトラの父『超獣!?…それはつまり…!』 キング『うむ…インキュベーターの背後にはヤプールがいる』 ウルトラの母『……なんてこと…』 ウルトラの父『これ程の状況になるまで察知出来なかったとは…!!』 キング『恐らく奴らの技術で地球人はインキュベーター達の存在を察知することは出来ないのだろう…』 キング『今、あの星で奴らに対抗することが出来るのは…』 キング『数人の魔法少女達とウルトラ戦士だけだ』 キング『どうだ?これ程の敵に対して…地球に送るのはたった二人か…?』 ウルトラの父『……しかしそうなると…』 キングの言葉に閉口し、俯く父 ウルトラの母『……どうかご決断を』 ウルトラの父『…………』 ウルトラの父『…うむ』 静かに頷く父 その視線の先にはプラズマスパークのエネルギーコアに手をかざす二人のウルトラマンがいた …………………………………… …………………………………… ~避難所~ パシィン! ミライ「う……!」 目の前の光景から目を反らすミライ 頬を叩く乾いた音が避難所のロビーに響き渡る 詢子「……」 まどか「……」 叩かれた頬を少し赤く腫れ上がらせて、 怯むことなく詢子を見つめるまどか 詢子「ふざけるんじゃないよ…!アンタの言ってることはワガママじゃ済まされない…!!」 驚き、怒り、悲しみ、戸惑い それらの感情が入り混じった表情でまどかを睨む詢子 詢子「ここ数日…連絡も寄こさず家出紛いのことしておいて……」 詢子「いきなり帰って来たかと思えば……この町に残るだってぇ…!?」 まどか「…うん」 静かに頷くまどか 詢子「……この避難所も危ないかもしれないってことで…この町からの避難指示命令も出てる」 詢子「しかもアンタがこの町に残る理由は言えないと来たもんだ!」 詢子「…なに考えてんだアンタは!!」 ミライ「か、鹿目さん……まどかちゃんは…」 詢子「親子の間に入るなっ!!!」 ミライ「!!…」 激昂した詢子はミライの制止を一蹴し、怒鳴り続ける 詢子「アンタ一人の勝手で周りにどれだけ迷惑を…!」 まどか「解ってるよっ!!」 詢子に張り合うような大声で、彼女の言葉を遮るまどか まどか「みんなが心配してくれてるって……解ってる…」 詢子「……」 詢子「……アンタの他にここに残る奴はいるのかい?」 まどか「?…うん、いるよ」 冷静さを取り戻し、詢子の口調が皮肉めいたものに変わる 詢子「へっ……お友達が残るから…アンタも残るってか?」 まどか「!…違うっ!!」 詢子「!!」 まどか「わたしがこの町に残るのは…みんなを守りたいから…」 まどか「わたしに出来ることを…精一杯やる…!」 詢子「…」 まどか「そして…」 決意の眼差しで、詢子を見つめる まどか「これはわたしが……わたし自身が出した答えだから…!!」 詢子「!……」 ミライ「…」 まどか「ごめんねママ……だからわたしは―――」 ガシッ! まどか「ひゃあっ!?」ゴツン 詢子「……」 詢子がまどかの顔を両手で挟み、 引き寄せて、額と額を優しく合わせる まどか「ま、ママ…?」 詢子「……はぁ」 浅いため息がまどかの顔にかかる 詢子「…今のは本当なんだな?」 まどか「え…?」 詢子「誰かの嘘に踊らされてねぇんだな……!?」 険しい表情、厳しい声音でまどかに問いかける まどか「……うん!」 詢子「…」スッ 詢子「………先生」 ミライ「は、はい!?」 まどかから顔を離した詢子がミライに向き直る 詢子「悪かったね…怒鳴ったりして」 ミライ「い…いえ!こちらこそ…」 詢子「アンタのことは和子からちょっとだけ聞いたよ……信用できそうだ」 ミライ(!……早乙女先生…) 詢子「まどかを……よろしく頼みます」ポン まどか「!…」 ミライ「……はい!任せてください!」 まどかの背中を優しく叩き、詢子が小さく頭を下げる まどか(……ありがとう…ママ…) …………………………………… …………………………………… 詢子「……」 知久「…行ったみたいだよ」スタスタ まどかとミライが立ち去った後、 詢子の隣には二人と入れ替わるようにして知久が現れる 詢子「……悪いね、あたしが勝手に話進めちまったみたいで…さ」 知久「…いや」スッ 首を横に振り、詢子の肩に手を回す 知久「あの子自身が決めて…君が送りだしたんだ」 知久「僕は何も言わないさ」 詢子「……はぁ」 詢子「あいつ…まるで急に大人になったみたいでさ…」 詢子「……なんか…寂しいというか…なんというか…」 知久「……見てごらん」 詢子「…?」 避難所の窓から見える、所々崩壊した町並みを指差す知久 その指示した先には、一片の迷いも無く仲間の元へ走るまどかの姿があった 知久「…大丈夫、きっと無事で帰って来る」 知久「彼女は僕達の子だよ」 詢子「!…」 詢子「………」スッ 少し強張った表情を崩し、知久の胸に身を預ける 詢子「……そうだね」 …………………………………… …………………………………… マミ「……」 冷たい風が吹き荒れる、人の気配が消えた夜の街 目の前に積もった灰と石の山をぼんやりと眺めるマミ タッタッタッ さやか「あ!いたいた!」 杏子「ここかぁ…探したんだぜ?マミ」 郷「冷えるだろう?早く帰って来なさい」 北斗「皆帰りを待っているぞ」 マミ「!…みんな…」 マミを迎えに現れた四人 北斗「む…?これは……?」 さやか「あれ…そういえばここって…?」 目の前の光景を見て、二人が目を丸くする 杏子「あの化物の…亡骸だよな?」 マミ「…ええ」 マミがながめていた灰と石の山 それは灰化して、微かに面影を残したUキラーザウルスの亡骸だった 郷「…あまりここにいない方がいいぞ?」 杏子「え?…なんでだ?」 北斗「この亡骸…灰化したとはいえまだ少し内部にエネルギーの流れを感じる…」 マミ「!!」 さやか「え…えぇ!?」 北斗の答えに驚愕する一同 杏子「それってやばいんじゃないか!?」 さやか「またコイツが復活したり!?」 郷「いや、その心配は無い」 北斗「肉体自体は崩壊しているし、再び動き出すほど莫大なエネルギーがあるわけでもないからな」 さやか「そ、そっか……よかった…」 杏子「…まぁあんまり長居するもんじゃねーな」 安堵し、胸を撫で下ろす二人 郷「こんなところで何を…?」 マミ「あ、いえ…ちょっと考え事を……」 北斗「考え事?」 苦笑し、気恥ずかしそうに答えるマミ 郷「…あの時のヤプールの言葉か?」 マミ「!……はい…」 図星を突かれ、背を向けるマミ 杏子「……人間に絶望したとかなんとか言ってたな…」 さやか「あ、あんなヤツの言う事なんか気にしちゃ駄目ですよマミさん!」 北斗「その通りだ」 北斗「心の隙を突き、負の感情を利用することはヤツの常套手段だからな」 郷「……」 マミ「……それは…解ってるんです」 マミ「……私が…これまで人を守るために戦ってきた理由は…」 郷「…?」 杏子「どうしたんだよマミ…急にさ?」 一同に背を向けたまま、唐突に呟く マミ「……魔法少女になった時…助けられるはずの命を救えなかったから…」 マミ「あの時は自分が助かる事に必死で…」 マミ「だから私は…ただその罪の意識から逃れる為だけに戦ってたのかもしれない」 さやか「マミさん…」 マミ「でも…鹿目さんや美樹さん…」 マミ「それに…守るために戦い続ける皆さんを見て……私も純粋な気持ちで戦えるようになったんです」 郷「…」 北斗「……」 マミ「だから尚更…人の嫌なところを見て…あんな言葉を掛けられたら…」 さやか「あ……」 数日前の学校での出来事が、二人の脳裏を過ぎる マミ「私怖いんです…!」 マミ「もしかしたら私のやってきた事は…全部無駄だったんじゃないかって思うと…」 杏子「…」 心の奥底から溢れ出しそうな感情の波を抑え、 肩を震わせながら話し続けるマミ 北斗「……」 郷「……それでいいんだ、マミ」 マミ「っ…!?」 予想外の言葉に驚き、咄嗟に振り返る 杏子「…どういうことだ?」 郷「護るべきものを見つけ、守る」 郷「そのためには相手を……人間を知らなければならない」 さやか「人間を…知る?」 郷の言葉に、少女達は首を傾げる 郷「…人間の強さも、弱さも、美しさも醜さも…」 郷「相反する両面を知らなければ…守ることは出来ない」 マミ「!!」 郷「その両面を知った上で、俺たち兄弟は戦い続けてきた」 郷「人間が…守るに値するものと信じて」 遠い星空を眺めながら、郷が語る さやか「……難しいんだね、守るって事はさ」 杏子「ああ…ブチ壊すのは一瞬なのにな…」 崩壊した街の光景を見回しながら さやかの言葉に付け足すように呟く杏子 マミ「…」 北斗「俺が思うに…お前達は人の悪い面にばかり目が行きがちなのかもしれないな」 さやか「?…そ、そう…かな?」 北斗「お前達の周りには…心配してくれる人や、優しく接してくれる大人はいなかったのか?」 さやか「うーん…」 マミ「……」 さやか(……そういやちょっと前に行った花屋のおばちゃん…いい人だったなぁ) マミ(そういえばスーパーに閉じ込められた時のあの店員さん……優しかったな…) さやか(仁美も恭介も……なんだかんだで心配してくれてるし) マミ(アスカさん達も…文句一つ言わずに私達を助けてくれている…) 北斗「どうだ?探せば色々出てくるもんだろう」 さやか「まぁ…言われてみれば」 マミ「……なんだか気が楽になりました」 郷「それはよかった」 杏子「……あ!」 杏子「なぁなぁみんな!あれ見てみろよ!」 満点の夜空に一際美しく輝く星を指差し、 興奮した様子で大声を上げる杏子 郷「……どうした、急に」 北斗「!…あれは…」 さやか「あ!なにあの星!」 マミ「ほんと……すっごく綺麗…」 北斗「おぉ!……お前達あれが見えるんだな?」 嬉々とした表情で少女達を見つめる マミ「え?…何か知ってるんですか?」 北斗「ああ…あれはウルトラの星と言ってな…」 さやか「ウルトラの星?」 杏子「なんだそりゃ?」 聞きなれない言葉に興味を示し、三人が北斗の話に耳を傾ける 北斗「あの星はな、辛い事があっても負けるもんか…って思った者にだけ見えるんだ」 郷「君達が人として成長し、目指すべきもの、守るべきものを見つけた強い者になった証……といったところか」 杏子「へぇ…」 マミ「ウルトラの星…かぁ」 さやか(あたし…強くなれたのかな?) …………………………………… …………………………………… ~廃工場~ ガコン 孤門「よし……こんなもんかな?」 ほむら「……」 孤門「…どう?使えそう?」 廃工場の各所に空のドラム缶を設置する孤門 その作業を終え、資材の上に座り込んで盾の砂時計を弄るほむらを呼ぶ ほむら「…駄目ね。やっぱり発動しないわ」 孤門「そうか…」 ほむら「…まぁ解っていた事だけど」 ほむら「時間停止が使えなくなったのは…ね」 孤門「え?原因は解ってるんだ?」 ほむら「ええ…これを見て」カチャ 魔法少女の姿のほむらが孤門の目の前に盾を突き出し、 砂の落ち切った砂時計を指差す 孤門「それは?…砂、もう無いみたいだけど?」 ほむら「そうよ」 ほむら「この砂時計に流れ続ける砂を止めることで発動する時間停止能力」 ほむら「砂が落ち切ってしまった時、新たに補充するには……」 孤門「!……砂時計を回転させる…?」 ほむら「御名答よ」シューン 変身を解除し、髪を手で流す ほむら「それはつまり…もう一度時間を巻き戻すということ」 ほむら「元々この能力は一ヶ月限定みたいなものよ」 孤門「…一ヶ月?」 ほむら「……私が退院して……まどかとの出会いをやり直すために契約するまでの期間よ」 孤門「…ごめん、嫌な事思い出させたね……」 自身の失言に視線を落とし、詫びる ほむら「構わないわ。とにかくこの能力はもう使えない」 ほむら「だから…あなたにこんなこと頼んでるのよ」 広い工場内を見渡すほむら 各所に設置されたドラム缶 ペンキで壁に描かれたバツ印の的 全て孤門が彼女に頼まれて用意した物だった 孤門「でもまさか訓練の教官役になれってのはなぁ……」 少し恥ずかしそうに頭を掻く孤門 ほむら「あなた元の世界では特殊部隊に入っていたんでしょう?」 ほむら「その時に受けた射撃訓練だけでも私に……」 孤門「それは構わないんだけどさ…」 孤門(あの突貫工事みたいな訓練を……ねぇ) 我夢「話は終わった?」スタスタ ほむら「!…我夢」 工場の奥から、ディバイトランチャーを腕から提げた我夢が現れる 孤門「お疲れ様。どうだった?」 我夢「銃口部分が少し痛んでいたから少し手を加えました」 我夢「はい、ほむらちゃん」ガチャ ほむら「ありがとう…助かったわ」 修理が完了したディバイトランチャーがほむらの手に戻る 我夢「……だけど大丈夫なの?撃つ度に魔力を消費する武器で訓練なんて…」 ほむら「その点については色々考えてあるわ」 盾に武器を収納し、再び髪を流す ほむら「奴らが来るのにあと五日と考えて……ランチャーを使った訓練は前日にしましょう」 ほむら「その日の訓練終了と同時にグリーフシードを使用する」 我夢「そして次の日に万全の態勢で決戦に…ってわけだね」 ほむら「残り少ないグリーフシードを皆で分ける事を考えたらこうなるわね」 孤門「まぁ、とにかく…教えるとなったら全力でやるからね」 ほむら「ええ」 我夢「…とりあえず今日は帰ろう?」 …………………………………… …………………………………… ミライ「あれ?」 まどか「あ…」 マミ「あら、みんな…」 杏子「よう!お前らも戻ってきたところか」 さやか「なーんだみんな出掛けてたんだ!」 郷「改めて見ると凄い人数だな」 北斗「この家に入りきるのか…?」 ほむら「悪いわね、マミ」 孤門「この人数に加えて……あと五人?」 我夢「マミさんにはお世話になりっぱなしだなぁ…」 マミの家であるマンションの一室 その前で総勢十名の者達が鉢合わせになる マミ「ロクに使ってない部屋もありますから大丈夫ですよ……さぁ、入りましょう?」 ~マミホーム~ 杏子「ただいま~っと!」 マミ「はい、お帰りなさい」 嬉しそうに靴を脱ぎ散らかし、早足で上がり込む杏子 その後ろ姿に、マミが少し微笑みながら挨拶を返す まどか「お邪魔しまーす…」 さやか「うわぁ…やっぱ広いなぁ」 ほむら「……」 少し躊躇いながら、続いて上がり込む少女達 その手には着替えの服や必要な物が詰まった鞄を提げていた ハヤタ「お帰り」 ダン「帰って来たか」 ドタドタドタ… アスカ「お帰り!待ちくたびれたぞー!」 リビングの奥から駆けて来たアスカが、 少し険しい表情で出迎える 郷「なんだ?やけに騒がしいが…」 マミ「何かあったんですか…?」 ダイゴ「えぇっと…ね」 ほむら「…?」 ダイゴが苦笑いを浮かべ、アスカに視線を移す アスカ「いや~ダイゴさん達が晩飯作ってくれたのにさ、ムサシが皆が戻って来るまで待とうってさぁ…」 ムサシ「だってその方が良いじゃないですか!皆で食べたほうが…」 アスカ「とにかく俺はすっげぇ腹減ったの!!」 広いリビングにアスカの大声が響く 北斗「そんなことか……」 ダン「こいつはさっきからこればっかりでな…」 ほむら「何かと思えば…」 呆れた様子で額に手を当て、ため息を吐くほむら まどか「……あははっ…!」 マミ「……ぷっ…」 杏子「…っはははは!!なんだそりゃ!」 さやか「ぶ、ぶれないぁ…!この人…!」 予想外の答えに、まどかとマミが思わず吹き出し、 杏子とさやかが腹を抱えて笑いだす 郷「…やれやれ」 ほむら「…………ふふっ」 つられるように可笑しさが込み上げ、 呆れ気味だったほむらの口から小さく笑みがこぼれる ハヤタ(おや…) まどか「あっ!」 アスカ「お!やっと笑ったじゃん!」 ほむら「え…?」 驚いた一同が、普段見せる事の無いほむらの笑顔に釘付けになる ムサシ「やっぱり人間、笑顔が一番だよ!」 杏子「そういやアンタの笑ったとこ見たの初めてかもな」 ダン(強い者ほど笑顔は優しいものだ…) ほむら「ちょ…ちょっと…やめなさい……」 杏子にまじまじと顔を見つめられ、 ほむらは羞恥に頬を少し赤く染める さやか「仏頂面ばっかりだからね~……結構イケてるのにもったいない…」 まどか「……そうだ!」 ゴソゴソ マミ「鹿目さん…?」 まどか「えー……っと」ゴソゴソ 唐突に声を上げ、 自分の手に提げられた鞄の中を楽しそうに漁り始める まどか「あった!……はいっ、ほむらちゃん!」 ほむら「…あ……これって?」 ピンク色のリボンを取り出し、ほむらに突き出すまどか さやか「お揃いじゃん!」 まどか「うん、わたしの予備……ほむらちゃんに似合うかなって…」 ダイゴ「この年頃の子は少しくらいお洒落してもいいんじゃないかな?」 杏子「アタシが結んでやるよ!ほらほらこーして……」 ほむら「あ!ちょ、ちょっと!?」 シュルッ ほむら「………」 孤門「………」 ハヤタ「……まぁ、何と言うか…」 マミ「その……」 頭に巻いたピンクのリボンを巻いて、 まどかと同じ髪型にしたほむらが少し照れ臭そうに視線を泳がせる その姿を見て、気まずそうに目を逸らす一同 さやか「ん~…」 アスカ「あれ?あんまり似合ってないんじゃねぇの?」 杏子「まぁ…ちょっとな」 ほむら「!!」ピクッ まどか「ひ、酷いよみんな!あんまりだよ!!」 ムサシ「あはは…」 ほむら「………」シュルッ まどか「ほ、ほむらちゃん…」 頭のリボンを解くほむら 二つにまとめ上げられた髪が下に垂れる まどか「な、何かごめんね…」 ほむら「いえ……ありがとう」 まどか「……」 二人の間に気まずい空気が流れる 孤門「ま…まぁ明日から訓練だからね!」 孤門「せっかくもらったリボンなんだ!ボロボロになっちゃ不味いだろ?」 まどか「そ、そっか…そうだよね…!」 ほむら「え…ええ…」 孤門が焦った様子でその場を取り繕う ハヤタ「…とにかく明日から忙しくなりそうだ」 ダン「さやか、杏子……明日、お前達は俺と特訓だからな」 さやか・杏子「「え?」」 まどか「マミさん……あの…」 マミ「大丈夫、解ってるわよ」 まどか「!……よろしくお願いします!!」 我夢「じゃあムサシさん…明日は当日の作戦について…」 ムサシ「あ、はい!奴らの行動パターンなんかもある程度は……」 アスカ「何でもいいから早く食おうぜ!」 …………………………………… …………………………………… ~翌日~ ダン「この辺でいいだろう…もう降りていいぞ」 ワルプルギスの夜、そしてUキラーザウルスの暴れ回った爪痕が特に酷く残っている地域 そこにジープを止めて下車するダン それに続き、後部座席の二人が明らかに不満そうな顔で下車する ガチャッ 杏子「なんだよこんなとこ連れて来て…」 さやか「特訓って言ってもたった数日で……」 ダン「まずは変身。話はそれからだ」 さやか「…?」シューン 杏子「はいよっと」シューン ダンの言葉通りに変身する二人 杏子「ほれ!変身したぜ!」 さやか「それで?これからどうやって?」 ダン「うむ……ではこれを着て貰おうか」ガチャ ジープのトランクを開けるダン さやか「?…それは…」 …………………………………… …………………………………… 杏子(ギア)「……おい、何だこりゃ」 さやか(ギア)「矯正ギプスみたいなヤツ?ちょっと重いけど…」 トランクから取り出された鎧を着込む二人 その鎧は数本のパイプで胸と背中の鉄板を固定し、 黒いバイザーが付いた兜が付属した歪な物だった 杏子(ギア)「……勿体つけずに教えろよ!こんなんで強く――――」 ダン「ふんっ!」バッ ガシュン! 杏子(ギア)「なっ!?」 さやか(ギア)「重っ…!!」 ダン「それは訓練用アーマー……テクターギアだ」 ダンがウルトラ念力で鎧の力を発動させると同時にパイプがオレンジ色に発光、 胸と背中の鉄板が二人の身体を圧迫し、急激に重量が増加する 杏子(ギア)「ふざっ……けんな…!」 ググッ アーマーの重さに耐え、体を持ち上げる杏子 杏子(ギア)「おいっ!これ外せよーっ!!」 さやか(ギア)「えーっと…動けないんですけど…」 ダン「甘えるな!!」 さやか(ギア)「!?」ビクッ ダン「いくらお前達が魔法少女の力を自在に使えると言っても…!」 ダン「敵はこちらのデータを解析して強化された超獣なんだぞ!!」 ダン「今のお前たちが戦っても…ただ殺されに行くようなものだ!!」 落ち着いた口調で話していたダンが突然声を荒げ、 二人に檄を飛ばす 杏子(ギア)「なんだよ……」 杏子(ギア)「鍛えよ!勝つために!………ってか?」 ダン「そういうことだ……まずはそれを装備したままで自在に動けるようになれ!」 ダン「…安心しろ。風呂の時くらいはアーマーを脱ぐ事を許可する」 さやか(ギア)「そうは言っても……これじゃ普通に動くだけで疲れそうだなぁ…」 ガチャ バタン ダン「嫌でも全力で走れるようになるしかないぞ……!!」 さやか(ギア)「え?」 ダンがジープに乗り込み、 エンジンを掛け、二人に向かって走り出す ブゥゥウウン…… 杏子(ギア)「おいおいおい…!!冗談だろ!?」 さやか(ギア)「うそぉ…!?」 ダン「この訓練が終われば最終日に俺と組み手だ!乗り切って見せろ!!」 ブゥゥウウン!! さやか(ギア)「目がマジだよ!?こ、殺されるー!!!」 杏子(ギア)「くっそぉお!!超スパルタ特訓ってワケか!走れ走れ!!」 ガチャガチャガチャ… アーマーが擦れる金属音を鳴らしながら、二人は全力で走りだした …………………………………… …………………………………… ~廃工場~ タッタッタッ… バァン! ガキンッ! ほむら「っ……外した!」 孤門「速く撃つ事を考えないで!まずはしっかり狙って!!」 工場内の決められたルートを走り、各所に設置された的を狙うほむら 孤門は資材の上で仁王立ちになり、その姿に声を飛ばす ほむら「次……!」チャキ バンッ! 孤門「肩上がり過ぎ!飛んだら着地と同時に重心をもう少し下げて!!」 ほむら「わ、分かって………あっ!?」 ガシャーン! 孤門「あ……」 重心を下げ過ぎた事により、下半身のバランスが取れず その場に豪快に転がるほむら 孤門「大丈夫?…ほら」 ほむら「………御免なさい」 孤門がほむらの服に付いた土埃を払い、 手を差し出して起き上がらせる 孤門「難しいもんだろ?動き回りながら撃つってのはさ」 ほむら「ええ……でも時間停止が出来ない以上、立ち止まって撃つのは難しいわね」 その場に座り込む二人 ほむら「それに魔法で銃を撃った時の反動はある程度軽減できるけど…」 孤門「微妙なブレを完全に消すことは出来ない…かな」 ほむら「……時間停止に頼りきった戦い方のツケね」 ほむらが肩を落とし、左手の盾を見つめる 孤門「まぁこればっかりは特訓あるのみだね…」 …………………………………… …………………………………… まどか「………」 マミ「そう…落ち着いて呼吸を整えて…」 荒廃した街で変身し、お互いに向かい合って目を瞑る二人 まどかは弓、マミはマスケット銃を持ち、魔力を集中させる マミ「いくわよ………それっ!!」 シュン! マミの魔力を帯びた黄色いリボンがマスケット銃を包み、 巨大な大砲へと変化する まどか「………はっ!!」 シュゥン… マミ「…!」 まどか「あ…あれ…?」 まどかがマミに続いて魔力を弓に纏わせる しかしその魔力は小さく弱い光を放ち、音を立てて拡散してしまう まどか「駄目だ……マミさんごめんなさい…」 小さく頭を下げるまどか マミ「いえ…初めてでここまで出来るなんて正直驚かされたわ」 まどか「でも…」 タッタッタッ… ハヤタ「おぉ…ここにいたのかマミ」 まどか「ハヤタさん!」 マミ「?………あっ!当日の作戦についてですか?」 ハヤタ「そうだ。済まないが一度戻って来てくれないか?」 マミ「分かりました………鹿目さん!」シューン ハヤタの言葉に返事をするや否や、 変身を解除し、まどかに向き直るマミ まどか「はい?」 マミ「大事なのはまず魔力のコントロールに慣れる事よ……頑張って!」 まどか「!…分かりました!頑張りますっ!」 ハヤタ「無理をしすぎないようにね……それじゃ行こうか」 タッタッタッ… まどか(よーし………)グッ …………………………………… …………………………………… ヤプール「どうだ……準備は進んでいるのか?」 インキュベーター「回収したデータを全インキュベーターに行き渡るにはもう少し時間が掛りそうだね」 ヤプール「そうか……」 インキュベーター「…彼らを仕留める事ができれば…」 インキュベーター「僕達の肉体を改造するために使った分のエネルギーは完全に補える」 ヤプール「……」ニヤリ インキュベーター「そしたら直ぐに計画の実行といこう!」 ヤプール「ああ…そうだな」 ヤプール「インキュベーター…よく聞け」 インキュベーター「?…なんだい?」 ヤプール「他者を支配し、管理する為に必要な物は『力』だ」 ヤプール「力を持つ者だけが、支配する権利を持つのだ…」 インキュベーター「当たり前じゃないか!今更何を言っているんだい!」 インキュベーター「支配する為に一番効率的な方法は力で抑えつけること!君達のデータから学んだことだろう?」 ヤプール「ふふふ……その通りだ…」 ヤプール「強き者が弱き存在を滅ぼす。それこそが宇宙の真理だ……忘れるなよ…」 ヤプール「ふ…くくく…」 …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… ~決戦前日~ ガキィン! 杏子(ギア)「おっ…!?」 さやか(ギア)「へへ~……やっと…止めたよ…!」 ダン「!……」 杏子の強烈な一撃をさやかが剣を前に突き出してで完全に受け止める 鍔迫り合いの形へと持ち込み、お互いに睨み合う 杏子(ギア)「やるじゃねーか……昨日まではコレでぶっ飛ばされてたのに……さっ!!」バッ ドゴッ! さやか(ギア)「おぶぇっ!?」 杏子の至近距離からの前蹴りがテクターギアの胸プレートに直撃、 さやかはその衝撃に後ずさる さやか(ギア)「だ、ダンさん!今のアリなの!?反則じゃん!」ザザッ ダン「いや、むしろ効果的な方法だ」 杏子(ギア)「そーそー!それによそ見してる暇はないぜ!?」 さやか(ギア)「っ…!?」 特訓を開始して早三日 テクターギアを装備した二人の動きは、すでに通常時の動きを取り戻していた その激しい特訓の成果は二人の驚異的な戦闘技術の向上、 そして所々に傷をつけたテクターギアが物語っていた 杏子(ギア)「いくぜっ!」ダッ さやか(ギア)「!……正面から…!!」 正面から突進する杏子がさやかに向かって槍を長く持ち、一直線に突き出す さやか(ギア)(落ち着いて……目を逸らさずに動きを見て……)チャキッ さやか(ギア)「ていっ!!」 ドギャッ! 杏子(ギア)「なにっ……!?」 槍はさやかの縦に構えた剣に受け流され、プレートに命中する事はなかった 杏子(ギア)「……なんてな!もう一手だ!」 ジャキン! さやか(ギア)「!!」 口の端から八重歯を覗かせ、不敵に笑う杏子 次の瞬間、受け流されたはずの槍が多節棍の如く変形し、重々しい鎖がさやかに襲い掛かる バキィン さやか(ギア)「くっ…あ!」 杏子(ギア)「得物を奪った!コイツで終わりだなぁっ!!」 鎖はさやかの剣を弾き飛ばし、そのまま得物を狙う蛇の様にさやかの周囲を取り囲む 杏子(ギア)「またアタシの勝ちだな!そぉらぁっ!!」グンッ さやか(ギア)「いや…違うね!!」シュンッ 杏子(ギア)「!?」 バキャッ! 杏子(ギア)「げっ!!」 杏子が鎖でさやかを捕らえようとするまでの一瞬、 その間にさやかは新たに剣を生成 そのまま逆手に持った剣を一気に振り上げ、鎖を断ち切る 杏子(ギア)「うっ……!」 予想外の反撃に勢い余ってよろめく杏子 さやか(ギア)「もらったぁーっ!!」 杏子(ギア)「!!!」 さやかが逆手から順手に剣を持ち直し、 杏子の黒いバイザーの着いた兜へ一直線に振り下ろす ダン「…!」 杏子(ギア)「ッ…!!」 シュンッ さやか(ギア)「あ…ありゃっ!!?」 さやか(ギア)「え…!?な、なに…!?」キョロキョロ さやかの振り下ろした剣は完全に杏子の姿を捉えていたはずだった しかし剣の一撃が命中した瞬間杏子の姿は煙の様に消え、 さやかはその姿を見失う ダン「…あそこだ」 さやか(ギア)「…あ!いつの間に!」 ダンが示した方向へ咄嗟に視線を向ける 杏子(ギア)「…………」 そこには信じられない、という表情で自身の手を見つめ 呆然と立ち尽くす杏子の姿があった ダン「…ここまでにしよう。一旦休憩だ」 さやか(ギア)「…ちぇ~……引き分けかぁ…」 ダンの言葉を聞き、分かりやすいくらいに不満を表情を表すさやか ダン「そう不満そうな顔をするな…」 ダン「それより杏子…今のは一体…?」 さやか(ギア)「そうだよ!あんな魔法隠し持ってるなんて!ズルイ!」 杏子(ギア)「……アタシ……アタシは……」 ドシャッ… ダン「!?」 さやか(ギア)「ちょ、ちょっとぉ!?」 …………………………………… …………………………………… 杏子(ギア)「いやー食った食った!ごちそうさん!」ポンポン 訓練の終了から一時間後 そこには気絶から目覚め、 マミや北斗、ダイゴ達が作った弁当を満足気に平らげた杏子の姿があった さやか(ギア)「起きた途端にこれだもんなぁ…」 ダン「そろそろ話してくれないか?さっきの……」 呆れた様子で杏子を見つめ、疑問を投げかける二人 杏子(ギア)「あー……まぁ」 杏子(ギア)「あの魔法…元々アタシが使ってた魔法なんだよ」 さやか(ギア)「元々?」 ダン「…今は使えないということか?」 杏子(ギア)「そう!正解だよ!」 杏子(ギア)「さっき気絶したのは…あれのせいでヤなこと思い出しちゃってさ…」 さやか(ギア)「…?」 ダン「……そこは聞かないでおいたほうがいいのか?」 杏子(ギア)「はは……そっちの方が有り難いね」 遠い目をしていた杏子が二人の顔を見て、精一杯おどけて見せる 杏子(ギア)「とにかくあの幻覚の魔法は…アタシが無意識の内に封印しちゃったみたいでさ」 杏子(ギア)「もう自在に使うことなんて…出来ないと思うな……」 さやか(ギア)「……そっか」 ダン「…」 杏子(ギア)「…あーあ!まったく不便な能力だぜ!」スッ 杏子(ギア)「あんた達ウルトラマンみたいに無敵の力がアタシ達にもありゃあいいんだけどなー」 さやか(ギア)「……」 気まずい空気に耐えかねた杏子が伸びをしながら立ち上がり、 ダンへ視線を移す ダン「……いや…俺達ウルトラマンも決して無敵というわけでもない」 杏子(ギア)「え…?」 さやか(ギア)「それって?」 ダンの言葉に反応を示す ダン「俺達もかつて凶悪な怪獣や邪悪な侵略者に敗れ、力尽きたこともあった」 杏子(ギア)「マジかよ!」 さやか(ギア)「うっそぉ…」 ダンの話に目を丸くして食いつく二人 ダン「だがその度に…幾度となく救われた」 さやか(ギア)「ど、どういうこと?」 杏子(ギア)「……」 ダン「信じられる仲間にな………俺達は一人ではなかった」スッ 杏子(ギア)「!!……」 さやか(ギア)「信じられる……仲間…」 話が終わると同時に、 杏子の様に伸びをして立ち上がるダン ダン「さて、昔話は終わりだ……いよいよ最後は俺との組み手だぞ!準備はいいか!?」 杏子(ギア)「!…よし!やってやるよ!」 さやか(ギア)「一発くらい当ててやるー!」 合図と同時に武器を構えた二人が、ダンへ飛びかかる …………………………………… …………………………………… ~廃工場~ ドガガガッ!! ぶつかり合う技と技 強烈な閃光 辺りに漂う硝煙が晴れた時、そこに立っていたのは 巨大な大砲の上に立ったマミ そして左腕を一直線にマミに向け、残心の構えを取るまどか しかしその手には弓は握られていなかった まどか「ふぅ……完成…かな?」シューン マミ「見事ね……教えた甲斐があったわ」シューン 変身を解除し、息を吐く二人 まどか「今日もありがとうございました!……マミさんも忙しいのに練習に付き合ってもらっちゃって…」 マミ「こちらこそ!良い鍛練になったわ…ありがとう」 頭を下げるまどかに優しく返事をする マミ「可愛い後輩の頼みだもの…ね!」 まどか「!……えへへ」 頬を掻き、照れ臭そうに顔を赤らめ、 まどかが笑う マミ「それより……はいっ、グリーフシード」 まどか「あ!ありがとうございます」 マミ「今日まででかなりソウルジェムに穢れが溜まったでしょう?」 マミ「それに加えてさっきの魔法……かなり威力上げて撃ったんじゃないかしら?」 まどか「はい…だいたい三分の一くらいの威力で」 マミ「!! さ、三分の一!?」 マミ「私……結構本気で撃ったんだけどなぁ…」 まどか「えっ!?…えっ、あっあ…!ちが、違うんです!」 がっくりと肩を落とすマミ その姿を見て、自身の失言に気付いたまどかが弁解する まどか「わ、わたしもここまで威力上げて撃ったのは初めてで……!」 まどか「きっと本気であの魔法使ったら一発でソウルジェムが駄目になっちゃうから…そ、その…えっと…!」 マミ「…………ふふっ」 ポンッ まどか「あ……」 マミ「優しいのね…鹿目さん」 まどか「あ、あの……」 小さく微笑みかけた後、 マミがまどかの頭にそっと手を乗せ、優しく撫でる マミ「私との特訓で強くなってくれたんですもの。こんなに嬉しい事はないわ」 まどか「…うぅ」 タッタッタッ… 孤門「…あ」 ほむら「あら、あなた達も来てたのね」 まどか「あっ!ほむらちゃんだ!」 ほむら「二人ともお疲れ様。どう?特訓は」 工場の奥から、特訓を終えて土埃に塗れた二人が現れる まどか「ばっちり!」 ほむら「!…そう……マミの教えの賜物ね」 孤門「それはよかった……こっちも今終わったところだよ」 マミ「………………」 孤門「……マミさん?」 ぽかんと口を開け、目を丸くして呆然と立ち尽くすマミ まどか「マミさん?どうしたんですか?」 ほむら「マミ…?」 妙な様子を気に掛けた二人がマミの顔を覗きこむ マミ「………暁美さんが『お疲れ様』って言うなんて………」 ほむら「………は?」 予想外の答えに、 ほむらは思わず声を漏らし、小首を傾げる 孤門「そ、そんなことか……」 まどか「び…びっくりしたぁ~……」 何事も無い事が分かり、胸を撫で下ろす二人 ほむら「まったく……驚かさないで」 マミ「だ、だって……」 孤門「まぁ、そんな言葉を掛けられるほど皆に対して好意的になってきたんじゃない?」 ほむら「なっ!?」 まどか「あっ!そっかぁ!」 マミ「へぇ~…なるほど」 意味ありげな笑みを浮かべた二人に見つめられ、 ほむらは頬を赤く染め、焦った様子で視線を泳がす ほむら「わ、私はそんな―――」 マミ「そういえば……暁美さんっていつの間にか皆のこと名前で呼ぶようになったわね」 孤門「あ、ホントだ」 ほむら「そ、それは!いちいち戦闘中にフルネームで呼び合うのは時間が掛るからであって…!!」ビクッ マミ「鹿目さん?どう思う?」 まどか「うっそだぁ~!」 ほむら「~~~~~~ッ!知らないっ!!」ダッ まどか「あ」 タッタッタッ… まどか「行っちゃった…」 畳み掛けられる様に述べられた言葉に、 ほむらは耳まで顔を真っ赤に染めて走り去る マミ「ほら!鹿目さん、早く追い掛けてあげないと!」 孤門「どんどん離されちゃうよ?」 まどか「はい!…それじゃ、お先に失礼します!」 タッタッタッ… まどかがどんどん小さくなるほむらの後ろ姿を目指し、駆けだす 孤門「……それじゃマミさん、僕達も帰ろうか」 マミ「……あの、帰りながらでもいいんで聞いてもらえますか?」 孤門「!……なに?」 先程まで柔和な表情をしていた孤門 しかし、深刻そうな声音で話すマミを見てすぐに険しい表情へ変わる マミ「明日の作戦について……」 孤門「…確かチームを三つに分けるんだっけ?」 孤門「ほむらの特訓に付き合ってたからあんまり聞けなかったけど…」 マミ「はい…まず鹿目さんは…」 二人が話し合いながら、ゆっくりと工場の出口へ歩きだす …………………………………… …………………………………… ~マミホーム~ ハヤタ「……うむ、やはり孤門とムサシは別々の班に分けるべきだな」 ムサシ「はい、僕達はある程度奴らの攻撃方法を把握していますから」 我夢「なるほど…」 円形のテーブルを囲む男達が三枚の紙にそれぞれの名を書き加える その顔はまさに真剣そのものだった 北斗「しかしそうなるとこっちの班はどうなる?人数が一番少なくなりそうだが…」 ダン「なら杏子とさやかをそこに入れる」カキカキ 名前が二つしか書き込まれていない紙に、ダンが杏子とさやかの名を書き加える ダン「こいつらは二人揃って真価を発揮する……相当腕を上げたぞ。俺が保障しよう」 ミライ「セブン兄さんのお墨付き……!」ゴクリ ダンの自身に満ちた言葉にミライが思わず息を呑む 郷「ではここの班は……ほむらとマミか?」 孤門「そうなりますね。それからここに三人加える……っと」カキカキ 完全に名前で埋まる二枚の紙 ムサシ「…あれ?じゃあこれは……」 最後に残った『鹿目まどか』と書かれた紙を手に取り 首を傾げるムサシ ハヤタ「…我々だな」カキカキ アスカ「うおお……五人全員かよ」 まどかの名前の下に次々に書き連ねていくハヤタ ダイゴ「…少し戦力が偏ってませんか?」 我夢「い、いえ。これがベストだと思います」 ハヤタ「うむ…奴らはどういうわけかまどかを我々と同じイレギュラー要素として認識しているようだ」 アスカ「あー!エネルギー取れなくてどうとか言ってたもんなぁ」パシン 納得の表情で膝を手で打つアスカ 北斗「まどかの存在は奴等にとって俺達と同じくらい面倒ということか…」 郷「………こんなところか?」 孤門「決まりですね……」グッ 紙に全員の名前を書き終え、 孤門が腕を伸ばし、体を反らせて伸びをする アスカ「……あれ?そういえばあいつらは?」 ダイゴ「みんなで風呂に入るんだってさ」 …………………………………… …………………………………… ~脱衣所~ ほむら「な、なにも皆で入ること無いんじゃ……!?」 杏子「まーだ言ってやんの……馬鹿みたいな人数なんだから纏めて入っちまった方がいいだろ?」 マミ「ちょっと窮屈だけどね…」 次々に服を脱ぎ、 床に置かれた大きいバスケットの中に放りこんでいく まどか「なんかわたしこういうの初めてだなぁ…」 さやか「杏子、アンタ前までその日暮らしだったんでしょ?風呂とかロクに入ってなかったんじゃない?」 白い歯を見せ、悪戯な笑みを浮かべるさやか 杏子「ば、馬鹿にすんなぁ!銭湯に忍び込んだりしてだな…」 まどか「ちょ、ちょっと杏子ちゃんそんな暴れて…!」 ほむら「そんな胸を張って言うこと…?」 マミ「いいじゃない!佐倉さんの家はもうここなんだから!」 チャリン… さやか「ん?まどか……それ」 まどか「?…どうしたのさやかちゃん?」 さやかがまどかの胸元に掛けられたペンダントに気付き、 疑問の声を漏らす まどか「あ!これ?」チャラ ペンダントを首から外し、四人に見せる マミ「あら、不思議な形の………石?」 杏子「なんか地味だな。それ」 さやか「それまだ着けてたんだ!………でも何か色変わってない?」 まどか「……ちょっと無くして戻ってきた時には何故かね」 さやか「ふーん…」 ほむら「なぜそんな物を?」 年頃の娘には到底似合わない、灰色の地味な石ころ 妙に不釣り合いな組み合わせにほむらは疑問を感じる まどか「うん…なんだか持ってるとほっとするっていうか……」 杏子「お守りみたいなもんか」 マミ「それより…早く入らないと風邪引いちゃうわよ?」 さやか「みんな裸だしね」 まどか「失礼しまーす……」 ガララッ …………………………………… …………………………………… ~その夜~ まどか「ほむらちゃん電気消すよー?」 ほむら「ええ、お願い」 カチッ まどか「よいしょ…っと」モゾモゾ ほむら「……」 壁に備え付けられたスイッチを押し、消灯 二つ並べられた布団の片方に潜り込むまどか ほむら「………ふふ」 まどか「?…ほむらちゃん、どうしたの?」 布団の中で仰向けになり、天井を見上げ、 ほむらがくすりと笑う ほむら「なんだか……不思議ね」 まどか「え?何が?」 横向きに寝返りを打ち、すぐ隣のまどかの顔を見つめる ほむら「明日が決戦だっていうのに……」 ほむら「私、こんな時間がずっと続けばいいなって思ってる……」 まどか「!……」 その言葉に気付き、まどかも同じようにほむらの顔を見つめる まどか「えへへ…それ、わたしも解かるよ」 ほむら「そう?……ふふっ」 お互いの顔を見つめ、笑い合う ほむら「もしかしたら…あした負けて……死んじゃうかもしれないのにね…」 まどか「!!」 ほむらの笑顔がその言葉を発した途端に悲しい ほむら「でも……今は…」 ほむら「今だけは……」 スッ ほむら「!……あ……」 まどか「………」 ほむら「ま、まどか…?」 ほむらの布団の中に入り込むまどかの右手 それがほむらの左手の上に優しく添えられる まどか「続くよ……続かせようよ…!」 ほむら「え……」 まどかがほむらに微笑み掛ける まどか「明日を……みんなで乗り切って……!」 まどか「それでこれからも……こんな時間過ごそうよ……」 まどか「みんなで……一緒に!」 ほむら「!!………」 グッ ほむら「約束だよ……まどか」 まどか「うん……約束!」 お互いの手を強く握り締め、 明日の為に二人はゆっくりと目を閉じた …………………………………… …………………………………… さやか「杏子……もう寝た?」モゾモゾ 杏子「……寝たよ」 さやか「起きてんじゃんか!」 杏子「うるせーなー……早く寝ろよ!」 杏子「せっかくマミが部屋と布団用意してくれたのに……」 寝返りを打ち、杏子を見つめるさやか しかし杏子はさやかに背を向けたまま小さく呟くのみだった さやか「だってさ……明日もし負けたらさ……その……」 杏子「……死ぬかも…ってか?」 さやか「……ん」コクリ 小さく声を漏らし、頷くさやか さやか「だからちょっと気になってたこと聞きたくてさ………ダメ?」 杏子「………はぁ~」 豪快にため息を吐く杏子 杏子「なっさけねぇなぁ………戦う前から負ける心配かよ…」 さやか「う、うっさいな……」 ゴロン 杏子「いいぜ……なに聞きたいかは知らねーけどさ」 さやか「!……ありがと」 寝返りを打ち、さやかと見つめ合う杏子 杏子「………で?なんだよ?」 さやか「うん…えっとさ」 さやか「あたしよく考えたら……」 さやか「アンタがなんであたしを助けに来てくれたのか……まだ聞いてなかった」 杏子「!……それか…」 さやか「うん……何か急に気になってさ」 杏子「……はぁ」 再び小さくため息を吐く 杏子「…………なんかさ、魔法少女になりたてで…意気込んでるアンタ見てたらさ」 杏子「昔のアタシの姿と妙にダブって見えたんだよ」 さやか「昔の……?」 杏子「ああ……」 杏子「………………」スゥ 決意を固めるかのように小さく深呼吸をする 杏子「アタシの親父はさー………教会で神父やっててさ」 さやか「?」 杏子「もうほんっと超が付くほどのお人好しでさ」 杏子「新聞の悪いニュース見るだけで涙流すような人だったんだよ」 さやか「へぇ~……すごいね」 さやかが小さく驚きの声を上げる 杏子「……でもある時…教義に無い事まで説教するようになっちまった」 さやか「…!」 杏子「当然信者の足はパッタリ途絶えた……アタシの家族はその日の食事も満足に食えない日もあった」 さやか「………」 口を開き、杏子の話に聞き入る 杏子「親父は何も間違ったことは言っちゃいなかった……」 杏子「けど誰も親父の話には耳を貸そうとしなかった」 杏子「だから願ったのさ…奇跡をな」 さやか「!…それって…」 杏子「そう…アタシのキュウべえへの願い…」 杏子「皆が親父の話を真剣に聞いてくれますようにってな」 さやか「……」 杏子「そしたら次の日から信者がポンポン増えてさぁ!アタシも意気込んだよ……」 杏子「アタシの魔法……親父の説教…表と裏から世の中を良くしていくんだってな」 杏子「……でも」 嬉々とした表情で話していた杏子 しかし表情は突如として暗いものになる 杏子「ある時カラクリがバレた」 さやか「!」 杏子「親父はブチ切れて……そりゃあもう殺すかって勢いで殴られたよ」 杏子「その後親父は酒に溺れて……壊れた」 杏子「一家を道連れに無理心中……さ」 さやか「!!…うそ……」 杏子「アタシの願いがみんなを壊した……笑顔を奪った…!!」ギリッ さやか「……」 過去の出来事に、 きつく歯を食いしばる杏子 杏子「奇跡ってのは……願った分だけ絶望を撒き散らしちまうのさ」 杏子「だからアタシは誓った……もう人の為に魔法を使うことは止めようってな」 さやか「!…だからアンタ……あの幻覚の魔法……」 杏子「…まぁな」ゴロン 再び寝返りを打ち、さやかに背を向ける杏子 杏子「でも………」 さやか「?」 杏子「頑なに誰かの為に……とか言ってるアンタやマミ……」 杏子「それに……一銭の得にもなりゃしないのに誰かの為に戦い続けるアイツら……」 さやか「別の世界の人とかもいるのにね」 杏子「ああ………なんかそれ見てたらさ…」 杏子「もう一度……誰かの為にやってみようかなって思ってさ……」 さやか「……」 杏子「……………とまぁこんな感じだ!」 杏子「わ…笑っちまうだろ…?なんだかんだ言ってアタシも……」 話を終え、明るい口調に戻る杏子 だがその声は明らかに震え、涙声だった さやか「……」 ガバッ 杏子「っ……!?」 杏子「さやか……?」 さやかが杏子の背中から腹の辺りへ両手を回し、 優しく抱きしめる さやか「ずっと……独りぼっちだったんだね」 杏子「………」 杏子の耳元で小さく呟く さやか「へへ………でもこれからは…」 ギュッ さやか「…あたし達が一緒にいてやるよっ!」 杏子「!!……………」 杏子を抱きしめる手を更に強める 杏子「………」グスッ さやか「お!?おぉ!!もしかして泣いてんの!?」 ギュゥウ… 急におどけた口調になり、杏子を更に力強く抱きしめるさやか 杏子「!! な、泣いてねぇよっ!もう早く寝ろ!」バッ さやか「はいはい~………っと」 さやかを振り払い、布団の中に潜り込む 杏子(………ありがとな) …………………………………… …………………………………… マミ「……ふぅ」 月明かりの射す、静かな時間の中 マミはベランダに出て夜風に当たっていた ガララッ ダイゴ「眠れないのかい?」 マミ「!……ダイゴさん」 マミが振り向くと、そこには窓にもたれ掛かって立つダイゴの姿があった ダイゴ「まぁ……凄い事になってるからね」 部屋の中を振り返り、小さく笑うダイゴ 視線の先の部屋の中は、ダイゴを除いた九人の男達が雑魚寝状態でいびきをかいていた マミ「い、いえ!皆さん私の寝るスペースは確保してくれていますし……」 ダイゴ「?……じゃあどうして?」 マミ「……なんだかいろいろ心に引っ掛かってて」 ダイゴ「……聞いていいかな?」 手すりに手を掛け、マミの横に並ぶダイゴ マミ「はい……あの、鹿目さんとの特訓で…才能の差ってやつをちょっと感じて」 ダイゴ「才能?……魔法少女の才能って……たしか」 マミ「ち、違うんです……何というか…上手く説明できないんですけど」 マミ「もっと根源的なものというか……」 ダイゴ「……それで?」 マミ「……私は今まで彼女達より長く魔法少女をやってきました」 ダイゴ「確かに戦闘経験には長けてるだろうね」 頷き、マミの言葉に同意する マミ「でも…」 ダイゴ「?」 マミ「私……多分その先輩って立場に…正直言って自惚れてました」 ダイゴ「……」 視線を逸らし、星空を見上げながら話し続けるマミ マミ「だから私、最初にアスカさんと会った時みたいなミスしちゃうし…」 ダイゴ「…うーん」 マミ「なんか……こんな自分が嫌になったというか」 肩を落とし、失意の中俯く ダイゴ「いや……」 ダイゴ「自惚れてもいいと思うよ」 マミ「えっ…?」 ダイゴの返答に驚き、顔を上げる ダイゴ「力に溺れるとね、必ず自分の力の限界を知る時が来る」 マミ「あ……」 数時間前の特訓の風景がマミの頭を過ぎる ダイゴ「でも…それは自分の未熟さを知り、初めて自分の立場を実感できるってことだよ」 マミ「……でも、そのせいで事故でも起きたら…」 少し微笑みながら話し続けるダイゴへ、 不安げな顔をしたマミが言葉を投げ掛ける ダイゴ「うーん…」ボリボリ 考えるように、頭を掻く ダイゴ「先輩になるって言うのはそんな厄介事を引き受けることじゃないかな?」 マミ「!!……」 ガララッ 窓を開き、部屋の中へ向かうダイゴ ダイゴ「まぁ一人が熱くなってミスしそうになれば、逆にもう一人は醒めてくるものさ」 ダイゴ「…だけど彼女達相手じゃ君もなかなか熱くなれないかな?………なんてね」 マミ「ぷっ………あはははは…!」 マミの顔に笑顔が戻る マミ「はぁーあ……」 マミ「………なんだか胸がスッとしました」 ダイゴ「力になれてなによりだよ」 マミ「ダイゴさん達って不思議ですね」 ダイゴ「不思議?どんな風に?」 マミ「んー……」 頬をに指を当て、考え込むマミ マミ「なんだかお父さんみたいで!」 ダイゴ「ははは…それは光栄」 ダイゴ「冷えてきた………そろそろ寝た方が良い」 マミ「はい!……おやすみなさい」 ダイゴ「おやすみ」 タッタッタッ… マミ(………私は私に出来ることをやろう) BACKまどか「…ウルトラマン!」 12 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 14
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ほむまどスレ7より 817 名前:1/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 15 55 56.41 ID 3nW0BXQw0 785 の続き 「それじゃあ二人は部屋の中から勝負を見届けて頂戴。美樹さんがコインを投げて、着地したと同時に勝負開始、いいわね?」 「ええ、いいわ」 「私が勝てば・・・そうね、鹿目さんを泣かせた罰で、リボンに縛り付けたまま色々お仕置きしてあげる。聞きたいこともたくさんあるしね」 見届ける二人を安心させる為に、余裕の笑みを浮べながらウインクしてみせるマミ 「そう・・・かまわないわ。その代わり、私が勝てば・・・この一ヶ月の間は私の指示に従ってもらう。いいかしら?」 「ええ、それでいいわ。じゃあ美樹さん、合図をお願い」 「はい・・・行きます」 (貴女はあの時、私を見逃したつもりかもしれない・・・でもね、それは私にとっても同じことよ) 二日前の夜、まどかを庇って重傷を負ったほむらと対峙した時の事を思い浮かべるマミ (確かにあの時、私は貴女の能力に対応できなかった・・・でもね、地面に残る血の跡に気がつかなかったわけじゃない。 私がその気になれば、後を追って鹿目さんに介抱される前に、追い詰めることも出来たのよ?) 額や背中からにじみ出る血の量やその足取りから、ほむらが平静を装っていても戦闘継続不可能に近いことを、マミは薄々勘付いていた そして、一瞬のうちに被っていた羽根帽子を奪い去り、空き地の入り口まで移動していたほむらだったが、 その足跡をなぞるように、わずかに地面には血痕が続いていた (つまり暁美さん、貴女の能力は瞬間移動(テレポート)じゃない・・・と言うことは、間に障害物があればそれを無視して移動するなんてことは出来ないはずよ) そう、だからこそ、マミは戦いやすい広間ではなく、あえて狭い廊下に陣取ったのだ (これで夕日を背負えれば完璧だったのだけど・・・) 窓から差し込む夕日に照らされながら対峙するマミとほむらは、壁の崩れた大部屋から見守るさやかの手元の銀貨を横目で見やりながら、 油断なくお互いの挙動を探り合っていた ピィイィィィンンン! さやかの親指で真上に弾かれたコインが、乾いた音を立てながら宙に舞い、音を立てて着地する と同時に、マミは更に後方へと軽やかにバックステップすると、瞬時に自らの前方に網状の結界を展開した 「勝負よ暁美さん!」 掛け声と共に右手をかざすと、幾重もの太い黄色のリボンが二人の進路を阻む柵のように、床から天井から現れる そしてマミの目の前からほむらの方向へ、まるで防火シャッターが順番に下りていくように、行く手を阻み、その身体を捕縛せんと顎門の如く襲い掛かる 818 名前:2/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 15 56 37.35 ID 3nW0BXQw0 (更に後ろに下がった!・・・さすがね) あえて狭い通路に陣取ったことと言い、そして開始の合図と同時に後方へ飛び下がった事と言い、ほむらは内心舌を巻いた (一度見ただけで私の能力の本質を見抜くなんて・・・これでは真正面からリボンの結界を破って突っ切るしか手がない・・・) しかし、この状況をほむらは待ち望んでもいた 正面からマミの挑戦を打ち破らない限り、潔く負けを認めさせることは出来ないと思ったからだ (巴さん・・・かつての貴女の指導のお陰で、私はここまで強くなれた・・・勝負!) ほむらは迫り来るリボンをぎりぎりまで引き付けると、時間を停止させて盾から刃渡り二尺八寸の日本刀・兼定を引き抜き、 その刀身に魔力を込めた (勝ったわ・・・!) ほむらの目の前までリボンの牙が迫り、勝利を確信したその瞬間、マミは自分の目を疑った またしてもほむらの姿が忽然と消えたからだ (え・・・?うそ、そんな馬鹿な・・・) 一瞬、後ろに逃げたのかとも思ったが、ほむらの居た場所へと続くリボンの檻は、丁度人が一人通れるほどの大きさだけ、見事に断ち切られ、マミの前まで道が出来ていた (ありえない・・・私のリボンの結界をほんのわずかな時間差も無く、全て同時に切り裂くなんて・・・一体どうやって・・・) 「て、転校生・・・アンタ・・・」 「ほむらちゃん・・・?何がどうなったの?」 見守っていた二人も目の前の事態が理解できず、呆然と立ち尽くす そして二人の声にハッとなったマミが背後を振り向いた先に、ほむらが佇んでいた 「私の勝ちでいいかしら?」 「なっ・・・!待って、私はまだ何も盗られては・・・」 言いかけたマミだったが、ほむらの右手の人差し指に見覚えのある、ピンクのレースがついたブラを見つけ、愕然とする 「な・・・いつの間に・・・私の・・・負けだわ」 服が斬られていないにも関わらず、下着のブラだけ抜き取られていることを確認し、マミは完敗を悟って両膝をついた (さすが巴さん・・・あと5メートル距離を取られていたら、リボンに捕まっていたのは私の方だった・・・) 819 名前:3/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 15 57 32.82 ID 3nW0BXQw0 「約束通り、今月一杯は私の指示に従ってもらう・・・いいかしら」 「・・・・・・」 地面にへなへなと座り込んだマミに向かって歩み寄り、左手を差し出すほむら 「私だって貴女の信念を無視して従わせようだなんて思ってない・・・。そして、貴女のしていたことが分不相応の間違っていた事だとも思わないわ」 マミを見つめて語りかけるほむらの目は、勝ち誇った勝者のそれではなく、どこか優しげであった 「巴マミ、貴女は強くて立派な魔法少女よ。さっきの条件で貴女に勝てる相手なんて、おそらく他には居ない・・・。 私の能力が特殊すぎるだけで、貴女は私よりずっと強いわ」 「そんな気休めの言葉なんていらないわ・・・私の完敗だもの」 「・・・そんな貴女でも、この先見滝原を襲う脅威には、一人では立ち向かえない。それは私だって同じこと・・・。お願いします、力を貸して?巴さん」 真っ赤な夕日に染められながら、座り込んだマミに手を差し伸べるほむらの姿は、二人の秀麗な容姿も手伝って、まるで映画のワンシーンのようだとまどかは思ったが、 ほむらの右手に握られた場違いかつとても中学生のものとは思えない、大きなブラが全てを台無しにしていた 「巴さん・・・?やっぱり私のことなんか、信じてもらえない・・・?」 その事に気がつかず、いつまでも返事が無いマミの様子にわずかに不安の色を浮べるほむら 「・・・暁美さん。貴女の心遣いは嬉しいのだけれど・・・とりあえず、それ・・・返してもらえないかしら・・・」 マミとほむらの勝負の行方を呆然と見守っていたまどかが、ようやく事態を察して二人に駆け寄ったのは、マミがわずかに頬を染めてほむらの手からブラを奪い取り、 少し離れた小部屋でそれを付け直して戻ってきてからのことだった 「えっと・・・よくわからないけど・・・ほむらちゃんの勝ちなんだけど、ほむらちゃんはこれから魔女退治を手伝ってくれるってことでいいのかな?」 「ええ、その認識でかまわないわ」 「アンタ・・・なんかズルしてるんじゃないでしょうね!?マミさんがアンタなんかに負けるなんて・・・」 「・・・そうね、ある意味そうとも言えるわね。否定はしないわ」 「やっぱり!」 「落ち着いて美樹さん。そんな事を言ったら、さっきの勝負は私に限りなく有利な状況だったわ。それに・・・暁美さん、貴女まだ傷が癒えてないんでしょう?」 「・・・いえ、そんなことは」 「ほむらちゃん!?大丈夫なの?」 「大したことないわ・・・ただの貧血よ」 目の前で改めて観察したほむらの青白い顔色と、微妙な歩様の乱れからそのコンディションを察したマミは、驚きを通り越し呆れた表情で、ほむらとまどかのやり取りを見守った (まだ血が足りてない上に、あの様子だと骨も何本か折れたままでしょうに・・・鹿目さんを心配させないために強がって・・・そして、そんな状態で私に勝負を挑むなんて・・・) 黒髪の後輩の不器用な優しさを悟ったマミは、右手を差し出して握手を求めた 「やっぱり私の完敗だったみたいね。ここまで負けるとむしろ清清しいわ。暁美さん・・・貴女にはまだたくさん聞きたいことがあるけれど。 とりあえず悪い子じゃないって言うのはよくわかったわ。これからよろしくね?」 「・・・はい、よろしくお願いします」 マミに握手を求められ、応じるほむらの表情は、わずかに照れたような歳相応の女の子のように見えた (・・・私にはあんな顔、してくれたことないのに) 二人の和解で安心したはずなのに、チクリと胸の奥に痛みを覚えたまどかであった・・・ To Be Continued なんかほむマミ気味になっちゃってごめんね・・・マミさんはほむほむにとっても大切な先輩だと思うし、 この後でちゃんと本編よりイチャイチャさせるから許してっ! 860 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/10/15(土) 21 01 55.36 ID UItSEC110 あわわ・・・自分の絵がSSWikiに・・・ 拙い絵で申し訳ないです。載せてくれた方、ありがとうございます。 今回は、SS、騎士ほむシリーズの、日本刀を振りぬいている ほむほむ 818をイメージしてみました。 マミさん練習しなくちゃ。
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/ , -=二三二=- 、丶 // /‐´ ̄  ̄`ヽ \/ / ! ハ ヽ \ __ / | |ヽ ト、 jハ | ヽ ..ヽ ┌- 、 //〉〉/; | | ,斗匕 ̄`| |ヽ ! i .. | | ̄>>ー― ´∠ //、 ! | j´ !/ ヽ ! ! ヽ`|ヽ、 | ,-‐|_|/ ´ `´ `` 、/| j |xろニミ、 ヽ| z=x|、 ト、| ―=彡'/ / ┌- 、 -┐ | ト; | {ヘγ) κヽヾ j } ―=彡' | |\\//| | l l !  ̄´ ゝ㍗ ,' {l / / / / | | /{_}/ i| | l | ヽヽヽ ` ヽヽλ l/ / / / /イ / | |//  ̄ヽ|/l | _ { ヽ /// / ⌒i! /| |- 、./ | | | |/ ‘, l ト 、 ( `) 八 } / / // /,、| ハl | /ヽ|、 | フ } l |_>。_ ̄ ̄ _ < ) | 〆ニつ〆、 r' )/ j | xミ、 ||ヽ l / / < SSを貼ってくれると嬉しいな /l |_二ニ=ミ〔 / / |∠/ /乂| `ヒリ |/ノヽ、|ヽ //7 / 紹介文があるともっといいよね/ ノl |―- 、 ,,_| } / ) ノ― `ヽ_j } ノヾノ ⌒Y´ヽ トJ7ハ l! / / /` ̄ l レ' ̄,-――、_〉 ´ヽー'⌒ | ヘ )´ l{ \ `ゞ≠=7 / / l | ノ ―、‐'{ } ヽ ̄ヽ 〈`ヽ_)ハ /}\ ァ‐- `一′ / イ / l |/_x=z、 `ヾ´)ヽ 〉 \ _,/ ‘, \ヽ、_) / /ヲ // < まどかぁ、それ私の・・・ }γ/ ー―、 ` ´ ヽヽ、 { 〆´ l `―――┬‐//彡'7 //〈\ / { | ―‐、_)ヽ_) | | \ lゞ\ | /≪=≠´ ̄ // / ̄ヽ ヽ}`ー――― /==| |==`´ 〈 〃ゝ r‐┘ }} / 〃 ヽ [部分編集] 作成日 2011年~ 2012年~ 2013年~ 2011年~ ほむら「バレンタイン……」 2011/02/19 まどか「ほむらちゃん私のことそんな想ってくれて…」 2011/03/02~/03/03 まどほむ&杏さや。前半のギャグと後半(スレ乗っ取り)のギャップが凄い 祝☆100万周目 ◆ 2011/03/31 シリアスにキャラ崩壊したほむらちゃんがまどかを監禁しちゃう話 まどか「他の女の匂いがするよ…」ほむら「え…?」 2011/04/24 ほむら「レストランほむほむ」 ◆ 2011/04/25~/04/26 ほむまど。みんなの1番よりあなたの1番になりたい。そんなSSです。 ほむら「まどか……ちょっといいかしら」 2011/04/28 まどほむ。ほむほむが初々しくてかわいいSSです。 まどかパパ「百合少女はいいものだ……」 ◆ 2011/05/01~/05/03 知久(まどかパパ)に突っ込むQBがなんとなく、いい奴のように思えてくるSSです。 まどか「ほむらちゃんに好かれたい」 2011/05/09 まどか「またあした」 2011/05/15 短編。ほむまど。元ネタはタイトル通り、アニメ2話までのTV版未収録EDテーマ「また あした」。 まどか「宇宙ヤバイ」 2011/05/15 まどか「ほむらちゃんが泣いてる……」 2011/05/18~/05/20 「へたれほむらさん」シリーズ 2011/05/22~/06/15 積極的なまどかにたじたじなほむらさん。 まどか「す、好きですっ!」ほむら「そう、えっちしましょ」 2011/05/24 まどか「ほんとはもっと、一緒にいたかった」 2011/05/26 10話第一周の補完ストーリ、繊細な心理描写が見所です。 まどか「あ、キスマーク付いちゃってる…えへへ」 2011/05/28 まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよ」 まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよ」 05/30~05/31 まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよの後日談」 05/31 2011/05/30~/05/31 まどか「ほむらちゃんのお弁当床にグシャーwwwwwwwwww」 ◆ 2011/05/31~/06/01 タイトルがアレだけど中身は濃厚なまどほむ まどか「ほむらちゃんに「好き」って言ってもらえたら・・・」 2011/06/02~/06/04 ほむら「まどか、貴女は可愛い過ぎるわ・・」 2011/06/04 まどか「私がほむらちゃんを幸せにしてみせる」 2011/06/09~/08/18 まどか「キュゥべえ、契約するよ!願いは『お姉ちゃんが欲しい』!」 ◆ 2011/06/10~/06/11 まどほむで百合姉妹 まどか「ツン…デレ…?」 2011/06/15~/06/16 まどか「ほーむらちゃん」 2011/06/18~/06/19 まどほむ&杏さやでお泊り ほむら「まどかが天才になった」 2011/06/22 某少年のようなまどか。 ほむら「はぁーい転校生の暁美ほむらでーす!ヨロシク!」 2011/06/23 彼女は自ら変態ほむらの仮面を被る。ハイテンション百合乙女の戦いが始まる ほむら「近所にまどか屋さんができたわ」 2011/06/25~/06/26 まどか「ほむらちゃんトリビア」 2011/06/27 まどか「何をうぬぼれてるの、ほむらちゃん」 2011/06/28 ツンデレまどほむ まどか(ほむらちゃんってもしかして私のこと嫌いなんじゃ……) 2011/07/01 まどか「ほむらちゃんってナルシストなの?」 2011/07/04 ×:変態ほむらさん ○:マドカニストほむらさん まどか「ほむらちゃんがリムジンで登校してきた」 2011/07/04~/07/05 まどほむ。スレタイに騙されちゃいけない。らぶらぶ二人旅のSSです。 ほむら「まどかお願い、猫耳を―――」 2011/07/05 ギャグではない…。 まどか「ティヒヒ、ほむらちゃんの部屋に監視カメラつけちゃった」 2011/07/05~/07/07 ほむら「全力でダラダラする」 ◆ 2011/07/06 これはひどいwwww、いい意味でwwww まどか「ほむらちゃんがループを繰り返すならそれを利用したら……」 2011/07/23~/07/24 まどか「猫耳と尻尾の生えた夢で出会った女の子が転校してきた」 2011/07/26~/07/28 ほむら「転校生の鹿目ほむらです」まどか「!?」 2011/08/04~/08/05 まどか 「ひまだなあ」 2011/08/04~/08/05 まどか「あなたは鹿目まどかが好きになる」ほむら「うーん……」 2011/08/06 マミ「この状況……どうしたらいいんだろう……全く浮かばない……」 2011/08/07~/08/08 ほむまど&杏さや。マミさんが皆の恋愛相談に乗る話 ほむら「鹿目さんの事が好きなの!」 2011/08/08 まどか「ほむらちゃん、暗号文出すから解いてね!」 2011/08/08 まどか「昨日テレビで催眠術の番組やってたよ!」 2011/08/11~08/13 ほむら「あなたの欠片を」 ◆ 2011/08/12~/08/13 12話以降の補完ストーリー、緻密な設定には、スタッフの仕業ではとの声もあり。 ほむら「幸せになりたい」より時系列が前の話。 まどか「きっと空もとべるはず」 2011/08/17 ほむら「体が縮んだわ…」まどか「じゃあ代わりにわたしが頑張るね!」 ほむら「体が縮んだわ…」まどか「じゃあ代わりにわたしが頑張るね!」【前編】 07/17~09/10 ほむら「体が縮んだわ…」まどか「じゃあ代わりにわたしが頑張るね!」【後編】 09/12~09/25 2011/07/17~/09/25 マスコットほむらちゃん。ギャグどころかシリアス。 まどか「約束だよ、ほむらちゃん」ほむら「えぇ、約束よ」 2011/08/20~/08/21 ほむまどメインだが、メインキャラ全員が輝いている。これを読んだ後にOPみると・・・ まどか「わたしの初恋のひと、ほむらちゃん」 2011/08/26~/08/27 ビターエンドですが、ほむらの想いに涙が出てくる まどか「ドジっこ不幸体質ほむらちゃん!!」 2011/08/27~/08/28 まどか「ほむらちゃんって一人暮らしなの?」 2011/08/28 まどか「え~。派手過ぎない?」 ほむら「そうでもないわ」 2011/08/29 ステルスほむらさん まどか「ほむらちゃんのことが気になっちゃう……」 2011/08/29~/08/31 ほむまどラブストーリー。 ほむら「武器を調達しに海外に行くわ」 2011/08/30~/08/31 まどか「ほむらお姉ちゃん、やっと退院できるんだね!」ほむら「!? 2011/09/01 知らない内にまどほむが双子になっていた…という話。 月見 2011/09/12 まどか「ほむらちゃんを苦しめるよ!!」 2011/09/14~/09/16 黒まどかかと思いきや、そうでもなかった。 まどか「ほむらちゃんってストーカーなの?」 2011/09/20 スレタイで変態ネタだと思ったらそんな事はなかった ほむら「あれから1000年経った」 2011/09/24 「ほむほむの天然攻め」シリーズ 2011/09/25~/10/02 ほむまどスレから。短編×3。 まどか「ほむらちゃん、イメチェンした?」 2011/10/01~/10/03 黒猫記念日 2011/10/03 まどかの誕生日を祝おうとほむらが奮闘する話。どこかズレてるほむらさん。 綺麗な青さで いつも待っているから 2011/11/28 上記の続編。 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」1 2011/10/09 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」2 2011/10/13 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」3 2011/10/13 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」4 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」5 まどか「ほむらちゃんが如何わしいホテル街に・・・」6 2011/10/09~ 未完 ほむら「・・・39,9℃か」 2011/10/10 まどか「隣の客はよく柿食うきゃきゅだ」QB「言えてないよ」 2011/10/13 杏子「変なグリーフシード拾った」 2011/10/18~/10/19 ワルプスギス戦以降。切ない物語…で終わらせたい人は後日談に注意。 まどか「暁美さんなんて知らないもん」 2011/10/18~/10/19 まどか「期間限定メイドほむらちゃんと二人暮し」 2011/10/22~/10/25 ほむら「まどかちゃん!」 2011/10/25~/10/27 普通に出会って、普通に交友する。 まどか「ハロウィンだねほむらちゃん」 2011/10/30~/10/31 まどか「湘南新宿ラインって便利だねー」 2011/11/04 高校生まどほむ ほむら「まどかの泣き顔が好きなの」 2011/11/06~/11/07 「遊園地」シリーズより まどか「ただいま、ほむらちゃん」 2011/11/07~/11/08 改変後に帰ってきたまどか。そして始まるまどほむ二人暮らし。 ほむら「・・・・・・まどかっ!?まどかなの!?」 2011/11/14~/11/15 ごまどか まどか「ほむらちゃん、これは何」 2011/11/15~/11/16 ほむら「砂時計が目詰まった」 2011/11/18~/11/19 ほむ婆ちゃん QB「感情の研究をしたいんだ」 2011/11/19~/11/21 杏さや分あり ほむら「さまざまどか?」QB「そうだよ」 2012/03/10~/03/13 上記の続編に当たります。 ほむら「リボンボンボンまどかのリボン」 2011/11/20 ほむら「まどかが老死したああああああああああああああああああ」 2011/11/23 タイトル表記に反して切ない話。 ほむら「夢見たものは」 2011/11/25~/11/26 まどかさやか「おあずけ!」 2011/11/30 まどか「スカートぴろりーん!」 2011/12/08 まどか「ほむらちゃんがビルの屋上から落ちてきた」 2011/12/08~/12/11 まどほむ空も飛べるはず 少女A 少女A 12/09 少女A+ 01/11 少女A++ 01/25 少女A-fter 02/02 2011/12/09~2012/02/02 和子「今日は転校生は来ません」和子「というか来てません」 まどか「ほむらちゃん、あーんして♪」ほむら「は、はい…あーん//」 2011/12/11 まどか「がんばれ、泣き虫ほむらちゃん」 2011/12/18 長編。各死亡フラグをしっかり回避しつつほむまどがイチャイチャする。 まどか「がんばったね、泣き虫ほむらちゃん」 2012/02/05 上記の続編というか後日談。 まどか「ペットを飼い始めたの」 2011/12/18~12/19 まどか「付き合うならさやかちゃんだけど…」 2011/12/28~12/29 タイトルはあれだがガチまどほむ。すれ違いの連鎖が面白い [部分編集] 作成日 2011年~ 2012年~ 2013年~ 2012年~ まどか「ほむらちゃん、あけましておめでとう」 2012/01/01 まどか「ほむらお姉ちゃん!」 2012/01/09~01/10 ほむら「まどか……会いたい……」 2012/02/15~/02/16 まどか「もうすぐほむらちゃんの願いが叶うんだね」 2012/02/19 まどか「ほむらちゃんが好きなの……」 2012/02/29~/03/01 どこかの時間軸。スレのシリアス部分のみ。 ほむら「みんなに取り憑かれた」 2012/03/15 「取り憑かれた」シリーズより まどか「あなたと私が夢みた世界」 2012/03/25~/03/26 ほむら「私の好きな人?」 2012/04/09~/04/10 まどか「私の好きな人!」 2012/04/16~/04/17 ○○はLvUpした!…ついでに恭さやも。 まどか「深夜二時の訪問者」 2012/04/15 短編集。まどほむ&さや杏&マミQ。結局どっちもどっち。 ほむら「好きなんだから、仕方ないじゃない」 2012/04/15 ほむら「だめ、こんな事いけないってわかってるのに」 2012/04/21 まどか「ほむらちゃん、まだ寝ないの?」 2012/04/22 上手なようで違うほむら。 まどか「メガネ、とってみよっか」 2012/04/24 ほむら「だめ、こんな事いけないってわかってるのに」と同一の作者さんです。 まどか「ほむらちゃんのソウルジェムが、私に同化しちゃった!」 2012/05/22 まどか「ふぁ…ねむいなぁ」 2012/05/31 ほむら「人の恋路を邪魔する魔女は銃に撃たれて死んじまえ」 2012/07/24~/08/05 まどかを守るため、まどかと共にワルプルギスに立ち向かう まどか「人の恋路を邪魔する魔女は弓に射られて死んじまえ」 2012/09/11~/09/24 上記の続編。忍び寄る影と最高の未来 まどか「お風呂の中からまどかって聞こえるよぉ…」 2012/08/25~/08/26 マドカー ホムラチャ [参考画像?(ネタバレ注意)] まどか「ほむらちゃんとひたすらイチャイチャしちゃう」 2012/12/09 ただただひたすらイチャイチャ ほむら「まどかとひたすらイチャイチャしてやるわ」 2012/12/09 ただただひたすらイチャイチャ まどか「恋ひ慕ふ窓から夜明け見ゆる君思ひを頼りに文(ふみ)を送らば」 2012/12/18 ほむら「大変よまどか!あなたの家に泥棒が!」まどか「え!?」 2012/12/26~12/27 変態ほむほむ [部分編集] 作成日 2011年~ 2012年~ 2013年~ 2013年~ ほむら「鹿目さんがいじわるするから……」 2013/02/08 まどか「ネガティブほむらちゃん」 2013/06/01~2013/06/04 まどか「ほむらちゃんペンタグラム」 2013/10/28 パラレル世界のほむら集合! まどか「ぎゅっとしててね?」 2013/11/02~2013/12/16 ループ中の、まどかに恋するほむら。 さやか「あんたたち、まだケンカしてんの!?」 2014/03/13~2014/03/14 まどか「幸せのキャンディ」 2014/03/14 まどか「おはようほむらちゃん」 2014/07/13~2014/07/17 ほむら「夢で会ったのよ」 2014/07/25 悪魔ほむら「また訪れたループの中で」 2014/11/11 短編。まどかに悔いの残らない人生を…… まど神「悪魔ちゃんバレンタイン」 2015/02/16 タグ: 暁美ほむら 鹿目まどか
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…………………………………… 我夢「…驚いたな…前に飛ばされた世界も凄かったけど…この世界もすごいや」 さやか「他にもお兄さんみたいな人いるんだよ」 我夢「え!?それ本当かい?」 まどか「は、はい…今はみんな一ヶ所に集まってますけど…」 歩きながら話す三人 さやか「まどか、やっぱりこの人もマミさんのとこに連れてった方がいいかな?」 まどか「うん…やっぱりほっとく訳にもいかないし…」 我夢「マミさんって?」 さやか「お兄さんみたいにこの世界に飛ばされて来た人がいるって言ったでしょ?」 我夢「うん」 まどか「そんな人達を…保護…でいいのかな?してる人がいるんです」 我夢「じゃあ僕もそこに?」 さやか「そーゆーこと!」 我夢「やったー!そりゃありがたい!」 我夢「いきなり飛ばされて来て困ってたんだよ~」 ~マミホーム~ ダン「…」 無言でさやかを見つめる さやか「そ、そんな怖い顔しないでよ~…ははは…」 ハヤタ「…なるべく君達は巻き込みたくなかったんだが…」 ミライ「…さやかちゃん…」 アスカ「まぁまぁ!契約しちゃったもんは仕方ないって!」 さやか「そ、そうそう!アスカさん話がわかる~!」 まどか「…」 マミ「…とにかく!我夢さん!歓迎します!」 アスカ「これからよろしくな!」 我夢「いや~助かるよ…ホントどうしようかと思った…」 ダイゴ「君もウルトラマンの力をもっているんだね」 我夢「はい!これを使ってガイアの力を…」スッ 懐からエスプレンダーを取り出す我夢 我夢「…!?」 我夢「ひ、光が…消えてる!?」 アスカ「へ?」 我夢のエスプレンダーの光は消え、その輝きを失っていた マミ「どういうことですか?」 ダイゴ「ウルトラマンに変身できない…ってことだね」 我夢「そ、そんな…さっきは普通に…」 マミ「皆さんはなんともないんですか!?」 部屋にいる全員に確認するマミ ハヤタ「いや特には…」 ダン「俺は問題ないぞ?」 北斗「俺もです!」 ミライ「メビウスブレスもちゃんと出ますよ?」 郷「俺は道具は使わないからな」 マミ「じゃ、じゃあ…?」クルッ 振り返り、アスカとダイゴを見る アスカ「あーっ!?何だこりゃ!?」 ダイゴ「これは…」 二人の手にあるリーフラッシャーとスパークレンスの光が消えている アスカ「な…なんでこんな時に…」 ハヤタ「先の戦闘で力を使い果たした可能性は?」 ダン「いや、それはないだろう」 ダン「力を使い果たしたなら人間体でもまともに動けまい」 北斗「君達はこの世界に来て何度変身した?」 三人を見つめ、問いかける アスカ「お、俺はマミさんを助けた一回だけ…」 ダイゴ「僕も…この世界に飛ばされた直後に…」 我夢「僕も一度だけです!」 ミライ「…どうなっているんだ…」 ダン「とにかく元に戻るのを待つしかあるまい」 さやか(な、何かわかんないけど…今の内に帰っちゃお~…) ~翌日~ さやか「マミさーん!」 タタタッ マミ「あ…美樹さんに鹿目さん!」 まどか「こんにちは」 さやか「今帰りですか?一緒に帰りましょ~よ!」 マミ「ええ」 さやか「それと~…魔法少女のことでちょっとお願いが…」 マミ「あら何かしら?」 マミ「この先輩魔法少女に言ってみなさい!…なんてね」フンッ! 胸を張りながら聞く さやか「あたし契約したばっかりでまだ戦闘の技術とか微妙で…」 さやか「だからちょ~っと特訓に付き合ってほしいな~って…」 マミ「…いいわ!行きましょ!」 まどか(…さやかちゃん) …………………………………… さやか「ていっ!」 スパッ! 使い魔『ギッ!?』 小さい使い魔を斬り倒すさやか さやか「ふぅ…こんなもんかな?」シューン 変身を解除する マミ「いい調子よ美樹さん!」 さやか「いや~そうですか~?やっぱりあたしって天才!?」 まどか「…」 杏子「…見つけた!」スタッ さやか「え…?」 マミ「あら?あの子は…」 杏子「え~っと…あいつが最近契約した美樹さやかで…」 杏子「そっちがマミと…あれ?アンタは契約してないんだ?」 まどか「な、なに?」 さやか「あんた誰?どうしてあたし達の名前を…」 杏子「先手必勝だ!」ヒュン! 槍を持ち、さやかに斬りかかる さやか「え…!?わ、わああっ!?」 突然の攻撃でへたり込むさやか カチッ ガキン! ほむら「…」 杏子「な…!?コイツいつの間に…」 杏子の攻撃を盾で受け止めるほむら まどか「ほむらちゃん!?」 杏子「まぁいいや…一ヶ所に集まった方が手間が省けるし」 マミ「佐倉さん!あなた何を考えているの!?」 ほむら「佐倉杏子…やる気があるなら相手になるわ」 杏子「!…アンタに名乗った覚えは無いんだけどね…」 杏子「ま!どーでもいいけどさ…きなよ!」チャキッ さやか「ちょっと待てー!!」 杏子「あん?」 ほむら「…?」 さやか「転校生!あんたちょっと退いて!」グイッ ほむらを押し退けるさやか さやか「おい!あたしが相手だ!」 杏子「何かと思えば…さっきビビってへたり込んだヤツじゃないか」 さやか「う、うるさいな…!!」カアァ… 顔が赤くなる まどか「さやかちゃん危ないよ!やめてよ!」 マミ「あなた達いい加減にしなさい!!」 杏子「まぁいいけどさ…アンタが一番楽そうだし!」 ほむら「美樹さやか…あなたでは無理よ」 さやか「馬鹿にすんなっ!!」グッ ソウルジェムを取り出すさやか まどか「!!…駄目っ!」ダッ さやか「!?」 パシッ ポイッ さやかのソウルジェムを奪い、投げ捨てる ポスッ ブゥゥウゥウウン… 投げられたソウルジェムはトラックに乗り、そのままトラックは走り去る ほむら「!!」ダッ 杏子「おおっと!逃がさねぇぞ!」 ズバッ ほむら「くあっ!?」ドシャッ 足を斬られ、地面に転がるほむら ほむら(しまっ…たっ!!) さやか「まどか!?あんたなんてことを!?」 まどか「だ、だってまたあんな危ない目に…」 さやか「うっ…あ…!?」ドサッ まどか「…さやかちゃん?」 突然倒れたさやかに声を掛ける マミ「…?」 杏子「ん?なんだコイツ?いきなりぶっ倒れて」ガシッ QB「今のはまずいよまどか」トテトテ まどか「え…?え…?」 QB「よりによって友達を投げ捨てるなんてさ」 まどか「なに…言ってるの…?」 杏子「おい…どういうことだ?」 杏子「コイツ…死んでるじゃねぇか!?」 マミ「!!?」 まどか「えっ…!?嘘…だよね…!?」 QB「それはただの抜け殻だよ?」 QB「さやかはさっきトラックの上に乗って行っちゃったんだってば」 杏子「何言ってんだ?!解るように説明しろ!!」 QB「壊れやすい人の体のままで戦ってくれ…なんて言えないだろう?」 QB「痛みにも耐えられないし、沢山血を流せばすぐに死ぬ」 QB「僕の役目は君達の魂を抜きとってソウルジェムに移し替えることさ」 QB「その方がよりコンパクトで効率よく魔力を運用できるだろう?」 杏子「ふ、ふざけんなよ…!」 杏子「それじゃアタシ達…ゾンビにされたようなモンじゃないか!!」 マミ「…!」 まどか「いや…いや!…さやかちゃん…!!」ポロポロ さやかの抜け殻に抱き付き、涙を流す ほむら(まずい…) ほむら(このままじゃ…美樹さやかが…) ほむら「ぐ…くっ!!」ググッ ドクッ… 斬られた足から血が溢れ出す ポスッ さやか「ん…くっ…?」ピクッ まどか「!? さやかちゃん!」 さやかの手にソウルジェムが戻り、意識を取り戻す ほむら「!…あれは…」 ハヤタ「間に合ったか」 ~さやかが意識を取り戻す数分前~ ブゥゥウゥウウン… 運転手「…」 運転手「さっきのガキ…石ころかなんか投げやがったな…」 運転手「ひでえことしやがる」 ガチャッ 北斗「トラックを止めてくれ!」 運転手「!?」 走行中のトラックに乗り込んでくる北斗 運転手「な、なんだあんた!?」 北斗「おい!前見ろ!」 ブゥゥウゥウウン 歩行者1「うわああ!!」 歩行者2「ひ、轢かれる…!」 サッ ガシッ ダン「危ない!」 郷「ちょっと失礼!」 二人の歩行者を避難させる キキーッ… 北斗「止まったか…いや、すまなかった」ガチャッ 運転手「な、なんだったんだ…?」 ダン「ソウルジェムは?」 ハヤタ「回収した。早く戻った方がいいね」 郷「急ぎましょう!!」 …………………………………… …………………………………… さやか「あたしの…体が…ゾンビ…」 まどか「…さやかちゃん…」 マミ「…」 QB「君達は決まって同じ反応をするね」 QB「なぜ魂の器なんかに拘るんだい?訳がわからないよ」 ハヤタ「…それが感情を持った人間だからだ」 ダン「そうだ。感情の無いお前たちにはわからないだろうがな」 QB「…まるで自分が地球人みたいな言い方だね?」 ダン「さぁ、どうだろうな」 ほむら「…あなた達、もう帰りなさい」 まどか「…さやかちゃん…今日はもう帰ろう?ね?」 さやか「うん…」 タッタッタッ ほむら(…よし) ほむら(…これでいい) マミ「…」 俯いたままのマミ ほむら(真実を知った巴マミ…彼女が錯乱して襲いかかってくる恐れがある…) ほむら(なんとか取り押さえないと…) マミ「…暁美さん」 ほむら「!!…」スッ 傷ついた足を庇いながら身構える マミ「…足」 ほむら「え?」 マミ「その足、斬られたんでしょ?血が出てるわ」 マミ「こっちに来なさい…治療してあげるから」 ほむら「ちょ、ちょっと…」 グイッ マミ「ほらじっとして!」 ほむらの傷口に手をかざす キュウゥーン… ほむら「ッ…!」 マミ「これでよし…と。もう動いていいわよ?」 ほむら「…」 ほむら(巴マミは精神的に強くなっているのかしら…?) ほむら(彼女を導いてくれる大人たちが周りにいたから…?) ほむら(…なんにしても嬉しい誤算ね) ほむら(この状況を利用すればワルプルギスを…) マミ「…暁美さん?」 ほむら「え?…あ…ありがとう助かったわ」 マミ「そう?よかった!」ニコッ ほむら「…!」 マミの笑顔から顔をそむける ほむら(利用…私は…) 郷「マミ、私達も帰ろう」 ハヤタ「今日は早く休んだ方がいい。色々あって驚いてるだろうからな」 北斗「今日は疲れただろう」 マミ「いえ!大丈夫です!」 笑顔で答えるマミ ダン「マミ…決して無理はするな」 マミ「む、無理なんてしてませんよ?」 マミ「無理なんて…」 マミ「…」 肩を震わせ、答える ハヤタ「…帰ろう」 …………………………………… 杏子「行ったか…」 QB「杏子、君は帰らないのかい?」 最後に残った一人に話しかけるQB 杏子「アンタに聞きたいことがあるからね」ジャキッ QB「…物騒だね。いちいち脅しを入れないでよ」 槍を向けながら問いかける 杏子「アタシが今日会ったあいつらだ…あいつらのことを聞きたい」 QB「敵の情報を知る…ってことかい?」 杏子「…まぁそんなとこだ」 QB「いい心がけだね…じゃあまずはマミ…」 杏子「あー!あいつはいいよ!よく知ってる」 QBの言葉を遮る QB「おやそうかい?」 杏子「それよりもあいつだ!あの黒髪のやつ」 QB「暁美ほむらだね」 QB「けど残念ながら彼女に関する情報は少ないよ?」 QB「何度か殺されそうになったくらいかな」 杏子「あぁ~?…じゃあいいや」 QB「…」 杏子「じゃあアイツは?青髪の」 QB「美樹さやかだね」 QB「別に彼女の情報なんて必要無いと思うけどなぁ」 QB「まぁ実力では君の足元にも及ばないよ」 杏子「…それで?」 QB「うーん他には…思い人の手の病を治すために契約したことかな」 QB「それで手に入れた能力を人を守るために使っている」 QB「この辺はマミと同じだね」 杏子「人のために…契約をして…?」 杏子「なんだってそんなこと…」 QB「さあね?正義のヒロイン…ってやつかな?」トテトテ 杏子の前から立ち去るキュウべえ 杏子(美樹さやか…ねぇ?) 杏子(…) 杏子(なーんかほっとけねぇな…) ~マミホーム~ ガチャッ バタン マミ「…」 ボスッ 自室のベットに倒れ込み、枕に顔を埋める マミ「…」 マミ「私の…未来に…」 マミ「光は…無いのね…」ジワッ マミ「…くっ…ひっく…う…っ…」ポロポロ 声を押し殺して泣くマミ QB「…」コソッ 窓の外からその姿を見つめるキュウべえ ???『いい具合に絶望が溢れ出しているな』 QB『…真実を告げるだけでここまで恐怖し、絶望するものなんだね』 ???『人間の精神とは脆いものだ…少し突けばすぐ壊れる』 QB『人間の感情というのはやはりよく分からないね…』 ???『考える必要などない!奴らから溢れた絶望をエネルギーに変えてやればいいだけなのだからな』 QB『…君達の技術は凄まじいね』 QB『でも…』チラッ ???『どうした?彼女達に同情でもしたか?』 ???『感情の無い貴様らが!』 QB「…ありえないよ」 BACKまどか「…ウルトラマン!」 2 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 4
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